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『飽き性な俺の器用貧乏、異世界で「神の模倣者」へと至る 〜3ヶ月で極めて捨てる生活を卒業し、天狐様と終わらないクエストへ〜』  作者: A古町
第1章Celestial Fox

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第七十四話:円卓の弾劾と、九尾の「社会人」論

第七十四話:円卓の弾劾と、九尾の「社会人」論

 魔王城の一角が、轟音と共に崩落した。


 敗走したルシファーの怒りは、物理的な破壊となって城壁を削り取っていた。だが、彼は単なる激情家ではない。瓦礫の中に立ち尽くし、傷ついた右翼を押さえながら、冷徹な「逆算」を開始していた。


(……あり得ん。あの脆弱な人間どもが、わずか三ヶ月で魔族の精鋭と渡り合うなど。……成長の傾斜カーブが急すぎる。もしや、あのアザトースすら沈めた『天狐のバフ』が、今も供給されているとしたら――!)


 ルシファーは血の滲む足取りで、軍議の円卓へと怒鳴り込んだ。


「ベルゼッ!! 貴様、三ヶ月前の進軍前夜、天狐の社へベリアルの供養に行ったな!? あの地は焼け野原だったと報告したな。それは……誠かッ!?」


 凄まじい魔圧が会議室を震わせる。九尾は驚愕に目を見開き、ベルゼはモノクルの奥で、石像のように硬直した。


「答えろ! あの兵たちの異常なスペック……社の生存と『プロデューサー』の介入がなければ説明がつかん! 現場の正確な情報を隠蔽(コンプライアンス違反)することは、魔王軍を窮地に追いやる大罪だぞ! 言えぬなら、今すぐ魔王様の御前へ引き摺り出してやるッ!」


 ルシファーの矛にも似た鋭い指先が、ベルゼの喉元に突きつけられる。ベルゼは唇を噛み、沈黙を守った。社の生存、そして何より「ベリアルが清掃員として生きている」という事実は、もはや一個人の進退で済む話ではない。


 絶体絶命の沈黙。その時、それまで傍観していた九尾が、優雅に扇を広げて間に入った。


「……まぁ待ちなさいな、ルシファー。そう青筋を立てるものではないわ」


「九尾! 貴様、この重大な虚偽報告を看過スルーする気か!」


「違うわよ。……『見て見ぬふり』や『都合の悪い報告の先延ばし』なんて、組織しゃかいではよくあることだと言っているの。……ねぇ、ベルゼ? 貴方も大変だったのでしょう? あの蕎麦の味と、美形清掃員の『既視感』に、心をかき乱されて……」


 九尾の含みのある笑みに、ベルゼの肩が微かに震えた。

 卒なく、しかし今や「魔王軍の内部崩壊」さえも、ショータが植え付けた『社会の理不尽』によって加速していく。


「……九尾。貴様、どこまで知っている」


 ルシファーの疑念の矛先が、今度は九尾へと向けられた。

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