朱雀さんの愛情表現⑮
お腹がいっぱいになると、なぜか安心感と自信のようなものがわいてきた
何だろうか、この根拠のない自信のようなものは、おいしいものを食べて満腹になる。
そうだ、これ以上のものがあるだろうか、至上、至福、幸福 満足しきってため息をついた。
だいたい俺にはもともと悩みなんかないし・・・
「代金は忘れちゃいけないよ」婆様の声で我に返った。
「ああ」答えると
「早く帰ったほうがいい、外が騒がしくなってきた」
そういえば、外でわあわあ声が聞こえるな
「じゃ、帰るわ、ご馳走様」
俺は素直に立ち上がった。
「青龍、お前はほんとに可愛いね」
ぎょっとして振り向くと婆の顔がまじかにあって満面の笑みをたたえている。
急に正気になって、まだ椅子にでろーんと座っている朱雀を促外に出た。
外には気の振れた悪霊がぞろぞろいたがどってことはない
朱雀が
「援護するから車開けて」と言ったので俺は車に走った。
朱雀の後ろで、カチッと音がして朱雀が振り向きざまに小刀を投げた。
それは正確に突き刺さり悪霊たちがどよめいた。
その正確さより朱雀が振り向かずに小刀を命中させたことに驚いたらしい
つまり、音だけで相手のいる場所を判断したのだ。
俺も満腹なのに、体が軽く力がみなぎって来た。
結界をはったまま車を出し、飛び込んできた朱雀を乗せ霊道に入った