第三十四話:劇的ビフォーアフターと、天狐の「メガ・ステーション」化
第三十四話:劇的ビフォーアフターと、天狐の「メガ・ステーション」化された
「……よし。この動線じゃあ、参拝客の滞留(渋滞)が限界だ。コン、リリィ、アーシェ、キキョウ。これより当社の『大改築』を敢行する!」
ショータの鋭い号令が、早朝の境内に響き渡った。
二度の魔王軍撃退による「戦勝の社」としての武名。そして帝都王子の成婚を導いた「恋愛成就の社」としての恋名。今や世界中から押し寄せる参拝客に対し、元の「ボロ神社リフォーム版」では、物理的なキャパシティが完全にパンクしていたのだ。
「ショータ! 改築といっても、これ以上どこを広げるのだ(ひろげるぅのだ)! 我の昼寝スペースは死守せねば(ししゅせねばぁ)!」
「寝言は寝て言え、コン……リリィ、お前は空中から『立体交差』の設計図を広げろ。アーシェは重機代わりにその剣気で地盤を固め、キキョウは隠密スキルを活かして、参拝客を止めずに工事を進める『居ながら改修』の警備を頼む」
ショータは現世での「大型商業施設のコンストラクション・マネジメント」のノウハウを全開放した。
美術部で培った空間デザイン、営業での工期交渉でと運動部で鍛えた無駄のない指揮。
「リリィ! あちらの浮遊石、もっと右に寄せてくれ!」
「了解ですぅ! アーシェさん、そっちの杭打ち、お願いしますぅ!」
「承知した! ――ふんっ! これもまた、九尾を討つための……そして、ガイ殿との愛の巣を築くための予行演習ッ!...ふんぬっ!」
アーシェが気合と共に地面を叩き、リリィが魔法で資材を浮かす。キキョウは影に潜み、工事車両(荷馬車)の交通整理を「卒なく」こなしていく。
数日後。
そこには、かつての「ボロ社」の面影など微塵もない、壮大な『異世界ロードサイド・メガ・ステーション』が誕生していた。
本殿: 黄金と白銀が調和する、二層構造の巨大礼拝堂。
縁結び・空中回廊: キキョウが考案した「誰にも見られずに告白できる」隠れスポット付きの渡り廊下。
天狐亭・フードコート: ベルゼ部長絶賛の蕎麦から、大介から届いたカレーまで、多国籍な味が楽しめる飲食エリア。
宿泊棟『狐の宿』: 遠方からの参拝客を逃さない、宿泊特化型施設。
「……な、なんなのだこの規模は。もはや神社というより、一つの『都市』ではないか!」
コンが、自身の霊力で輝く巨大な御神木を見上げて呆然とする。
「いいか、コン。これが『多角化経営』だ。……さて、リリィ。新装開店の目玉、『幸運の天狐ガチャ(おみくじ進化版)』の準備はいいか?」
「はいぃ! リリィ、景品の在庫管理、バッチリですぅ!」
卒なく、しかし今や「地形」さえも書き換えてしまったショータ。
世界中から集まる信仰と金、そして「愛」を飲み込む天狐の社は、異世界で最も巨大な経済・信仰の心臓部へと成り上がった




