カップラーメン伝説
ここの地域は昔から鉄道の町と呼ばれていて、名の通りたくさんの列車が毎日ガタンガタンと音をたてて走っている。
そんな町の一人の住人の僕。
自転車で30分ほどかかるところにある高校に通っている。
成績は悪くはない。
だが来年の大学受験のことを考えると少しばかり焦らなくてはならないと思う。
一人暮らし故、家事やバイトと両立していかなくてはならない。
料理ももちろん自分で作らなくてはいけない。
帰りにいつものスーパーで買い物をして帰ろう。
今日は確かカップラーメンが特売のはずだ。
一番すきなシーフードヌードルをいくつかかって帰路に戻る。
そしていつもの踏切が見えてくる。
遮断機の前で自転車から降りて、開くのを待つ。
ふと線路を見ると、その上にはなにかがおいてあるように見た。
その上には湯気がたっている。
……まさか?!あれはカップラーメンではないか!
「お湯をいれてから三分たつまでさわらないがモットーのお前におれを助けられるか?」
カップラーメンの方から聞いたこともないような声がきこえてくる。
「まて今助ける。」
「やめとけ。お前がおれにさわれるのは列車がおれを弾き飛ばしてからだぜ、あきらめな。」
僕は、僕はあいつを助けたい。
……間に合うか?
遮断機を乗り越えた僕はあることに気がつく。
その刹那。
金属の擦れる嫌な音とともに、
列車が踏切を通り抜ける。
飛び散るのは赤い液体と、
ぐちゃぐちゃになった肉片。
家につくと僕はすぐさまシーフードヌードルにお湯を注ぐ。
「やっぱりカップラーメンと言えばシーフードにかぎるよな。蒙古タンメンはごめんだぜ。」
その夜、例の踏切の地面には、
電車ではね飛ばされた蒙古タンメンのカップがありましたとさ。