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朱雀さんの愛情表現㉔
「わああああああ」そのころ青龍は叫びながら走っていた。
叫んで、走る全力を尽くして、出ないと余計なことを考えてしまう
いやだあ、いや、いや あんな爺にもてあそばれるなんて嫌
ましてや、婆様の愛玩動物になってもふもふされたら、もおいやだ
人を見をかけで判断するな、俺は見かけはチャラいかもしれないが海の男なんだ
この寄る辺のない不安、これを紛らわしてくれるのはレグしかいない
俺は漁師の中にも友達は作らなかった。できなかったのではない
作らなかったんだ
なぜなら、人間は早く死んでしまう
仲良くなったらつらいし、俺だけ年を取らないなんて変だ
だから知っている人たちが、年を取り生まれ変わる小川のような中でずっと取り残された
石ような気分を味わってきたんだ。
でもレグは俺と同じペースで生きていける
聡明なレグの父は戦争が来ると知って真っ先に現金を価値の変わらない
金塊や宝石にかえてかくしてくれておいたらしい。
それで買ったマンションが見えてきた。
きっともう大丈夫だろう
救いはきっとあるはずだ