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『飽き性な俺の器用貧乏、異世界で「神の模倣者」へと至る 〜3ヶ月で極めて捨てる生活を卒業し、天狐様と終わらないクエストへ〜』  作者: A古町


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第三十五話:メガ神社の目玉商品と、帝都王子の「予約注文」

第三十五話:メガ神社の目玉商品と、帝都王子の「予約注文」


「……よし、新装開店リニューアルの目玉商品を確定させるぞ。各部署、アイデアを出せ」


 広大になった社の会議室。ショータの号令に、四人の「幹部」が顔を揃えた。現世の「商品開発マーチャンダイジング」会議さながらの緊張感が漂う。


「はいですぅ! リリィ、考えましたぁ! ガイさんとアーシェさんの婚約を記念して、持ち歩くと幸せになれる『グッドガイ人形』はどうですかぁ! 見た目はガイさんそっくりの、ちょっとイカつい……」


「はーいリリィさーん。お前の中にまだ魔王軍の呪いが残っているんですかー? そのネーミング、現世じゃこわーいお人形さんの名前なんですー。参拝客にトラウマを植え付ける気ですかー?...却下だ」


「ひぇぇ! 却下きゃっかですかぁ!?」


 肩を落とすリリィの横で、アーシェが眩しいほどの笑顔で手を挙げた。


「ショータ殿! リリィ殿の案も捨てがたいですが、ガイ殿の雄姿を象るなら、等身大の銅像を境内に百体ほど並べるのはいかがでしょう! 圧巻あっかんですわよ!」


「……お前も大概だな。それじゃ神社のコンセプトが『ガイの墓所』になっちまう。却下だ」


 ショータは溜息をつき、帳簿にペンを走らせる。


「戦勝守りとアーシェの剣レプリカは定番だ。そこにガイの騎士団の盾を模した『守護の盾チャーム』を加えろ。セット販売バンドルで客単価を上げるぞ」


「ショータ! 我も考えたのだ(にょだ)! 恋守りは『恋の天狐守り(てんこもり)』というのはどうだ! 愛がてんこ盛り、我の加護もてんこ盛りなのだ(にょだ)!」


 キキョウが影から音もなく頷く。


「……悪くない。愛が溢れる、隠密ステルス性ゼロの直球なアイデアだ。……」


「確かにコンにしてはいいアイデアだ、これは、、採用だな」


「おおお! 採用されたのだぁー!」


 コンがはしゃいで、キキョウも少し照れ笑い。だが、ショータの目は既に次の「大口顧客」を捉えていた。

 そんな中、豪華な馬車で乗り込んできたのは、帝都のエドワード王子と例の老執事だった。彼はリサ(町娘)との密会……もとい、社の新築祝いの視察を兼ねて、ショータの手を握りしめた。


「聖者殿! この見事な社で、私はリサと『神前結婚式』を執り行いたい! 帝都の教会ではなく、二人のえんを繋いだこここそが、始まりの場所であるべきだ!」


「……予約、承りました。王子、最高の挙式プラン(パッケージ)をご用意しましょう」


 ショータの口角が上がる。王家の挙式実績。これ以上のブランディングはない。


 しかし、繁栄の影には必ず「競合他社」の嫉妬がつきまとう。


 社の門前に、どろりとした負のオーラを纏った一団が現れた。かつてショータに煮え湯を飲まされた地元教団『地母神の慈愛』の司祭たちだ。


「……おのれ、天狐の社。帝都において皇帝陛下すらも我が教団を崇めていたというのに、不届きな成り上がり者が……! エドワード王子、そのような邪教で挙式など、帝国の歴史に泥を塗る行為ですぞ!」


「……あー、またお前らか。営業妨害ネガティブキャンペーンは感心しないな」


 ショータは現世の「競合他社対策」の冷徹な目を向けた。

 

 卒なく、しかし今や「王家の挙式」という最大の既成事実を武器にしたショータ。

 天狐の社を舞台にした、信仰と利権を巡る「宗教業界の再編(シェア争い)」が、今、火蓋を切ろうとしていた。

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