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憂鬱な探偵の日常的冒険  作者: 夏村響
1.好奇心倶楽部
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その5

 ★ 山崎の証言-好奇心倶楽部の正体


 僕が初めてそのカジノに行ったのはひと月ほど前のことです。

 その日、僕は残業で遅くなり気が付くと会社に残っていたのは上司の・・・匿名で構いませんか? ここではMと・・・M氏としておきます。M氏と二人きりになっていたのです。

 帰り支度を始める僕に彼は突然、話しかけて来ました。こともあろうに秘密のカジノに行ってみないかと誘ってきたのです。M氏は僕がギャンブルが好きだということを何故か知っていて、前から一度誘ってみたいと思っていたというのです。当然、僕は断りました。さすがに怪しい話だと思ったので。けれどその反面、カジノ、しかも秘密の、と聞いて僕の心は密かに昂ぶってもいました。

 断る僕を、M氏はひどく残念がりました。そしてそのカジノを主宰する『好奇心倶楽部』という組織の話しをいきなり始めました。話しだけでも聞けと言うわけです。もし気に入ったら君も倶楽部に入会すればいい、その倶楽部に入会する資格はあってないようなもので、ただ単純に好奇心旺盛な人物であればいいのだと。

 その倶楽部の主催者は、名前は教えくれませんでしたが、なんでも大の親日家である大富豪の外国人だとか。その大富豪が数年前に息子に跡を譲って隠居し、かねがね夢に思っていた日本に居を構え住み始めたそうなんです。隠居してもその人物は影響力のある人でしたから、日本でもたくさんの著名人と面会し話しをしたそうなのですが、そのうちに彼らが高い地位にあるにも関わらず、どこか満たされていないということに気が付きました。そこで思いついたのが会員制の『好奇心倶楽部』なのだそうです。

 地位があればあるほど言動行動の範囲が制限され、彼らは自分の思い通りに好奇心を満たすことができない。だから、倶楽部を作ってその中で堂々と好きなだけ自分の好奇心を満たそうじゃないか・・・好奇心倶楽部とはそういう組織だと言うのです。そしてそのカジノも好奇心のひとつというわけです。

 勿論、僕はそんな地位の高い人間ではありませんし、差し迫って自分の好奇心を満たさなくてはならないこともありません。やはり断りました。しかし上司は妙にしつこくて『確かに発足当時はある程度の地位にある人物しか入会できない倶楽部だったが、今では普通の会社員、OL、主婦までもが参加できる開かれた倶楽部になったんだ。一度でいいから来てみたまえ。きっと満足するよ。それとも・・・私とでは嫌かね?』そうまで言われては僕も一介の会社員ですから、上司の言うことに逆らえません。

 得体のしれない倶楽部だと一抹の不安を感じながらも、僕は上司についていくことにしました。しかし行ってみて驚きました。そのカジノというのが本当にすごくて・・・・。

 連れて行かれたのは冴えない雑居ビルの地下の一室でした。でも中に入ってみるとそこは別世界だったのです。僕みたいな男には不似合いなそれは豪華絢爛なカジノでした。

 先ず中に入るにはチェックを受けなくてはならないらしく、入り口にはスーツを着た屈強な男が一人立っていました。僕を見ると微かに顔をしかめましたがM氏が前に出て何事が囁くと、不意に柔和な表情になってあっさりとドアを開いて中に入れてくれました。

 中に入ると別のスーツの男が待っていて、僕たちを慣れた様子で奥にある部屋に案内してくれました。そこは衣裳部屋で部屋の中央には高級そうなスーツがハンガーに掛かってずらりと並んでいました。圧倒されていると、M氏はさっさとその中から一着を選んで、奥にあるカーテンで仕切られた更衣室に入って行きました。どうもここでこのカジノにふさわしい衣装に着替えろということのようです。

 僕もおろおろしながらも、適当なスーツを選び着替えると次にM氏は用意されていた仮面をひとつ選びました。

 ええ、そう、仮面です。顔をすべて隠すタイプのものや目の辺りだけのもの、色も形もさまざまです。このカジノでは、どうやら正装をし、仮面を付けることが義務づけられているようでした。これでようやくカジノが行われている会場に行くことができるのです。



(次回につづく)


読んでいただきありがとうございます。

ちょっと久しぶりの投稿となってしまいました。

次回もよろしくお願いします。

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