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契約
「まだ、時間ありますよ」
屋上に横になっている彼女が暗い夜空に手を伸ばす。
「そうだね、まだ暗いね、何時だろ?」
屋上から学内にあるどこの時計も見ることが出来なかった。
「ねえ、私たち契約を交わしませんか?」
「契約?」
突然提案されたことが分からず、言葉を繰り返す。
「はい、契約です」
彼女が起き上がったので僕も起き上がる。
「私たちは1人では生きられないダメな人間です。なので二人で生きていこうという契約です」
「あ! これはあくまでも契約です、恋人関係ではないです」
彼女の言葉のニュアンスの差を僕は理解できた。同時に結びたいと考えた。
「分かった、これからよろしくね」
「はい、こちらこそ」
僕たちは互いに同意した。
そしてまた、制服を二人で羽織り、朝を待った。