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07 人はどうやってデキるの?

「今って何日目くらい?」

「多分、三ヶ月は過ぎているかな」


 家の外にある印の数を思い出しながらそう言う。


 しかし、創造主の言った三ヶ月という言葉は、創造主の時間軸という点から見ると、この印は随分と違っていてるのだ。


 それもそのはず、印はズレているのに百を超えていた。創造主の元いた世界では、百六十八日が経っている。

 月に直せば、約六ヶ月。

 もう半年が経っていた。

 しかし、創造主とスライムはそれに気づく術はない。


 人を創ることに専念したいた初めの頃と違い、今はのびのびと街の発展に力を入れていた。

 

 せっかく手に入れた飛行能力を利用することなく、街の中を二人はいつも歩いている。

 常日頃同じ道を歩いている。


 それでも家は同じではない。

 どちらかと言えば通い婚に近い。逆通い婚とでも言えば良いのだろうか。


 二人の朝は太陽が昇るよりも早くに始まる。

 創造主の家とずっと遠い家に住んでいるスライム。

 二人は道に沿い歩き、途中の広場で落ち合う。


 創造主はその広場に行く前に、家の近くの田園を確認する。

 植えらている麦は順調に成長している。

 時期をミスれば枯れてしまうので、ちゃんと素人ながらも見極めないといけない。


 俺は麦が枯れるかもしれないと思っているが、実際に枯れるのかは分からない。

 そもそもこの麦も一切倒れることなく成長していて、農業の辛さというものが分からない。

 水をあげれば、その度に成長している。

 これは俺が水をあげれば、成長するという偏見があったからだろうか。

 こういう偏見があると、想像通りには行かないのだ。

 完璧に想像するのは、この収穫が終わってからだろう。一気に植え替えする時に想像するしかないのだ。


 今日も、早く成長しないかなと思いながら水をあげている。

 水は俺の掌から創造して撒いている。

 俺はついに水や火を創ることが出来た。

 それはまるで魔法のよう。

 俺はそれを想像していたので、狙い通りである。

 掌から現れる時は、初めに水の球型の塊が創造され、そこから破裂するように全体に散布する。


 ここだけ見たらまるで完璧な世界だ。

 しかし、水や火は全然思い通りにいってくれない。

 水は傾きがあっても流れてくれないし、火は隣に木造があっても延焼してくれない。

 物理法則がまるで機能してくれない。

 太陽は同一の物体に周る指示を出しているので、ずっと聞いてくれるが、水と火は毎回別なのでその度に指示を求めている。

 この世界全体の物理法則という名のルールは存在していないのだ。


 最大の問題点は、創造は出来るが創造した物を、なかったことに出来ないのことだ。

 水や火も時間が経てば消えることはなく、残り続けてしまうのだ。

 作物は吸ってくれるように想像していたので、撒く分は問題ないのだが。


 残ってしまった分は、現状はそのまま放置している。余裕が出来たらいつかやろうと思っているが、中々やる気が起きない。

 余裕どうこう以前の問題であった。


 水撒きが終われば、創った人のセンスが疑われそうな太陽を見つめて、広場へ進み出す。


 行き道の途中、遠くに山岳地帯が見える。

 家の近く創ることを避け、その一帯のみで山を創っていたので、そこはこの世界の雄大な唯一の山岳地帯となっていた。


 山は繁茂しているものから、山頂が削れて石肌が丸見えで、バリエーションが豊かとなっている。

 初めてその姿を遠目から見た者は、その山に目を惹かれて、身体を震わせるのであろう。


 その山々に、創造主とメルムは『神の山岳』と名付けた。

 この名は創造主が安直にその名を名付けたのであった。

 我ながら良い名前だ。


 そうして、俺は広場についた。

 メルムよりも早めについたようであった。

 スライムは跳ねながら来ているので、あの見た目では随分と遅いのだろう。

 恋人を持っている人間と同じ感覚なのだろうか。

 待ったと聞かれたら、今来たところみたいな粋な返しをするのだろう。


 あいつはスライムだから性別がないだろうけど、女の子だったらな……

 この世界には俺とアイツしかいないのだから、もし人間だったら、どんなに性格が悪くて、ブスくても惚れるだろうな。


 俺は空を仰いでスライムが来るのを待った。

 

 今日の天気は、晴れであった。

 この世界の天気において、気圧や湿度などの科学的なものは関係ない。

 だってそんなものはないのだから。

 天気は変わるが、それはまるでランダムだ。

 俺が意図した通りに天候が変われば良いのにな。


 雪もないのが寂しい。

 雪が降ればメルムと雪合戦したり、雪だるまを作ったりしただろう。

 それに雨で、気分が落ちた時に幼心を取り戻すような虹が掛かれば良いなと思う。

 幻想的な景色には、それが必要だからな。


「現着!!」


 そこには、人の影があった。

 いや人影じゃないスライム影だ。


「待ったとかないのか?」


 振り向き様に言ってみる。

 俺のセリフを潰すためにそのセリフを言ったのだろうか。

 メルムは拒否するでもなく、苦笑いしている。


「で、今日は何するの?」


「今日は久しぶりに人を創ろうと思う」


「ついに挑戦するのか。これまで避けてきたのに」


 俺は世界五分前仮説を実行するために、その埋め込める記憶を創っていたが、それには労力が掛かりすぎた。


「今回はまだ俺の記憶を基に創ろうと思ってんだ」


 メルムはそれを了承してくれた。

 なので、俺は今から人を創ろうと思う。

 あれから創造力も増えたと思うのでいけるだろう。


 人の形を思い浮かべたら良い。

 今回は女の子の見た目に創ってみせる。

 背が高くて、おっぱいもでかいような理想の見た目にしよう。


創造(シューブエイト)


 俺はそう叫んだ。

 創造主は、力を絞りきり倒れていった。


 創造主の意識がどこかへと飛んでいく前に、ムメルがこちらへ向かってくることを創造主は認識していた。


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