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空気中で音速を超えて移動すると強烈な圧力が発生します

 ネットで燃やされるなんて、こんなことで人生つぶされちゃたまったもんじゃないよ!


「大丈夫だ。ただの脅しに決まってる。それに万が一のことがあれば俺の人間界とのコネで、就職先を斡旋してやるから安心しろ」


 ルークがフォローになってるかわからないフォローをする。


「いや、僕そもそも炎上自体嫌なんだけど」

「なら今すぐあいつを倒せ。あっちのポーンも逃すな」


 はいはい。わかったよ。

 ナイトは何やら手をぶんぶん振り回し、ジョジョ立ちじみた謎のポーズをとる。


「我の名はナイト。フェアリー・ルージング幹部の一人――」

「マジカルビームっ!」

「この姿を見て恐怖に震えないものはおらず、その出で立ちはゲフゥッ」


 しゃべりっぱなしでなかなか動かないナイトに対し、僕はさっそくステッキを構えてビーム攻撃を放つ。ステッキから放たれた光はナイトに直撃し、その体を弾き飛ばした。


「マジカルビーム! マジカルビーム!」


 僕は床に転がるナイトに接近し、ひたすらビームを連打する。


「ちょっ、おま……っ。それはさすがに卑怯」

「マジカルビーム!」


 ナイトが何か言ってるけど、僕は気にせずひたすら攻撃を連発する。ついでに攻撃をくらわせておいた向こうのポーンはすぐに消滅した。


「おい優! もうやめろ!」


 倒れこんだナイトに対し、僕が主に顔面を集中的に狙っていると、後ろからルークに止められる。


「なんで。このまま勝ててしまいそうなのに」

「いや、お前。向こうがまだ自己紹介している間に攻撃するなんて論外だろ」


 だってあからさまに隙まみれだったし。あれを逃す手はないでしょ。


「だから言ってるだろ。人が見てるところでそういうやり方はするなって。あと露骨に顔を狙うのもやめろ。周りの人たちもドン引きじゃねえか」


 いや、それはこんな魔法少女が戦ってるからであって、戦い方云々は関係ないと思うんだ。

 ルークが口やかましく言ってくるせいで、ナイトは立ち上がり態勢を立て直してしまう。


「先ほどは不意を突かれてしまいましたが、次からはそうもいきませんよ。Dr.キング様から与えられた力、とくとみるがいい!」


 その瞬間、ナイトの腕が突如筋肉によって肥大化。さらに背中のあたりからスーツを突き破ってもう二本のムキムキの腕が現れた。


「まずい。戦闘モードだ。優。ちょっと離れろ」


 ルークが慌てた様子で言う。僕もそのナイトからただならぬ気配を感じ、思わず後ずさった。


「この私の脚の恐ろしさを思い知らせてやる!」

「え。手じゃないの?」

「馬なのだから脚が武器に決まってるではありませんか」


 じゃあなんで腕ムキムキにして増やしたんだよ! なんなの。ただの飾りなのそれは!?


「説明してあげましょう。偉大なる科学者Dr.キングによって強化された私の脚により、最高速度マッハ2を出すことができます。そのスピードで激突されれば、あなたの体などひとたまりもありません」


 ますます腕関係ないじゃん。

 とはいえ、マッハ2のスピードは間違いなく脅威だ。なんとか対抗しないと。


「ルーク。どうすればいいの」

「心配すんな。防御魔法を使うんだ。ステッキを突き出して『ルークシールド』と叫べ」

「あなたのシールドごときで、強化された私の攻撃を防ぐことなどできるわけがない。食らえ! ナイトの必殺攻撃を!」

「ル、ルークシールド!」


 僕がステッキを突き出して叫ぶ。すると目の前に光の壁が現れて、僕の周りを覆った。

 その直後、ナイトはクラウチングポーズをとり、僕を殺すべく残像が見えるほどの動きで走り出し、その直後、ナイトの体は頭と胴体と下半身がバラバラになり地に落ちた。


「え……?」

「貴様。何をした!?」


 ナイトは「うおおおお!」と叫びながら、光の粒子に変化しながら消えていく。光が完全に消え去ると、その体があった場所には、何やら銀行の職員らしきおじさんが倒れていた。

 おじさんは起き上がって「な、なんですか……?」と不思議そうにあたりを見渡す。


「ルーク。あの人って、まさか」

「ああ、ナイトに操られてた人間だな。今のでナイトが死んだから、無事解放されたんだ」


 よかった。どうやらナイトが受けたダメージは、その体を乗っ取られてた人間に影響を与えないという話は本当だったらしい。


「けど、どうしてナイトは死んじゃったんだろう。僕さっきはほんとにピンチだと思ったのに」

「そりゃお前。音速を超えて移動すると衝撃波が発生するからな。それで自滅したんだろ」


 なにそれ。ただのバカじゃん。

 っていうか妖精にもそんな物理的なルールが通用するんだね。


「妖精だってこの世の存在なんだから、物理法則に縛られてるに決まってるだろ」

「じゃあなんでシールド張らせたの?」

「教えるいい機会だと思ったことと、あとあの必殺技(笑)を使わせたかったからだな。お前がシールドを張らなかったら、警戒して必殺技(笑)を使ってくれなかった可能性もあるだろ」


 ルークはわざわざ「括弧笑い」と発音しながら僕に解説してくれる。

 うん。ルークのいうことは理に適ってるんだけど、君はそういうこざかしいやり口嫌いなんじゃなかったっけ?


「あれはあくまでパフォーマンスとしてどうかって話だ。こういう周りにばれない範囲か、誰も見てないならどんな卑怯なやり口でも構わねえからな」


 うわあ。この子って、僕よりよほど考えてること悪質なんじゃないだろうか。

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