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第3話~武器屋と世界最強

「これが武器屋か……色々なのがあるんだね」

「当然ですよ、この店はここら周辺で、品ぞろえ、品質、どちらも一級品ですからね」


 僕とナギは一緒に武器屋に来ていた。

 武器屋とはいえど、ゲームのような一人経営で店主がその場で作るわけではなく、あくまで商品を売るだけのスーパーみたいなかんじだ。

 でも、普通なら手に入らないような名刀などの武器が多数揃えている。そのため、迷宮に挑む人たちは、必ずといっていいほどこの店に立ち寄るようだ。


「とは言っても、この店じゃあ、Bランクまでしかないんだけどね」

「Bランク?」

「うん。この世界には沢山の武器屋があるんだけどね、その大半の武器屋の最高ランクがBランクなんだ――このランクが高いほど、攻撃力、防御力がすごいんだ!」

「へえー。それで最高はAとか?」


 武器にランクがあるなんて、いよいよゲームみたいだな。もしかして未来では無く、ゲームの世界には来ちゃったのかな?でもそうだとするなら、自分の能力値(ステータス)を確認できるはずだし、違うかな。それにあくまで俺の力は時空移動であって、異世界移動ではないからありえないか。


「違うよ、最高はS1ランクだよ。因みにランクの後に数字はその武器がこの世界でどれだけ貴重かってことね」

「ということは、例えA1ランクでも、最下位のSランクには勝てないってことか?」

「そうそう。まあ、弱い人が使っても本来、その武器が発揮できる力を引き出せないから、必ずしもSランクを持っているからって強いわけではないけどね」


 ああ、確かにそうだよな。拳銃とかでもコントロールが悪ければ命中しないし、剣だとしても、へたくそな人がいくら振ってもたいしてダメージを与えられないし、そういうことか。


「それなら、俺の武器は糸でいいのかな?」

「うーん……それはどうかなあ……確かに颯太の糸捌きは見事だったけど、中には頑丈な怪物もいるからなあ……やっぱり糸以外の武器は必要だよ!」

「やっぱりそうか……」


 どうしようかな。

 いきなり、武器と言われても何を選べばいいかわからない。剣とかだと上手く切り付けられないと思うし、拳銃も命中しないかもしれないし……いや、無理とか、簡単に決めつけすぎか。

 この際だ、何か武器を初歩から極めるか。


「例えば、武器ってどんなのがあるの?」

「そうですねえ。拳銃、刀、ハンマー、弓。それくらいですかねえ。あ、刀にも短剣(ダガー)とか片手剣(ハンドソード)とかいろいろとありますけど」


 ナギが提案してくれたのはどれも、いいとは思うのだが、どれかとなると決められない。この際、全てを使えばいいのか?

 って、いやいや、それはあまりに愚行だ。どうせ、何一つ極められなくて、中途半端に終わるに決まっている。


「それならさ、剣にするよ」

「そうですか……うん、いいと思います。それで種類はどうします?」

「……筋力には自信がないし、短剣にしようかなあ」


 うん、持てない剣を勝っても意味が無いし、長時間持ち続けても負担が少なく、なおかつ、素早く繰り出せそうな短剣のほうがいいかもしれないな。


「だったら。これなんてどうです?」


 そう、ナギが指さす先には、刃が15㎝ほどの短剣があった。持ち手が濃紺であり、見た目もかっこいい。

 で、値段はというと。

 ……。


「ああ、やっぱこれはいいよ……」

「え、何で? これ結構いい刀だよ?」

「だって……こんなに高い剣は買えないよ……」


 うん。初めてこんなに桁が高いものを見た。こんなの買う人いるのかよ。それにしてもなんでこんなに高いんだよ!

 値段に驚く俺だが、ナギは首を傾げ。


「……いや、確かに高いですけど、私が迷宮で稼いだお金を使えば買えますよ?」

「……でも……」

「これから、長い間コンビを組むんだし、そんなに遠慮しないで下さいよ……それに、命の恩人でもある颯太への恩返しです」


 そこまで言われたら、何も言い返せないな。ここで、なお止めると言えば、ナギに対して失礼になるか……。


「ありがとうナギ! 大切にするよ」

「いえ――あっ、そうだ。防具も買わないといけませんね!」

「ああ、確かにそうだね。このままだったら危険か……」

「うーん、剣だったらこれかなあ?」


 と、ナギが持ってきたのは、軽めのジャンバーみたいなものだ。これが防具なのかな?

