僕と彼女
昨日のことが頭から離れない。『彼女は関係ない』と言っていたが、はたして僕はそれでいいのか?
答えは昨日の時点で決まっていた。
『このままでいいわけがない!だって僕は彼女が……好きになっていたから。
なんで、好きになったの?と聞かれても答えられない。好きに理由なんていらないだろう。
ただ、僕の中ではっきりしているのは、このまま彼女を一人にさせたくないということだけだ!』
四時間目の終了のチャイムがなった。今から昼休みだ。
「なぁ、大和、一緒に飯、食おうぜ!」
いつも一緒に昼飯を食べている友達が聞いてきた。
「悪い!今日は用があるんだ!」
「なんだ?委員会か?」
「違うけど、とにかく行かなきゃ!」
「なんかお前いつもと違うけどなんかあったのか?……まあ、いいや……早く行けよ」
「すまない、今度なにかおごるよ」
「いいよ別に」
まったくいいやつと友達になったもんだ。たちの悪いやつだったらここでいろいろとしつこく聞いてくるのに。
彼女は自分のクラスにいた。数人のクラスの女子に囲まれてにぎやかに食事を取っている。
僕は教室に入り、彼女の前まで行って言った。
「一緒に来てほしい。二人だけで話したい」
クラス中の視線を感じる。恥ずかしい。が、そんなことはささいな問題だ。
「えっ、大和君。話って?」
今度はクラス中の視線が美波さんに移る。美波さんは、クラス中の視線を受けて顔を真っ赤にしている。
「わ、わかった。話を聞くから場所を移さない?」
「そうだね。じゃあ、行こう」
僕が歩き出すと、美波さんは僕の後をついてきた。
僕たちは自然と図書室に向かって歩いていた。教室を出てから二人は黙ったままだった。
僕は、教室を出てすぐ恥ずかしくなった。今すぐ、どこかに行ってしまいたいぐらいに……
美波さんはというと、下を向いているので表情はわからないが、耳は真っ赤になっている。
『やっぱり、まずかったか……』
僕の中で後悔が頭の中を満たそうというときに、図書室に着いてしまった。
えっと、図書室には……ちょうど、誰もいないようだ。
「美波さん!」
「は、はい!」
『なんかこれでは愛の告白みたいではないか』
僕は、すぐにそんな雑念を振り払い、言う
「僕は、やっぱり相談を受けた以上、君をほっとくわけにはいかないよ」
「どうして?」
彼女は、下を向いたまま尋ねる。
「どうして?って、理由が必要なのか?僕はただ、美波さんのそばにいてあげようと思っただけさ」
彼女は、下を向いたまましばらく黙っていた。そして、
「大和君ってやさしいんだね!」
彼女は、笑いながら泣いていた。
「私うれしい。そんなこと言ってくれるなんて思ってなかったから……私……大和君のこと好きになっちゃいそうだよ」
僕は彼女を直視できなくなっていた。さっきまでは平気だったのに……
彼女に『好きになっちゃいそう』と言われたとたんに僕の頭の回路がおかしくなってしまったようだ。
「でも、一緒にいると別れる時につらくなるよ、きっと……」
「それでもいい。僕は美波さんをひとりにしないって決めたんだ」
「ありがとう!」
そのときの彼女の笑顔は特別輝いて見えた。




