楓誇、死す。
長くて退屈で静かな授業が終わり、やっと家に帰れると思ったら…。
放課後。夏の終わりとは言えないほどの日光にうんざりしながらも、教科書を入れたカバンを肩にかけた。このまま帰ろうと後ろを振り向くと、大きなものが私に抱き付いてきた。
「ふーこっ!!」
「わぁああつい暑い暑いっ!!」
この日差しが強い窓側でそれしますか…。
無理やり離そうとはしないものの、声と大きさで危険にさらされていることを伝えた。だが、抱き付いている結城志乃は離そうとするどころかもっときつく抱きしめた。
「ぎゅぅぅぅううっ」
「暑いってば!離してよ」
私の肩に顔を埋めてぐりぐりと左右に振った後、小さく私の耳元で囁いた。
「寂しい…」
震える声でそう言った志乃はさっきとは違うような、切なく思わせるようにきゅっと私の肩を抱いた。いつもは元気な彼女が、『寂しい』と言って抱き付くなんて思ってもみなく、暑いのも忘れて冷静に答えた。
「どうしたの?志乃」
そう言うと、志乃は体を離してえへへっと笑った。苦笑いだ。
「ごめん、何でもないっ。ちょっと、人肌恋しくなっただけだから。じゃ」
言ってすぐに、その場を立ち去ろうとした志乃を急いで呼び止めようとした。すると、私が背を向けていた窓ガラスが、外から飛んで来た爆風と共に粉々に吹き飛んだ。その衝撃に耐えられず、私は一瞬体を宙に浮かせてガラスの破片が散らばった床に投げ出された。
何が起きたのか、分からなかった。でも、まだ教室に残っていた人たちは慌てふためき私を放って廊下へ飛び出していくのだけはわかった。志乃も学校外へ出たのだろうか。
≪置いて行かないで…≫
何故か声が出ない。良く考えたら、耳もほとんどの音が聞こえないのが分かった。目はかろうじてうっすらと見えたが、恐らく顔の認識までは出来ないであろう。放り出されたときに打った肩と背中が痛い。
すると、小さく開けていた口の中に何かどろっとしたものが流れ込んできた。力を振り絞って、舌で侵入してきたモノをなめた。
血の味がした。鼻血なのか頭から流れて来たものかよく分からないが、私はそれを確信した途端に改めて『死への恐怖』を感じた。
だがもう遅い。さっきはなんとか動かせた舌も、指先すらぴくりともしない。それを現実の出来事とは信じ難い状態だったが、やがてそんな冷静な状態も保っている事も出来なくなり、ゆっくりと瞼を閉じた。
今回は勝負に出ました。
初めてのエントリーです。説明に「女性向き小説」と書いてあったのですが、私は女性ですし、そこそこドキドキな展開は作れると思っています。でも、「壁ドン」とか「アゴクイ」とか、そう言うのとはかけ離れたどちらかというと「ギャルゲー風味」なラノベなどを読んできたので、そこら辺は友達に借りながら学んでいきたいです。
ファイト。自分。