朱雀さんの愛情表現105
ブログも書いてますができればこっちを先によんでください
あちらはわるふざけです
次に出てきたのは、マツタケの土瓶蒸しだった。
「あれ、これ」言いながら口に運んだ。
やっぱり同じ山の香りがして、昔を思い出させたが悲しくはならなかった。
むしろ、しみじみと懐かしい
「覚えてますか?」というと清明はうなづいた。
「この時は、大変な苦労をさせてしまったな」
葛の葉は、はるか昔に思いを通わせゆったりとした風情で笑った。
あの人がいってしまって、戦争はどんどんひどくなり清明も忙しくこれなくなった
たまに来てもいつもの落ち着きがなく見たことないほど
疲れて見えたので、なにかおいしいものをおいしいだけでなく
高級感のあるで贅沢なものを食べさせたいと思って毎日山をさまよった。
「あの時、元気が出ましたか?」
「ああ、もちろん」清明が答えた。
二人は、目を合わせて静に笑ったが、懐かしさでやわらかく心を煮られるような心持がして
うっとりとなった。
「そして清明様は本をよんでくださったんですね」
まだうっとりとかすんだ目のまま葛の葉は歌うようにしかし静かに言った。
「 三畳あれば寝られますよね
これが水屋
これが井戸
山の水は山の空気のように美味
智恵さん気に入りましたか、好きですか。」
「高村光太郎か?よく覚えているな」清明が言った。
「一番好きな詩です
この人は普段は寡黙な人でしたでしょう?」
「なぜそう思う?」
「だって、単純な言葉ばかりでしょう、ずっと言いたかったような
きっと、言葉をよく知っているのにおしゃべりが苦手な人は
そういう部屋をもっているのですわ」
「言霊でなく、言部屋か?」
にっこりとして葛の葉は清明の顔を見た。
清明様にもきっとそういう部屋がある
そこでずっと暮らせたらいいのに
長いこと来なければじれて、一人で怒って
それでも顔を見ると胸の中がひらりといろどって嬉しくてしょうがなくなる。
自分を翻弄し続けた顔は、今でも昔と同じように若々しい。
でもこれは、どういう意味なのかしら
姫様のつく売る料理には何かしら意味があるはず・・・