 俺の想像では、もっとごついものだったけど。


「これって、防具として機能するの? なんだか、ペラペラで不安になるんだけどさ」

「ああ、千年前には無いもので出来ているんですよ。だから、こう見えて、かなりの防御力があるから、安心していいよ!」


 そうか、いつの間にかにそんな便利なのが開発されていたのか。

 ――なんだか、自分が凄く年寄になった気分だ。まあ、千年前の住人だから。この世界の人から見たら、超年寄ということか。


「一応、試着したほうがいいし、そこで着替えて!」

「ああ、うん」


 呼ばれて隣を見ると、いつの間にかに、その他の、手袋や靴といった防具一式を手に持っていた。またもや考えこみすぎていたか。

 ナギから。防具を受け取り、近くにある着替え室に入る。

 

 それで、これって服の上から普通に着ればいいんだよな。

 ――全て着た後、取り付けの鏡を見ると、そこには冒険者っぽい自分の姿がそこに写っていた。

 

「どう?」

「ああ、いい感じだよ」

「そう? ちょっと見せて!」


 僕とナギを遮っていたカーテンを開くと、ナギは息をのみ、そして。


「うん。とても似合っていますよ! まるで別人です!」

「ありがとう、ナギ」

「それで、これって脱いだ方がいいかな?」

「いや、そのままでも大丈夫だよ。着替えている間に会計は済ませたから」


 着替えている間に会計済ませるって、サイズが合わなかったらどうするつもりだったんだろう?

 まあ、別にサイズも丁度良かったし、そんなことを考えてもしょうがないか。


「それで、早速だけど、迷宮に行く?」

「そうだなあ、ちょっと練習したいかな……このまま迷宮に行っても、武器を扱える気がしないし」

「――それなら。この近くに、訓練施設があるから、そこに行こうよ」


 訓練施設か、確かに、どうやって怪物を倒せばいいのかわからないし、それに実戦経験を積むのもいいけど、まずは基礎が出来ないと話にならないから、訓練施設に行ったほうがいいか。


「それで、訓練施設ってどんな感じなの?」

「簡単に言えば、模擬攻略できるって感じで、既に開拓された迷宮をほぼ同じに再現しているところですよ! 因みに私もそこで訓練して、だいぶ基本が身についたし、良いとこですよ」

「それなら、僕もそこで学ぶことにするよ」


 僕たちは武器屋を後にして、訓練施設に向かった。




☆~☆~☆~



 迷宮攻略模擬試験訓練施設。

 迷宮を攻略するためだけに設立され、今から二十年前に自治体組織が運営し始めたようだ。

 かの有名な、攻略者も最初はここで学んでいたらしい。入学料や受講料はタダ。その割には設備がしっかりしているとのこと。

 大きさはちょっとした学校ほどもあり、多くの人で溢れかえっている。道行く訓練生は子どもから大人と様々だ。

 ここでは、既に攻略された迷宮の模擬試験が出来るため、迷宮に挑戦する前に腕試しをする人たちや、迷宮についての基本的情報を知りたい人たちが来ているようだ。

 

「それで、まずはどうすればいいの?」

「うん?ここは事前登録とか必要ないから、心の準備がいいなら早速練習できるよ。それか、怪物とか、迷宮についての講義を受けてからにする?」

「講義は受けたほうがいいのかな? そもそも、講義に出たらどんなことを学べるの?」

「そりゃあ、怪物についての色々な情報だよ? でも、迷宮ごとに怪物は異なるから、正直なところ意味はないかな……迷宮についても同じかもしれない。現に前、私が講義を受けた時の情報で役立つものなんて、一つもないし……」


 なんだか、それなら講義の存在意義がないな。はたしてそんな講義を受ける人がいるのだろうか?

