彼女の相談 3
「実はね、私、あと少しで死ぬことになると思うの」
彼女のその言葉がしばらく頭の中で繰り返し再生されていた。
「どうやら、私は最近までは治すことすら不可能だった病気になってるらしいの。専門的なことは知らないけど」
『病気』
『死ぬ』
僕の頭はすぐに整理できないほどに混乱していた。
「大和君、こんなに重い話してごめんね。大和君には関係ないのにね。でも、相談ってこれのことなの」
彼女の表情は普通に戻っていた。だが、僕の心はまだ戻れないでいた。
「僕は……どうすれば?」
なんとかそれだけは言うことができた。
「私の本当のことを知ってくれただけでいいの。ただ、誰かに知っておいてもらいたかったのかな?私の存在を……」
「なっ……なら……同じクラスの人に相談すればよかったのに……なんで、僕に?」
彼女は少し悲しそうに言った。
「私、学校に来れるようになったの結構最近なんだ」
「え、そうなの!」
「だから、あまり知らなかったってのもあるし。それに……」
「それに?」
「せっかくできた友達との関係を壊したくなかった。私は普通の学校生活をしたかったの」
「それで、何で僕?」
彼女はこっちを向いて言った。
「紙を私に返してくれたときに思ったの。この人になら話してもいいかもって。理由はそれだけ」
「たったそれだけ?」
彼女は笑顔で言った。
「そう!たったそれだけ、アハハ」
僕は逆にあきれてしまった。
「アハハじゃないよ。笑えないよ」
彼女はベンチから勢いよく立って言った。
「深く思いつめないで。心の片隅にでもしまっておいてくれるだけでいいの」
「そんなこといわれても……」
彼女はこっちを振り向かずに言った。
「ホントにそれだけでいいの。今日は聞いてくれてありがとう。じゃあね!」
彼女は逃げるようにして行ってしまった。
一人とり残された僕は、夜風に吹かれながらしばらく彼女のことを考え、それから家に帰った。




