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それでも僕は、夢見てる。

 その後のことを少しだけ語っておこう。


 魔法少女まじかる☆ルークの活躍により、クイーンの魔の手から救われた世界は、その魔法少女を英雄として称えた。



 だけど僕は知っている。あの勝利は、僕一人の力で得られたものでは決してないと。


 ただの人間、それも人一倍勇気も根性もなかった僕が、分不相応なまでの力を手にして、クイーンの野望を打ち砕いたのは、みんなが僕に期待し、応援し続けてくれたからに他ならない。


 ヒーローは孤独じゃない。例え一人で戦っていたとしても、みんなの想いを背にしているんだ。


 当然世間に正体を明かすわけではないので、僕の日常が大きく変わった訳じゃない。


 でも、かつての僕よりは、ずっとずっと気力のある人間になれたように思う。

 Dr.キングは自分のしでかしてきた悪行をすべて世間に公表した。しかしあまりにも現実離れした出来事のせいで、さほど世間からのバッシングは大きくなかった。今は服役しているけれど、おそらく生きて刑務所を出ることができるだろう。


 早苗さんは刑務所に入った祖父に代わって、その研究を進めているらしい。元々自分はおじいちゃんに憧れて研究の道を志したのだと語ってくれた。


 じゃあ、前置きはこの辺にして、一番語るべき二人の話をしようか。

 僕は梶原さんと心春の両方から未だに猛アタックを受けており、未だにどちらを選ぶか結論を出せていない。昔の僕なら迷わず梶原さんを選んでいたんだろうけど、戦いを通して少しばかり心春に心が動いてしまったのと、梶原さんの提示した条件があまりにひどく、彼女としてはそれを取り下げる気は全くないらしいため、僕は決めきることができずにいた。


 一度だけ梶原さんとの女装デートとやらをしてみたことがある。けどあんな格好で普通に街を歩くなんてできたもんじゃないね。常に極限レベルの緊張に襲われて、デートを楽しむ余裕なんて全くなかった。


 梶原さんはいつか慣れるといっていたけど、慣れる気なんてしないし慣れたくもない。

 なんか知らないけど、梶原さんはある日突然魔法少女に変身できるようになってしまった。ルークいわく、クイーンのあまりに強い魔力に長くあてられていたのが原因なのだそうだ。梶原さんにはルークが取り寄せた新しいジュエルフォンが支給されている。


 心春は新しい衣装と以前のやたらエロい衣装を自由に切り替えられるようになっていた。僕に迫ってくる時だけはあの露出度が高い衣装をまとっている。


「優! 怪人が現れたぜ! 今すぐ出動だ!」

「えーこんな朝っぱらから?」


 朝起きて、パジャマ姿でトーストを食べている僕に対してルークが出動しろと呼びかけてきた。


 クイーンを倒して僕の魔法少女としての生活が終わったのかというと、実はそうではなかった。


 あれからもクイーンに倣って人間界にやってくる悪い妖精がいくつか存在していて、それを倒すためにルークたちは人間界にとどまり、僕らもまだ魔法少女としてたまに駆り出される日々が続いていた。


 けどその頻度は減り続けているし、なんかジュエルフォンのアップデートとやらで、妖精が素体の人間から離れて行動できるようになったので、僕の生活の負担はかなり小さいものになっていた。



「つべこべ言ってんじゃねえぞ。伝説の英雄様が寝起きだから動けないなんて通用すると思うか」

「はいはい。わかってるよ」



 僕は急いで朝ごはんを平らげ、自室に戻ってジュエルフォンを回収する。


 たまにヒーローをやるというのも悪くはない。かつての僕ならそれでも嫌がっていただろうけど、いまの僕にとってそれは誇りとなっていた。とはいえ朝起きてすぐというのはつらいものがあるけどね。


「いくよ、ルーク」

「おう!」


 僕はジュエルフォンを掲げながら、スイッチを強く押し込む。







「変身! 魔法少女まじかる☆ルーク!」


 

 本作はこれで第一部完ということで、とりあえず完結設定をさせていただきます。人気次第では短編とか第二部とか出す予定。

 ここまでお付き合いいただいたみなさんに、精一杯の感謝をさせてください。



 さて、本日より、悪役令嬢小説を連載し始めます。

 タイトルは「悪役令嬢に転生したら、私以外全員男の娘になっちゃってるんですけど!?」です。本作のノリを気に入ってくださる方なら、恐らく楽しめるかと思います。

 どうかぜひ、新作の方もよろしくお願いします!


追記:新作あげました!→https://ncode.syosetu.com/n2042fz/

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