 あ、でもナギは、意味が無いと言いつつ受講しているな。それなら、俺も受講したほうが良いのかな?


「うーん」

「どうかした? もしかして受講するか悩んでいるの?」

「ああ、うん。どうしたらいいと思う?」

「そうだなあ、まあ、受けなくてもいいと思うな。あの程度の内容なら、迷宮に行く途中にでも教えてあげられるし……それに、まずは実技練習をしたほうがいいと思う」


 まあ、ナギが教えてくれるというなら、受講する必要はないか。

 それに、先ほど買った短剣で早く練習したいし。糸操も、もっと練習を積まないととてもじゃないが実戦ではまだまだだ。


「じゃあ、迷宮模擬をするよ。それで、どこにあるの?」

「あそこにさ、四角い箱みたいな建物があるでしょ!? あそこで練習できるよ!」

「ああ、あれね」


 そこには、正方形の形をした大きい建物があった。窓は一つもない。正面に一つ窓ガラスの自動ドアがあるだけの殺風景な建物だ。


「ここって、どういう感じのとこなの?」

「そうだなあ、簡単に言えば、迷宮迷路かな。道が入り乱れていて、ゴールに着くまでにかなりの時間がかかるみたいな感じだよ! もちろん、途中には罠や怪物が待ち構えているから、気は抜けないよ!」


 迷路型の迷宮ということか……方向音痴だけど、ゴールに着けるかな……。

 そもそも、いきなり、怪物と戦えるのか? いくら短剣といえども、剣の振るい方なんてわからないよ。


「ナギはさ、剣を扱える?」

「人並みにはできますよ? なんなら、私が指導しますよ?」

「ありがとう、ナギ……じゃあ、さっそくだけど、短剣ってどうやって持てばいいのかな……」


 よく、漫画や小説には剣を武器に戦う主人公が多いが、実際どうやって、剣を持っているとか、使っているとか知らないんだよな。

 まあ、そんな描写が少ないからしょうがないか。


「そうですねえ、人によって持ち方は変わるけど、基本的には、利き手で握ればいいよ。もちろん振り回した時に、どっかに放り投げないように、しっかりと掴めば大丈夫だよ」

「ずいぶんとアバウトだね、もう少し何かないかな?」

「もう少し? といっても剣なんて、握る、振る、これだけだよ? もちろん振り方や振る速度で、攻撃力は違うけど。でも今そんなことを言っても、きっと出来ないよ? 」


 まあ、その通りか。

 いきなり、高レベルの剣技をできるという方がおかしいか。それに、今まで、剣道やフェンシングみたいに剣を使ったことは無いし。


「――握り。振る。うん、わかったよ」

「大丈夫? なんだか、考えすぎている? 別に迷宮の怪物は、ちゃんと躾けられているから、そんなに心配しなくても平気だよ?」

「え? そうなの?」


 躾けられているということは野生の怪物では無く。人工的に作られた怪物ということなのか? でも、人工的に作られた怪物って、どんなやつなのだろう?


「怪物ってどんな感じなの? 狂暴ってことはわかるけど、どんな系の生物に近い? 犬とか? それとも、鳥とか?」

「どっちでもないかな……あの生き物を表現するのはちょっと難しいかも」

「そうなの?」

「うん。あの怪物は、無限増殖って名前で、まあ言葉の通り、無限に増え続ける変わった生物でね。大して攻撃力や防御力は高くなくて、誰でも殺せるんだけど……」

「……だけど?」

「――一匹でも生きていれば、絶えることなく増殖していくから、恐ろしいことになるんだ」


 

 恐ろしいことか……まあ、確かに一匹が数百に増えたら、いくら攻撃力が小さくても恐ろしいことになっても不思議ではないか。

 現に、グンタイアリは、弱っている生き物、例えば、牛や馬などの大型動物、またまた、病気がちの人間なら、襲いかかってきて、最悪殺してしまう力を持っている。

 だから、いくら小さな存在でも数が増えればそうとも限らない。だから、絶対に油断してはいけない。そう、昔、お婆ちゃんから教わったんだよな。だから、無限増殖ともなると、凄く危険だ。


