やたらエロい衣装着た幼馴染にスカートをめくられた
「うるせえよ。人が来たらどうすんだ」
「ご、ごめん」
けどしょうがないじゃないか。まさか心春がこの町にいる他の魔法少女の正体だなんて。これが驚かずにいられるものか。
「ルーク様! ようこそおこし下さいまちた!」
「げ! ビショップ。お前相変わらずなのな」
心春の後ろにいる白い妖精――おそらく名前はビショップ――が歓喜した様子でいうと、ルークはあからさまに嫌悪感丸出しの表情を見せた。
「ああ。乙女を魅了する声と、それとは対照的に麗しいお姿。ルーク様も相変わらず素晴らしいお方でちゅね!」
「お前のうざさも相変わらずだな!」
ビショップに追い回されてルークは必死で逃げ回る。妖精同士の恋愛事情など僕らが立ち入れる問題ではないので、こっちはこっちで人間同士話をすることに決めた。心春には聞きたい事がたくさんあるんだ。
「じゃ、じゃあ学校で僕が変身中に攻撃されてピンチだったところに援護射撃してくれたのも……」
ゆっくりとうなずく心春。ちょっと待って。頭がついていかない。
「もしかして、もうその時には僕が魔法少女やってること知ってたりした?」
「うん。なんとなく、ね。昔女装したときの優くんそっくりだったから」
「その思い出話はやめようか。僕のトラウマなんだ」
小学生くらいの頃、心春に女の子の服を着せられたことがあった。その話は特に山もオチもないくだらない話なのでここでするのはやめておこう。あれは何一つ得るものなんてあるはずがなく、ただ僕の心に傷がついただけで終わったし。
「それにしても、心春。なんでそんな露出度高いの?」
僕は心春の魔法少女としての衣装を注視する。
スカートは僕よりだいぶ短くて太ももは全開。肩も丸出しなうえ、おへそも出てて、おなかのくびれがくっきりと見えているどころか、下乳が少しばかり顔を覗かせてしまっている。
端的に言って、非常に煽情的だ。心春ってこんなにエロい体してたんだね。僕知らなったよ。性欲があまり強くない僕ですら見てるだけで股間の一部が固くなりそう。
「み、見ないで!」
心春は僕の言葉でハッと気づいた様子で、体を隠すようにしてうずくまる。僕としてもそのほうがありがたい。目のやり場に困る。
「この衣装は、ビショップと契約した時に決まっちゃって、もう変更できないんだって! 私だって好き好んでこんな格好してるわけじゃないから!」
ああ、その辺の事情は僕と同じなのか。苦労してるんだね。心春も。
「…………優くん」
心春はうずくまったなにやら恨めしそうな声を漏らして僕を睨んでくる。その直後、とびかかってきて僕のスカートをめくり上げた。
「ちょっと! 心春なにしてるの!」
「優くんだって私のこといやらしい目で見たんだからこのくらいいはず! って、スパッツ……? なんで女の子ものの下着じゃないの!? ここは私に女の子ものの下着からはみ出している勃起した男性器を見せてくれる番でしょ!?」
「一体何言いだしてるの君!」
「見せて! そしたら私の濡れてるところも見せてあげるから!」
「はぁ!? 君頭大丈夫!?」
何が何だかわからない。今目の前にいる痴女は、僕の知っている堅物真面目委員長の心春とはあまりにもかけ離れていた。ほんとにこの子は心春なんだろうか。それとも変身中は人が変わっちゃうとか?
数十分後。僕ら二人と二匹は、いろいろとすったもんだあった末、全員疲れ果てて息を切らせながら駐車場に座り込んでいた。ちなみに僕と心春はとっくに変身を解いている。
「心春ちゃん。変身するとちょっと性に奔放になっちゃうところがあるんでちゅ。優くんも分かってあげてください」
ルークを追いかけ回すのに疲れた様子のビショップが僕に語りかけてくる。
ちょっと!? あれのどこが「ちょっと」なんだろう。
心春は堅物なところあるから、抑圧されたストレスが溜まってて、こういう状況ではそれが解放されてあんな形で顕現しちゃうんだろうか。
「あの衣装も、心春ちゃんの潜在意識が持つ願望に合わせて作りまちた」
「ちょっとビショップ!? なんで優くんにその話しちゃうの!? 優くん。そうじゃないの。あの衣装はビショップが無理矢理」
「うわあ……。好き好んであんな衣装着るなんて露出狂じゃん」
「だから違うんだってっ!」
「おいおい。人のことバカにできる立場か? お前の衣装だってお前の願望から作られたんだぞ」
え、なにそれ初耳なんだけど!? なんでそんなこと今更言うの!?
ルークの言葉を聞いて、心春は一転攻勢とばかりに嗜虐心に満ちた目で僕を見る。
「へー。優くんあんなかわいらしい服着たかったんだぁ。言ってくれれば着せてあげたのに」
「違うよ心春! 僕は断じてそんな……!」
ルークの言葉を信じるなら、僕はあんな衣装を着ることを望んでたってことになる。そんな趣味僕にはないはずだ。
「だからビショップも言ってたろ。それを決めるのはお前の潜在意識だ。心の奥底ではお前はそれを望んでたんだよ」
そんなわけあるか! 僕は断固認めないぞ!
ふと心春と目が合う。お互いなんだか気まずくなって、思わず目を逸らした。
まずい。とてもじゃないが目を合わせられない。
「あらあらー。青いでちゅね。二人とも。今日はこのまま心春ちゃんを連れて帰ろうと思いまちゅ」
そうしてくれると助かる。この空気はあまりにもつらい。
「共同戦線の話は後日ということで。ルーク様、またあいまちょう」
ビショップがルークに投げキッスを贈る。ルークはなにやら寒気がした様子で体をぶるりと震わせた。
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