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真のヒーロー

「終わったのかな。全部」

「ああ、クイーンは完全に消滅した。俺たちの勝ちだ」



 こうして、人間界の征服を目論む悪と、僕ら魔法少女の対決は終わりを迎えた。




 まだ実感は湧かないけど、僕は一人のヒーローとして世界の危機を防いだんだ。

 おかしいね。まさかただの根暗な不登校少年でしかなかった僕が、世界を救っちゃうなんて。

 それもこれも、ルークという最高の相棒を手に入れたお陰だ。



「それより、いいのか。お前が惚れてるあの子の様子を見に行かなくて」

「あ、そうだ。梶原さん!」


 僕は急いでクイーンの立っていた場所に駆けつける。クイーンを倒したのだから、梶原さんはこれで無事に解放されたはずだ

クレーターの中心に、僕の好きな人がその長い髪をはためかせて立っていた。


「梶原さん!」


 僕が呼びかけると、梶原さんはその綺麗な顔をこちらへ向けた。


「ルーク様……。私は……、とんでもない罪を犯してしまったのね」


 梶原さんはクイーンに破壊された街並みを見ながら言う。


「そんなことないよ。悪いのはクイーンだ。梶原さんじゃない」

「お前の意志があったからクイーンの自爆を止められたんだ。それに完全に支配された素体は普通妖精には逆らえねえ。そんな気に病むことじゃねえと思うぜ」



 ルークがフォローを入れる。けど君が言っても梶原さんには聞こえないんと思うんだけど。



「ルーク様、その生き物はなに?」


 あ、梶原さんもルークの姿が見えるんだ



「クイーンと変身した段階で妖精を見る力を手に入れたんだろ。お前も俺と変身できるようになってからビショップやクイーンの姿も見られるようになったしな」

「そういうことか。梶原さん、ルークっていうのは、この子の名前。魔法少女としての名前を聞かれたときに、とっさにルークって答えたのがそのまま僕の名前として定着しちゃったんだよ」


 梶原さんは「そっか……」と呟いて、僕に向かって突然頭を下げてきた。




「ずっと夢の中にいるようだった。けど私、ついさっきはっきりと意識を取り戻したの。たぶんルーク様、いえ、高屋くんの最後の一撃を受けてから。私を助け出してくれて、本当にありがとう」



 梶原さんは真摯な目で僕に感謝の言葉を述べてくる。

 いやあ嬉しいね。梶原さんに感謝されるのはいい気分だ。例えそれが本来の僕に向けたものでなくてもね。



 ………………ん?



 あれ、梶原さん、今僕のこと「高屋くん」って呼ばなかった? 

 いつの間に正体ばれてるの? 少なくとも昨日梶原さんの家に行った段階では、まったく気づかれてなかったはずなのに。



「梶原さん、今言った高屋くんって……」

「さっき意識を取り戻した直後、クイーンがあなたのことを高屋優と呼んだから。それで、あなたといつも仲のいい天野さんも魔法少女やっていることを思い出して、それと共にルーク様と高屋くんの声や顔が似てることに気付いたのよ」


 僕は梶原さんの言葉を聞いて頭を抱える。

 なんてことだ。クイーンが余計なことを言ったから、梶原さんに僕の正体がばれてしまったということか。


「あのね! 梶原さん。これは決して君を騙そうとして黙ってたわけじゃなくってね」

「わかってる。わかってるわ。あなたにルーク様のことを好きになった話をしたから、余計に話しにくくなったこともわかってる。ルーク様が男の人だって知っても、その気持ちが消えるわけじゃないから、だから……」


 梶原さんは顔を真っ赤にしてばたばたと手足を動かす。いつもクールで落ち着いた雰囲気だった梶原さんにしては珍しい。





「高屋くんの気持ちがこの前告白してくれた時から、まだ変わってないのであれば、デートの時はいつも女装するという条件で付き合ってください!」





「…………」


 僕は梶原さんに対して言葉を返すことができなかった。


「おい、優、なんとか言ってやれよ。よかったじゃねえか。惚れていた女にこんなことを言ってもらえるなんてよ」



 いや、梶原さんに付き合ってくださいって言われたこと自体は嬉しい。めちゃくちゃうれしいに決まってるんだけど、それに対して付け加えられた条件が歪すぎる。なんなの、デートの時は常に女装って。


「優くん! いたいた!」


 背後から聞こえる声。振り返ると、心春がここまで乗ってきたのであろう箒から飛び降りていた。

 よかった。心春が来てくれたおかげでこの変な空気がなんとかなりそうだ。


「優くん、梶原さん、何してるの?」


 なりそうだ。


「天野さん。残念だったわね。高屋くんはもう私と付き合うことが決定したから」

「ええ!? どういうことなの優くん!」



 ならなかった。



 梶原さんは僕の腕に抱き着いて、自分の胸に押し当てる。ちょっと待って。いきなり積極的すぎない?


「どういうことって。ただ私と高屋くんは恋人同士になることになっただけよ」


 あれ。僕には先ほどの梶原さんの言葉を了承した記憶がないんだけど。いつの間に付き合うことになったんだっけ。


「あーあー。認めません! 私のほうが先に告白したんだから、私に優先権がありますー!」

「あら。高屋くんは先々週私に告白してくれたのだけれど。今の私はそれに対してオーケーを出しただけよ」

「そうなの! 優くん!」



 僕はぶんぶんと首を振った。梶原さんの提示した条件はどう考えても「オーケーを出しただけ」じゃないよ。

 もちろん僕が好きな人は梶原さんだった。その気持ちが大きく変わってはいない。

 だけどさっきも言ったように、この戦いを通して心春に、心を動かされなかったわけじゃないんだ。


「人間同士の争いはおいておいて、ルーク様、ここは妖精同士さっそくいちゃつきましょう」

「馬鹿言ってんじゃねえよ。なんだいきなり!」

「いきなりじゃありまちぇん! あたちはそもそもルーク様についていくためにクイーンを裏切ったんでちゅ! 一刻も早くクイーンを倒してルーク様といちゃつきたかったんでちゅ!」

「優くん! どうなの! 私と梶原さん、どっちを選ぶの!?」

「答えて。高屋くん!」



 修羅場とはこういうものを指すのだろうか。

 僕の選択は、もちろん決まっている。



「優。俺も連れていけ」


 箒を呼び出した僕にルークが言ってくる。


「もちろんだよ。一緒に逃げよう」


 僕はヒーローとして、悪と戦う勇気と力を手に入れ、そして見事悪を討ち果たした。

 だけどこんな女の子との修羅場を潜り抜ける精神力は、一切合切持ち合わせていないんだよ!

 僕は二人から逃げるべく、箒に乗っていきなりエンジン全開で発進させた。

 魔法少女まじかる☆ルークの受難はまだまだ続きそうだ。 

間もなく第一部が完結します

そのあとはいくつか短編を載せた後、第二部掲載となります。開始時期は未定。いい評価が得られたら早めそう。

この小説を面白いと思ってくださる方は、ぜひともブックマーク登録とポイント評価をお願いします。作者にとって大変励みとなります。


第一部完結後、新しい悪役令嬢小説を出します。当然男の娘は登場するやつで、この小説を気に入ってくださった方なら、おそらく好んでいただけるかと。

この変身ヒーロー続編ともども、ポイント評価が高ければそれだけ続ける気力がわくので、ぜひともよろしくお願いいたします。


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