~プロローグ(1)~
・・・2664年 12月 24日・・・
世界の人々は今、幸に包まれて、家族や愛する人と時間を過ごしているだろう。
この日、俺は現実世界を去った。
会社を終えた後、車で帰り道の途中、めまいがして気を失い、猛スピードでカーブのガードレールに突っ込み、車ごと転落したという。
俺が死んだ後、警察が調査したところ、めまいの原因は会社の労働基準法違反の事がもとだった。
俺、鈴原隆明は決して幸が無かった訳ではない。
・・・2643年 7月 14日・・・
俺が生まれた日だ。
俺が生まれた家はとても裕福だった。
俺は3歳で英会話を習い始め、5歳で英文暗唱コンテスト最年少で優勝。
7歳にはサッカーに目覚め、12歳で地元の小学校のキャプテンとして全国大会出場し、準優勝。
勉強面では成績トップで志望校合格。
普通の旅行会社に就職、順風満帆な日々を過ごしていた。
苦も無いと言っていいほどだった。
しかし、俺は後悔した。
なんで裕福な家なのか、なんでスポーツ万能なのか、なんで普通に就職するのか・・・
俺は順風満帆な人生より、波瀾万丈な人生を生きたかったらしい。
だから、死んだことはいい機会だと思っている。
生まれ変わるのなら、いい子ぶるのではなく、おもしろおかしくいきようじゃないか、と。