朱雀さんの愛情表現㉟
水晶玉の中を見るのも忘れて感動しているとまた肩をつかまれてギャッと言って飛び上がった。
振り向くと材田さんが立っている。
「ちょっと、まだあがってなかったんですの、この人?」
「なかなか上がってくれなくってね」
婆様が困り顔で言った。
「あの、心中・・・」
突然、葛の葉の中で、奇妙な積極性、限りなく欲望に近く、新鮮味があり、色あせてもいない
感情が芽生えた。
「いいですわ」心が沸き立つような、これから旅立つような感じなんだろうこれは、思いながら
小瓶を出した。
「これは?」
「ストリキニーネ、ここのほうがよくきくし、私水が嫌いなんですの、ですからナイアガラの滝
にしてくれません、そのほうが一瞬でしょう、長く水に浸かっているのは嫌なんです」
婆様がお茶を吹き出した
「何を言い出すんだい、お前は」
「じゃあ、こっちはどうです?」葛の葉はにこにこ拳銃を出した
「さらに確変はいりまーす、どーん」
言いながら弾倉から弾を抜いて一発だけ入れ弾倉をまわした
「確変てまだお前はパチンコなんかやってたのかい、それにこれは心中じゃないじゃないか」
「あとに残った者は婆様が、撃ち殺してくれればいいですわ」
「一応、ファンタジーなんだよ」
婆様が言ったが
「何事にも例外はあるでしょう」
葛の葉はいつもの柔らかい口調で言った。