第7話~報酬は0だった……
依頼ランクF。
通常は、初心者が挑戦するような依頼の為、危険度は少ない。そのため、攻撃力や経験が無い者でも、ある程度は達成することが出来ている。
それこそ、一般市民でも数さえ揃えば依頼を達成することも可能であるため、報奨金はたかが知れている。
だが今回僕らは竜と出会い竜を殺した。
直接殺したのは僕らでは無くて、ジュウゼン様によるものだ。
だが、彼女はお礼は要らないと言い、僕らの前から消えた。
この世界では竜の鱗や牙は、攻撃性や耐久性に優れており、武器の材料に用いられている。
……だから竜の死体を有効活用できるから普通よりも多く貰えるはずだと……そう思い、依頼所に足を運んだ。
なにより竜の眼は宝石で出来ている。
昔も今も宝石の価値は同等であり高値で取引されているとナギは言った。
だからある程度は稼げると思い新しい武器や防具を買おうかと妄想していたのだが、現実はそう甘くは無いようだ。
依頼所に居た村の長は僕たちを歓迎するのではなく、睨み付けてきた。
あまりの形相にたじろいでしまう。
それでも恐る恐る袋から竜の眼を取り出した。
そして、竜の眼を渡す。
一瞬、長の表情は喜ばしく輝いた。だが、窓から山の方を見ると、大きなため息を付いき、そして一枚の紙を僕らに見せた。
「確かにこれは高く買い取ってやる。だが、お前らが竜を怒らせたせいで山がずいぶんと酷い目に合ってだな、悪いが、山の修繕費として貰うぞ」
と、そんな感じで。
僕たちは命がけで依頼を達成したのに、一円たりとももらえず、挙句の果てに竜の眼も没収されてしまった。
ただ、村人たちも少しは慈悲があったのか僕たちを一週間だけ無償で宿に泊めてくれるそうだ、三食つきで。
そんなわけで、僕たちはしょぼくれながら、宿の部屋へと戻っていた。
「結局、依頼を受けた意味無かったね」
「そうですね。でも、S級の怪物を目にできたことはよかったと思いますよ」
「そうだね。本来なら、僕らが出会うはずも無い怪物だし、その点ではいい経験が出来たか……」
重力操作とかいう、世界最高峰の能力を自分の目で見ることが出来たし、竜がどれくらい強いかもわかったし、悪いことだけではないか。
「そういえば、目指していた迷宮とはどれ位離れているの?」
「……実は、さっき村人の人に聞いたら、既に攻略済みだったの……だから、他の迷宮に行くしかなくなっちゃった……」
「そうか……でも、世界には沢山の迷宮で溢れかえっているのだろ? だったら、他の場所に行けばいいだけじゃないの?」
「うん、まあ、そうなんだけどね……でも、そこ以外に知っているところが無くて……」
「え?」
どういうことだ?
確か、この世界には沢山の迷宮があるはずだ。
それなのに、他は知らない?
「なんだか、ナギを疑うようで申し訳ないけどさ……本当にこの世界には迷宮がたくさんあるのか?」
「えーと……」
「もしかして、嘘をついたの?」
「違うよ。そうではなくてね、この近くに初心者用の迷宮が無いってことなの……あるのは、もっと攻略難易度が高めに設定されている迷宮しか無くて……だから、私たちが挑戦して攻略できそうな迷宮が無いの……」
「なるほどね……」
迷宮がたくさんあるといえど、それは攻略されていない高レベルの迷宮で溢れかえっているということか。
確かに、普通に考えれば比較的安全な迷宮に挑戦しようと誰しもが思うだろう。
現に僕たちがそうだった。
ということは、既にこの世界には、初心者用の迷宮は数が少なく、それこそ、SとかAとかの高レベル向けの迷宮しか残っていないということなのか。
「じゃあさ、今の所最低レベルの迷宮はどんなのがあるんだ?」
「えーと、この近くなら、B級迷宮とC級迷宮。もう少し離れても良いなら、D級迷宮があるよ?」
「最低でDか……それって、二人で攻略可能か?」
「うーん、無理かも。でも、迷宮の主には勝てなくても、配下の敵なら、倒せるとは思うから、生きていくために、稼ぐことは出来ると思う……」
このまま、最低ランクの迷宮を探していても、見つからない可能性が高いし、ここは、どこでもいいから、ひとまず迷宮に行ってみたほうがいいか。
「じゃあ、D迷宮に行こう」
それから、なけなしのお金を持ち武器屋に向かい、そこで、食料や回復薬を買えるだけ買う。
これから先、何が起きるかわからない、それこそ今回みたいに竜と遭遇する可能性も0ではない。だから、余裕をもって準備したほうがいいのだろう。
そして僕らは万全の装備をし、迷宮へと向かった。
D迷宮。遥か各上のところへと。




