清明様の憂鬱 朱雀さんの愛情表現㊴
しばらくたって、やっと正気が戻って来た
葛の葉は半ば放心状態で座っていた
天界に続く戸も締まり消えて材田さんもやっと成仏したようだ。
まだ興奮している猫たちがなーなー泣きながらぐるぐると回っている
「婆様、黒魔術なんて、始めたから何か入り込んでいるんじゃありません?」
「いやそれはないと思うがね」
ふと水晶玉を見ると青龍が大暴れしている。
「あの、青龍がアンデッドに襲われてますけど・・・・」
「何だね、アンデッドって・・・」
「ゾンビですよ、ゾンビ、最近はそういうらしいですわ」
「ああそっちは、何とかなるよ、天使がついてるんだろう、それにしてもなんで火葬にしないんだか?
火葬にすればゾンビなんていなくなるのに・・・」婆様が首を振って言った。
そのころ青龍もパニックをおこして、大暴れしていた、無数の湿った手があちこちに伸びてきて
気持ち悪いことこの上なく、幻術は、使えず、駆け回っていたせいで激しく消耗して、口の中には
涙と血の味がした。
粗暴な手が髪を引っ張り思わずのけぞった。
「痛い」大声で叫んだが手はどかない
( ああこれで、俺もなにわのモーツアルトに・・・・)
だが、意識を手放すわけにはいかない、発酵食品になって食いちぎられるわけにはいかない