朱雀さんの愛情表現㉞
葛の葉が店から出ようとすると
「ちょっとお待ちよ」婆様が言った。
「本題はこっちなんだ」水晶球を指さした。
「本題?」いいながら葛の葉は席に戻った。
まどろっこしいがこれが婆様のやりかた、そしてここは婆様の結界の中、ルールは守らねば
ならない
なんだか公園に人が集まっている、みんな強い欲望の波動をもって、その奥にいるのは青龍?
「なんですの、これは」
「あの朱雀って子は問題なかった、何もしなくたって十分に愛されていたからね
問題は、青龍のほうだ」
「問題?」
葛の葉が聞き返すと婆様はブツブツと言った。
「私たちは、光より闇に慣れるほうが楽で速い
妖怪は癖が強い、特に青龍は一度足を取られたられたらどこまででも崩れる
敵と味方しか分けられない、戦いだしたら強いが参謀がいないと何も考えられなくなる。
今日が楽しければ、明日が来ることを忘れてしまう」
「確かに、その通りですが、何の関係がありますの?」
「今度、天使と暮らすんだろう?」
「ああ」
「天使は規律と、規則正しさをを重んじる、わしらとは真逆の性質だ」
「確かに・・・」
「でも、頼りにはなる、いつでも人を助けようとするが、青龍の性格をすべて把握してもらう
必要があるだろう」婆様はにっと笑っ言った
「天使に式神を飛ばして助けにいかせな、あんたたちや私が絡んでると悟られては駄目だ、
段取りはしてある」
「婆様」葛の葉は心底、感心して言った
「私、あなたのことを心から尊敬しますわ」
水晶玉の中は地獄絵図になっているが 葛の葉はこの単純なように見えて込み入った
取引に感動を覚えながら式神を飛ばした。




