朱雀さんの愛情表現㊶
部屋に戻るとレグは手当を終えて、力をすかっり使いはたし切った
小動物のみたいなぐったりとした、青龍を見ていた。
足だけが走り回ったらしくぱんぱんに腫れていたので湿布をはった、それにしてもなんだろうこのか弱さ
は・・・・
プールで何にも臆することなく一人きりで悪霊に向かっていった姿を思い出した。
あの鋭く光った目、目にも止まらぬ速さで銀色の光の糸を織っていく日本刀の輝きは奇跡の様だった。
これは、本当に同一人物なのだろうか?
でも、街を歩くだけでだけであんなに喜んだし反応はいつも無垢な子供の様だった、
よく笑って何にでも驚いて悲しんで、それから自分が一度、天にかえってしまうときに言った言葉を思い
出した。
「俺はどんなに長く生きても、生から何も学べないんだ」
いろいろなことを思い出しているうちに、 唐突にレグは理解する。
子供の様じゃない、子供なんだ
自然にまなぶことも、試行錯誤もできないんだ
と言うか教わっていないんだ
僕の様にまわりに導いてくれる大人がいなくて心は育ちそこなってしまったんだ
確かに、戦闘は飛びぬけて強いし、戦闘に入れば、精神も恐れを忘れてしまう
でもそれは敵という認識の上に成り立つもので、普段は無防備で恐ろしく壊れやすいガラス細工のよう
な精神なんだ。
それで今は自分を信じ切っている。
すごく可哀想になって、自分も哀しくなって髪を撫でた
自分には尊敬できる父がいた。
でも誰もが恵まれた環境じゃない
青龍には誰もいなかったんだ。