朱雀さんの愛情表現⑳
外で白虎の声がする。
「はーい ちょっと待ってください」葛の葉はにこやかに答えると、血相を変えて歯を食いしばって
朱雀の前に行って全力で呪文を唱え始めた。
(おい何をする)俺は白虎に聞こえないように言ったが、それより先にぽん、ぽん、ぽぽぽん、すぽっ
んと言うポップコーンがはじけるような音が聞こえ見る見るうちに朱雀の体がシイタケに覆われた
さらにビニールまでかぶせたうえ(いいか、話を合わせろ)言って、非難がましいうえに呪いがかかった
ような、怨念のこもったような目で俺をにらんでから、ぱっと花のような笑顔に変わり戸を開けた。
「あら、お久しぶりじゃないですか?」にっこりと笑って見せる。
なんという器用な奴だ
「いや、朝会いましたが・・・」白虎が言った
「ああ、ごめんなさい、朱雀は新しい宝塚の出し物を見に行って今日は帰れないって、ごめんなさい
って出かけましたわ」
「ああ、そうなんですか、あ、青龍きてたのか?なんだそのシイタケの山は?」
急に振られて、頭が孫悟空の様にわっかでぎゅんぎゅん締め付けられたうえ、ピノキオの様に
鼻が引っ張られてもよーんと伸びたような気がしたがととりあえず笑って手をあげた。
葛の葉がすかさず 「大安売りでしたの、はこぶのを手伝ってもらいまして、肉詰めシイタケお好き
だったでしょ」と笑った
「でもあんなにたくさん?」と言った白虎に、「明日干しますわ、干ししいたけは味が出て美味しいで
すからねえ、長持ちしますし・・・」
「そうですね手伝いましょうか」白虎が言った。
「いいえ、下味をつけますから、あのご飯ならお六さんが台所に用意してくれてるはずですわ」
「ええ、肉詰めシイタケは?」
「あの、買い込みすぎたので洗わなければならなくて今日はまにあいませんわ、ごめんなさい」
「謝ることないですよ、楽しみにしてます」白虎はさわやかに笑って去って行った。