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梶原玲子は苛立っていた。
自分が惚れたルークと名乗る魔法少女に、勇気を出して誘いをかけてみたら、なんとこの家に来ることを承諾してくれた。
もうすぐことに及べそうだったのだ。あの子は間違いなく女の子が恋愛対象で、かつ自分に欲情していることは、長年の勘ではっきりわかった。
そこを、ビショップと名乗る別の魔法少女に邪魔された。
本人は否定しているが、あれは天野心春だ。間違いない。その証拠にスリーサイズが見事に一致している。玲子は裸をみただけでスリーサイズを測れる特技を身に着けているのだ。特に天野心春はかなりグラマラスな体型なので、玲子の印象にも残っていた。
「なんとしても天野さんにルーク様を取られるわけには……」
ベットに突っ伏した玲子は、そうつぶやいた。
だが自分には天野のような不思議な力はない。なんとかして、ルーク様の近くにいられる立場にならなければならないが、その方法がなにも思い浮かばない。
「なにかお悩みのようだな」
ベットの隣から聞こえる声。玲子は慌てて顔を上げた。
「樋口さん……?」
そこにいたのは、玲子のクラスについ最近やってきた転校生の樋口香織。いったいどうやってこの家に入ってきたのか。
「悩んでいるなら、力を貸そう」
おかしい。確か樋口さんは常に敬語調の、もっとおどおどとした生徒だったはずだ。
その瞬間、樋口さんの姿は光に包まれ収縮する。光が収まったとき、そこには見たことのないような薄い紫をした二頭身の小動物がいた。
耳だろうか。なにやら頭の上についた黒い毛が頭の左右に垂れている。上に赤いリボンをつけているため、ツインテールのようにも見えた。しっぽの先端がハート状になっている。
「貴様はビショップを倒したいのだろう? ならば、わたしに身を任せるがいい」




