2話 蛇がおいしいです。
こんにちは。シーズです。
魔法が呪いだと判明し、メイドを首になって、はや1日、私は隣国につきました。昨日のことなのに、ずいぶんと時が経ったように感じます。
レンデール国はどうやら、クリストーレ王国とは、全く違う気候のようです。こちらの地は暖かく、大きな
山を大きな街で囲ったような国です。自然豊かで、とても空気がおいしいです。
少々汗をかいてきたので、メイドの格好を着替えようとしましたが、やめました。私がこの服を着替えると、アイデンティティが失われる気がしたのです。ごめんなさい。言い訳です。ただアルヴァイン家が恋しいだけです。
周りを少し観察します。目の前には大きな山があります。山のあちこちに、大きなドームのような建物がいたるところにぽこぽこと、きのこのように生えています。おそらくあれは噂に聞くダンジョンなのでしょうか。また、目の前の街並みは、城下町を彷彿とさせるような、ぎっしりとした街並みです。通行人のほとんどは防具を着ており、剣や盾をお持ちです。私のこの格好は、だいぶ浮いているように思います。
退職金に、市民が3年ほど暮らせる見たことない金貨を、公爵様とリーシャ様からいただきましたので、宿でも探してチェックインを済ませた後、ここでの生き方をゆっくり考えようと思います。
歩いていると、たくさんのお店が私の財布を誘惑してきました。特に、食事面です。お腹が空いていたので、人が並んでいない、炭火焼きモンスター串というお店というか、屋台に行こうと思います。明らかに、異質なものを焼いています。しかし、私はアルヴァイン家でも、屈指の馬鹿舌なので、腹に溜まればなんでもいいです。
「いらっしゃい。お嬢さん。珍しい格好だね。貴族様のおつかいかな。おつかいにしては、ここはセンスが全くないぜ。がははははは。」
20代後半くらいでしょうか。店主様に歓迎の言葉をいただきました。焼けた肌に金髪。アルヴァイン家は雪国に属していたので、このような風貌の方はあまりいなかったので、まじまじと見つめてしまいました。
炭火焼きモンスター串は、いろんな種類があります。大きな網に、見たことない生き物が並んでいました。大きすぎて、私の腕より長い、剣のような串で、刺しているものもあります。ほとんど丸焼きで、見た目が結構グロテスクです。しかし、匂いはとっても美味しそうで、とても悩ましいです。
「すみません。これを1本ください。トッピングは、ファイアーペッパーでお願いいたします。」
「ひとつ目蛇だね。なかなか珍しいピックだな。今回初めての来店よな?よくこんなの食べようと思ったな。理由を聞いてもいいかい?」
「え?本当ですか?女の子らしかぬピックでしょうか?この中で最もかわいい1匹を選んだつもりですが、、、」
「がはははははは。いかれてる。お嬢さん面白すぎる。いやせめてホーンラビットとかだよ。かわいいのは。ひとつ目蛇は不人気ナンバーワンだよお嬢さん。がはははははは。お腹痛い。」
「ショックです。かわいいのに、、、。」
「でもな嬢ちゃんお目が高いぜ。一つ目蛇は、命の危機を感じると、目が合ったものを石に変えてしまう魔法を使うからな。あまり討伐の人気が無く、見た目の理由もあって、取り扱ってるのはうちくらいなんだよ。」
不本意ながら世間的にみて可愛くないものをどうやら選んでしまったらしいです。味覚だけでなく、美的感覚まで、おかしいとは、、、。まあ、ここでしか食べられないものみたいですし、未知の味にワクワクしているので、良しとしましょう。
「値段は、銅貨1枚だね。ほいどうぞ、ファイアーペッパーつきだよ」
「承知しました。少々お待ちを」
財布を確認し、銅貨を3枚取り出した。このみたことない金貨は、おそらく普通の店では使えないのでいざという時のために取っておきます。
「どうぞ」
「はい、ちょうど3枚ね。毎度あり。よければ嬢ちゃん後ろの机使うかい。」
「ありがとうございます。助かります」
木の温かみのある机と、丸太椅子のセットがありました。腰掛けてみると木のいい匂いがしました。
街を歩く人や賑わいを特等席で見ながら食べれるなんて、まさしくお祭りに来た気分になりますね。
食す対象をじっと見てみます。キュートでつぶらなお目目がやはりかわいいです。食べちゃいたいくらいかわいいです。それではいただきます。
「おいしいです!とっても柔らかいです。」
なんと大当たりでした。
「柔らかくちょっと鶏肉っぽくて美味しいです。いくらでも食べられそうです。」
「ありがとうな。見た目は、グロテスク、味もクセがあるが、鮮度がいいうちでしか食べれない逸品だ。嬢ちゃんが気に入ってくれて良かったよ。」
店主様が爽やかな笑顔で喜んでくださいました。
「嬢ちゃん名前を聞いてもいいかい?こんなに楽しい客は久々でね。俺は炭火焼きのカーボって言うんだ。またよろしく頼む。」
「私の名前はシーズです。今はただのシーズです。何者でもございません。また来ます。美味しいお食事ありがとうございました。」
「おうシーズちゃん。なんだか美味しそうな名前だね。良い1日を。」
ぺろりと食べ終わってしまいました。なんだか食べたことのない味に驚きました。アルヴァイン家にいた時は、良くも悪くも変わり映えのない日々を送っておりましたので、楽しいです。新しい経験は、やはり楽しいですね。
鳥貴族で焼き鳥をを初めて食べたときの衝撃を思い出しながら書いていました。




