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人間の体を相似拡大すると、重さは三乗に比例するのに、筋力は二乗に比例します

 謎の助けによってようやく魔法少女になった僕。気を取り直して、アマゾンに向かってステッキを構えた。


「マジカルビーム!」


 ステッキから発射されたビームがアマゾンに襲い掛かる。


「マジカルビーム! マジカルビーム!」


 そのまま僕はビームを連打する。アマゾンはろくに回避行動をとることすらできずいるようだ。

 いつのまにか矢による援護射撃は止んでいた。けどもう問題ない。変身さえできていれば、なんとかなる。


「くっ……」


 アマゾンが蔦を飛ばして後ずさる。僕はすんでのところでその蔦による攻撃を回避した。


「動けないオレを攻撃するなんて卑怯だぞ! もういい! お前たちはDr.キングにもらった最終兵器で倒してやる!」


 そういいながらアマゾンは手を空に振り上げた。


「オレの新しい力、それは巨大化! 蔦を封印する代わりに、この体をさらに三倍のサイズにすることができる。この力があれば、お前なんてひと踏みでぺちゃんこだぜ!」


「や、やべえ。優。離れろ!」


「う、うん」


 ただでさえアマゾンは大男なのに、三倍のサイズになったら六メートル近い大きさになっちゃうんじゃないだろうか。そうなれば大変だ。この僕のビームごときで倒せるんだろうか。


「いくぜ! 巨大化あああああ!」


 直後、アマゾンの体がみるみる大きくなっていく。僕は慌ててアマゾンから距離をとった。


「す、すげえ力だぜ! さすがDr.キング! これならルークを倒すなんて造作もない!」


 アマゾンがその巨体で僕を見下ろし、興奮した様子で叫ぶ。

 そして。


「うおっ!? お、重い!」


 苦しそうに足をぷるぷるさせるアマゾン。直後、アマゾンは何やら重すぎる荷物を背負っているかのように、地面に崩れ落ちた。


「た、立てねえ……。おい、ルーク。お前何をした!」


 苦しそうに腕で体重を支えようとするも、耐えきることができず、アマゾンは地面にうつぶせになってしまった。


「え。僕は何も……」


 ほんとになにもしていない。ただそっちが勝手に苦しんでるだけじゃないか。


「まあ相似比が三倍になると、体積と重さは二十七倍になるが、足の断面積は九倍にしかならないからな。つまり足の負担が三倍になって立てなくなったんだろう」


「そんな物理的な現象だったの!?」


「ル、ルーク、わかっていたなら止めろよ」


「バーカ。止めるわけねえだろ。勝手に自滅しやがって」


 ルークが下種びた笑い声をあげる。よく考えたら、ナイトもそうだったけど、Dr.キングからもらった力とやらって、自滅という結果しか生んでないような気がする。


「優。いまだ。ありったけの攻撃をぶち込んで、最後に必殺技を打て」


「そ、そうだね。マジカルビーム!」


 おもに顔面を中心にマジカルビームを連発する。そしてアマゾンが声すら出せなくなるほど徹底的に攻撃を食らわせたのち、「ルークフラッシュビーム!」と叫んで必殺技をぶち込んだ。

 ナイトの時と同じように、アマゾンの体は光の粒子と化して消えていった。

 アマゾンが消え去った跡には、何やら警備員らしきおじさんがのびていた。


「まじかる☆ルークが怪人をやっつけたぞ!」


 グラウンドのほうから聞こえる声。いつの間にか駐車場の周りにたくさんの野次馬が駆けつけていた。

 まずい。戦いに集中してて、全然人が集まってることに気付かなかったよ。


 僕は慌てて自分の顔を隠す。焼け石に水だろうけど、やらないよりはましだ。


「ル、ルーク。どうしよう。どうやって逃げれば顔見られずに済むかな」


「しゃあねえ。これはまだお前には早いと思ってたが、箒での飛び方を教えてやる」


 ルークがそういうと、ポンっとステッキが煙に包まれて、気付くとそれは箒に変わっていた。


「お、これは魔法少女らしい道具だね。これで飛んで逃げろってことか」


「その通り。けっこうバランスとるの難しいから気をつけろよ」


 え。普通そういうのって勝手に箒がバランスとってくれるもんじゃないの?


「なわけねえだろ。お前鉄棒にまたがった体勢キープできるか?」


「わ、わかんない……。きついかも」


「じゃあ厳しいな。まあがんばれ」


 なにそれ。ひどすぎるんだけど。

 とはいえ、他に方法はない。このまま群衆を突っ切るのはさすがに無理がある。

 僕は箒にまたがって、「飛べと念じるんだ」というルークの言葉に従い、飛べと心の中で唱える。

 そして箒はゆっくりと持ち上がる。僕の足はふわりと地面を離れた。


「…………っ!?」


 僕の股間に訪れる強烈な痛み。冷静に考えたら当然だ。箒が僕の体を持ち上げるほどの力で股間を細い棒に押されたら、めちゃくちゃ痛いに決まってる。

 玉が強烈な痛みを発する。どこの玉かって? そんなの言えるわけないじゃないか。

 男としてこれはつらすぎる。いや、まあ女の子でもこのレベルになると痛くてたまらないだろうけど、男のほうがこの苦しみが大きいのは自明の理。こんなふりっふりな如何にも「魔法少女」らしい格好してるけど、僕はれっきとした男だ。僕、高屋優の男としての部分が、悲鳴を上げている。絶叫してる。

 気にいってくださった方は、是非ともブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたします。

 あと、もっとこの作品の評価を伸ばしたいと思ってくださる方、ぜひともレビューを書いてください。泣いて喜びます。

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