表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/10

第2話 はじめてスレを建ててみたよ!

 俺が師匠と出会ったのは10年ほど前のこと。

 屋敷を抜け出し、領内の森をひとりで探検していた俺は、凶悪な魔獣に襲われてしまったのだ。


 高位の冒険者が隊を組まなければならないような魔獣を相手に、5歳のちびっ子が逃げ切れるはずもなく、あっさりと俺は捕まった。

 そして食べられようとしたその瞬間、どこからともなくあらわれた師匠によって助けられたのだ。


 魔法による一撃。

 たったそれだけで、凶悪な魔獣は消し炭へと変わった。


 王宮付きの宮廷魔導士でも、あんなすごい魔法は使えないに決まってる。

 その凄まじい魔法に魅せられた俺は、助けてくれた師匠に弟子にしてくれと頼み込んだ。

 幸い(?)にも師匠は金遣いが荒く、方々に借金をこさえていたため、それを肩代わりすることを条件に俺を弟子にしてくれた。


 それ以降、俺は師匠から様々なことを学んだ。

 魔法。武器の使いかた。ひととの戦い方や、魔物との戦い方。

 とりわけ俺の興味をひいたのは、『異世界の言語』と『異世界で創られたマジックアイテム(魔道具)』の数々だ。

 はじめ、師匠が自分のことを「異世界から来た」と言った時は、ヤバイ奴と知り合っちゃったなー、と不安に思ったけど、いろんな魔道具を見せられたあとでは、俺も納得するしかなかった。


 師匠の弟子になって早10年。

 いまでは異世界の言語も、魔道具の使いかたもほぼ完璧にマスターしている。


 先月、15歳の誕生日に師匠からもらった贈物プレゼントの『たぶれっと』は、いまのところ俺の一番の宝物だ。

 師匠が魔法で常時異世界と繋げてくれているから、『たぶれっと』と通して異世界の知識や情報を好きなだけ知ることができる。

 こんな素晴らしいマジックアイテムは、王様だって持っていないに違いない。


「誰か書き込んでくれたかな?」


 師匠に教えてもらった『掲示板』というところには、いっつも誰かしら常駐していて、誰かが何か書き込むと、違う誰かに返事をもらえるのだ。

 掲示板の存在を教えてくれたとき、師匠は「半年ロムれ」って言ってたけど、未だにその意味はわからない。

 けど、きっと半年修行しろ、ってことなんだと思う。


 だから俺は修行の意味も兼ねて、掲示板に『すれ』というものを建ててみたのだ。

 はじめての経験に、さっきから心臓がバクバクいってる。


「くっ……。緊張するな」


 『すれ』がもりあがって『まとめさいと』ってとこに取りあげられちゃったらどうしよう?

 俺が異世界で人気者になっちゃうじゃん。

 有名人になっちゃうじゃん。


 俺は、はやる気持ちを抑えて自分でたてた『すれ』を覗く。

 すると、そこには――



 1:名無しのぼっちさん

 ちょっと聞いてくれよ

 父上がビッチを俺の許嫁にしちゃったんだ

 どうやったら婚約破棄できるかな?


 2:名無しのぼっちさん

 >>1

 死ね



 とだけ書かれていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