「それでね、結構前だけど、一時期あの建物から一匹逃げ出したことがあってね、もう辺り一面が怪物だらけになったんだ……あの時はもうダメかと思ったよ」

「それは怖いね。で、結局どうなったの?」


「えーとね、世界最強の人に頼んで一匹を残して駆逐してもらったんだ。あの時の光景は凄かったなあ……もうなんか、次元を越える強さだったよ!」

「世界最強? そんな人がいるの?」


 世界最強。

 そんな言葉をまさか、小説やアニメとか以外で聞くとは思わなかった。確かに千年前にも、プロレスラー最強、相撲最強、野球最強、空手最強、ケンカ最強ってあったけど。

 ただ単に。世界最強。

 なんだか、それはとても凄まじい気がする。

 ――でも、まあこの世界の最強ということは能力者なのかもしれないな。


「うん。この世界最強の能力者。破壊神。彼は本当に強いよ。それこそ、人間を止めちゃったのかなって思うくらいね」

「そんなに強いの? 例えるならどれくらいなのかな?」

「そうだなあ、この世界の全てを敵にしても勝つくらいの強さかな」


 強すぎだろ!

 確かに、それは人間を止めている。むしろ、神に近い存在だよ!

 破壊神さん!


「で、因みに破壊神はどんな能力なの? 電気系? それとも炎系?」

「全然違うよ! 破壊神はね、この世の重力を操るんだ!」

「重力を操る?」


 待て待て。

 本当にそれは人間なのか?

 それに重力って操れるものなの? 


「どういう原理なの、それって?」

「さあ、よくわからない。確か、前にこの世界のトップクラスの頭脳を持った科学者百人で共同研究したことがあったけど、それでも。原理がわからなくて、結局、諦めちゃったんだよね」


 科学者でもわからないのか。

 でも、なんとなく、予想できたな。確か重力は自分以外を牽きつけることだったかな。だったら、破壊神はそれを、空間に集約することで、実現しているのかな?

 いや、そんなの僕の適当な想像だから、違うか。でも重力を操るなんて、とんでもない能力者だな。


「でも、重力ってそんなに攻撃性があったかな? なんだかそこまで思いつかないけど」

「結構ありますよ? 例えば、宇宙に無数に存在する、ブラックホールを出現させて全て吸い込んで潰すとか……一部の空間だけ重力を無くして、遥か上空に浮かした後に解除して、落下させるとか」


 なるほど。確かにブラックホールとかはかなり使えそうだ。いくら無限増殖とはいえ、圧倒的までの重力で潰されればなす術もないか。それに無限増殖って数が多いってだけで、攻撃力は低いみたいだし。


「一応聞くけど、ほんとにそれ、人間なの?」

「うん。一応、人間みたいだよ。でも凄すぎて、世界最強、圧縮王、破壊神、重力破壊とか、力に恐れてか、憧れなのか、色々なあだ名があるけどね」

「なんだか、中二病みたいなものもあったね……まあ、とにかく迷宮迷路に挑戦するか」

「そうですね」


 僕たちは、建物の入り口を潜り抜け、迷宮に挑戦する。


 颯太が買った、短剣の能力値については以下の通りです。

「クラム短剣B-125」

 クラムとは、この短剣を作った人の名前です。この世界では、武器の名の前には生成者が刻まれます。そして125というのはBランクの武器の中で125番目に能力値が高いということです。

例えば、同じ人が同じ武器を作ったとしても、その出来は違います。だから、「クラム短剣B-456」や、逆に「クラム短剣B-15」などがあります。


 A以上の武器は基本的には、そこらの店では買えません。颯太が言っていた、名刀でもB--15ランクでした。だからAランクともなると、職人と呼ばれる個人経営の人たちのところでしか、買えません。

 その値段は、とんでもなく高く。普通の冒険者は買うことができないです。

 例えばランクが一つ違うときの値段は100倍違います。

 B1ランクとA1ランクでは、100倍以上違うので、Sともなると10000倍……とんでもないですね。

 ただ、高いだけあって、現時点ではSランクはこの世界には数本しかないです。それにAランクも数10本しかありません。


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