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朱雀さんの愛情表現㉓

 「うああああ」青龍が叫びながら飛びだしていき、一度清明様の部屋のほうに走ると


「ぎゃははははは」と大笑いが聞こえ、泣いているのか笑っているのかわからない声を出しながら


走り去って行った。 


 長く生きて、すぐ物を忘れて、そのせいで素直で単純な青龍


悪いけど今回もコマセになってもらおう


 葛の葉は徹底的に実務的な目になって本を開いた。


  また机の駒がスーと動く、集中して声に出して本を読んだ


 駒がぴたりと止まりぼうっと五方星が現れた。


 「罪人は眠れ」


   ラテン語はややこしいが陰陽道の呪文より短くて決定的だ


  一度リズムをつかむと頭の中に小さな灯がともり覚醒した部分が生まれた。


挿絵(By みてみん)


  朱雀の前に行って呪文を唱えるとその姿がすっと消えた。


 それにしても、婆様に何があったのだろう


 そんなに意地悪な人ではなかったのに・・・


 時々、野心の塊のような魂がある、たいていが何かの才能を欲しがっている。


  時には野心のあまり生きているうちに来るものもある。


  婆様は、料理を作りその才能を与える。

 

 それはただ婆様が読みたい本や、見たいものだ、魂と引き換えたが相手は喜んだ


 だが、それが本物の才能ではないので後が続かない


  一作で終わってしまう


  あれ、ちょっと待って 一人例外がいた


  太宰の斜陽が盗作だったのは有名な話だが、後が続かなくなった太宰が苦しんで苦しみぬいて


  人間失格を生んだ


   純文学と娯楽小説の線引きがどこで行われるかは知らないが、あんな小説を葛の葉は知らない


  葛の葉も読書家で素晴らしい小説はたくさんあると思うが、伏線も逆説もなく結末にもっていく


  疾走感、あれは手さばきではなくすべて罪悪感と本音だからだ。


斜陽はわかくして死んだ、いとこのお姉さんの日記だった、きっとその人が好きだったのだろう


  だからこそ苦しみも大きかったのだろう、だが評判に後戻りはできなくなった


   知的な風貌にファンも大勢ついてしまったし・・・・・ 


   そんな考えをめぐらせながら、立っていると「葛の葉」清明様の声が聞こえた。


   「何ですか?」葛の葉が戸を開けるとアフロの上に烏帽子をかぶった清明様がいた。


   思わず顔をそむけた。


   「何か、入り込んでいないか?」


  「さあ、私は何も感じませんが・・・・」


  「小腹がすいたんだが、何かないか?」


   「えーとラーメンがありますが、シイタケお好きだったでしょうか?」


  「大好きだが」 


   「じゃあ、シイタケ麵を作りますわ、30分くらい待てるでしょうか?」


  「それはいい」清明様はにこにこ笑った。


  

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