なんで下着まで女物にしなくちゃいけないの!?
最近ポイント入らなさ過ぎて更新のモチベーションが著しく下落中。日々の無心作業になりつつある。
「ねえルーク。ほんとに履かなきゃだめ?」
「あったりめーだろ。いいから早く履いてみなって」
「……いや、やっぱ無理だよ! 女の子の下着履くなんて!」
僕は手に持っているピンク色の布をルークに向かって放り投げる。ルークはひょいとよけ、その布は僕の机の上にふわりと落ちた。
「おいおい。女物のパンツ投げてくんじゃねえよ。変態か? そういう性癖なのか?」
「なわけないでしょ! っていうかそんなこと僕にこんなパンツ履かせようとしている君にだけは言われたくない!」
そう。今僕は自室にて、変身した状態で女物のパンツをはくことを強要されている。
ルーク曰く、「お前はスカートへの防御が甘すぎるから」とのこと。訳が分からない。
「だって考えてみろよ。魔法少女のスカートがめくれて、見えたのが男物のトランクスだったらお前だってドン引きするだろ。大体なんだお前は。あんな動き方したらスカート捲れて当然だろうが。魔法少女としての自覚を持て自覚を」
そんなもの持ちたくもない。
「パンツ見せていくスタイルも悪いとは言わねえ。ただそれはあくまでチラリズムがあるから映えるんだ。しょっちゅうパンモロしてたら、キモい大人の男しかファンがつかねえぞ」
っていうかね。君は女物のパンツを履けというけど、下着は機能性重視で然るべきだと僕は思うんだ。いくら体型が男っぽい、女っぽい人でも、股間の形はやっぱり男女差大きいんだから、下着だけはその性別にあったものを履くべきだ。特に男が女物のパンツ履いたらはみ出ちゃうじゃないか!
「心配すんな。お前ほど粗チンならはみ出さねえよ」
「なっ……。僕がそれをどれだけ気にしてるか……っ!」
踏んだね!? 今君は僕の心にある最大級の地雷を踏んだね!?
「おい。優。どうしたんだ。いきなり黙ったりして」
「ルーク。ちょっとそこに正座しなさい!」
「は? なんでだよ。なにいきなりどす黒いオーラまとってんだお前」
「君が僕のことを粗チンなんていうからでしょ!」
「事実だろうが! 俺はちゃんと把握してんだぞ。お前のは最大限勃起してもたったの」
「こら! それ以上言うんじゃない!」
それは僕のトップシークレットだ。中学生の時測ってみてほんとにショックを受けたんだから。
結局、僕とルークは何時間もの間あーだこーだ言い合った末、僕は男物のボクサーブリーフを着用し、そのうえからスパッツを履くということでなんとか合意に至った。
「なんでこんな夜中に出動しなくちゃいけないんだよー。僕寝てたんだよ?」
「しょうがねえだろ。怪人が出たんだからよ。魔法少女には昼も夜も、盆も正月もないってこった」
ほんと勘弁してほしい。どんなブラック企業だよ。
「自転車で出動する魔法少女なんか聞いたことないよ」
「それもどうしようもねえよ。お前が箒を使えればこんなことにはなってねえ。悔しかったら練度をあげてまともに箒に乗れるようになれ」
お察しの通り、僕はパジャマ姿で今夜の住宅街で自転車を走らせてる。今日は親が返ってこない日でよかった。万が一親がいたら、こんな深夜徘徊をなんと言い訳したらいいのやら。
っていうか、二十四時間出動待機させられるって、あんまりにもひどすぎない? 労働基準法はどうなってるの?
「ヒーローに労働基準法が適用されると思ってるのか……。まあもしやるとしたらシフト制だろうな。そうなると最低五人必要になるわけか」
魔法少女が遅番とか早番とか言って出勤するんだろうか。それはそれで嫌だね。コンビニ店員じゃあるまいし。
とはいえ、そうしてくれないと僕の体が持たないのも事実だ。どうにかシフト制の導入を検討してはいただけないだろうか。
「まあ無理だ。俺はお前としか変身できねえし、フェアリールージングを裏切った妖精は五人もいねえよ」
「他にもいるんだ。その子達も怪人と戦ってるの?」
「らしいな。だからお前にも戦ってもらわないと俺の立場がないんだ」
うん。それは最初に聞いた。なんでルークはそこまで自分本位に語れるんだろう。
「できればその魔法少女とも話したいんだけど……。僕の負担軽減のために」
「俺もそのほうがいいとは思うがな。生憎俺はお前からあんまり離れられないんだよ。せいぜい数十メートルが限度だ。だから探しに行くこともできねえしよ」
はあ、困ったもんだ。
「とはいえ、手がかりがないわけじゃあねえ。お前が今日アマゾンと戦ったとき、アマゾンに変身中の隙を狙われてピンチだったお前を助けてくれた矢があったろ。あれはたぶん魔法少女によるものだ」
「え……? やっぱり、そうなの?」
なんとなくそうなんじゃないかなあとは思ってたけど、ルークが何も言わないから確証持てずにいたんだけど。
「俺もあれからいろいろな可能性を考えたが、それしかないだろうな。となると、だ。怪人の出現から助け舟の入るまでのタイムラグの短さを考えれば、他の魔法少女のうち、最低でも一人はあの学校にいる可能性が高い」
なるほど。まあ学校の近くに住んでる人やたまたま近くを通りかかっただけっていう可能性もあるけど、確かにあの学校の生徒と考えるのが一番可能性としては高そうだ。
「ここだ、この駐車場だ」
ルークが手で指し示す先には、大きめの薬局の駐車場があり。そこでは何やら稲妻らしき光がばちばちと放たれていた。
「てええええええい!」
響き渡る女の子の叫び声。ふりふりの衣装を着たその女の子は何やら弓らしきものを持っていて、放たれる矢はバチバチと放電を繰り返していた。
対峙しているのは全身タイツの男数十人。何度か戦ったポーンってやつらに似てる。
「ルーク。あの子、もしかして」
「ああ、間違いねえ。魔法少女だ」
女の子が矢を放つたびに、ポーンたちは「キョイー」と叫び声をあげて一度に数人ずつ光の粒子と化して消えていく。
女の子がすべての怪人を消し去るのに、さほど時間はかからなかった。
「さて。これで全部片付いたかな」
「そうみたいでしゅ。最近ますます魔法少女として上達してきまちたね」
「ありがと。ビショップ」
女の子はルークとよく似た、小さな赤いリボンをつけた浮遊する白い二頭身の小動物と会話する。あの子も妖精なんだろうか。
「あとは観客の皆さんにお礼しておきまちょう。心春ちゃん」
「ん……?」
白い妖精らしき謎生物の発言。聞き間違いじゃなければ、「心春ちゃん」と言っていたような気がするんだけど……。
いや、まさかね。ただ偶然名前が同じってだけでしょ。
あの魔法少女が僕の幼馴染・天野心春なんてこと、あるはずが……。
「もしかして、優くん……?」
女の子がこちらに視線を向けて呟く。
その声は、顔は、明らかに僕の知る心春そのものだった。
ってことは、まさか。心春がそのビショップと一緒に変身して、この町で戦ってる魔法少女ってこと……?
「ええええええぇぇぇええええ!?」
僕の叫び声が、真夜中の駐車場に響き渡った。
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