表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『飽き性な俺の器用貧乏、異世界で「神の模倣者」へと至る 〜3ヶ月で極めて捨てる生活を卒業し、天狐様と終わらないクエストへ〜』  作者: A古町


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/53

第二十四話:籠城のエストレアと、因縁の再会

第二十四話:籠城のエストレアと、因縁の再会

 隣国エストレア王国の王都は、地獄の様相を呈していた。

 城壁は随所が崩落し、立ち昇る黒煙が空を覆う。第一王女アリア・フォン・エストレアは、自ら剣を手に取り、前線で籠城戦の指揮を執っていた。


「……持ち堪えなさい! 聖者様が、天狐様が必ず来てくださるわ!」


 アリアの声が響くが、兵士たちの疲弊は限界に近い。目前には、天を突くような巨躯を誇る黒狐と赤狐。そして、その背後で優雅に九つの尾を揺らす、魔王軍四天王九尾が鎮座していた。


「ククク……。逃げ惑うが良い、矮小なる人間ども。この都を、我ら狐族の真なる苗床なえどことしてくれよう」


 九尾が残酷な笑みを浮かべ、とどめの号令を下そうとしたその時。

 戦場の彼方から、風を切るような鋭い角笛の音が響き渡った。


「――全軍、突撃エンゲージ! 目標、王都正門!」


 土煙を上げ現れたのは、「天狐の社の旗」と「帝都騎士団の旗」を高く掲げたショータの一団だった。先頭を走るガイの騎士団が、九尾の包囲網を「卒なく」一点突破していく。


「アリア様! 救援に参りました!」


 アーシェの叫びに、城壁の兵士たちから地響きのような歓声が上がった。


「……む。あの忌々しき黄金の気配。……生き残りの端くれが、のこのこと現れたか」


 九尾の細い瞳が、ショータの隣で震えるコンを射抜いた。古風な、しかし冷徹な声が戦場に響く。


「久しいのう、出来損ないの末裔まつえいよ。先代と同じく、またその白玉を持って逃げ惑いに来たか?」


「ひ、ひぃぃ……じいちゃんから聞いたとおり性格が捻じ曲がっておる! 我が一族の仇を討つぞ……た、多分な!」


 コンはリリィの背後に隠れながらも、精一杯の強気で言い返した。


「抜かせ。……黒、赤。掃除をせよ」


 九尾の命により、二頭の巨狐が咆哮を上げた。

 黒狐が前脚を叩きつけると、周囲の影が膨れ上がり、魔物たちに強靭な身体強化バフを付与する秘技『暗黒あんこく』が発動する。さらに、その口からは触れる者の生気を奪う『呪いの息』が吐き出された。


「アチチッ! あっちの赤狐は、地面を溶かすほどの『灼熱の息』を吐いてくるですぅ! ショータさん、リリィの羽が焦げちゃうですぅ!」


 黒の呪いと、赤の業火。左右から迫る絶望的な同時攻撃。


 だが、ショータはランクアップした【異世界プロデューサー】の視界で、その攻撃の「波長」と「死角」を完全にレイアウトしていた。


「……コン、リリィ。いつもの『三点連携フォーメーション』だ。ガイ、全軍に『型:散開スプレッド』の指示。……九尾、お前のその古臭い戦術、俺が卒なく上書き(アップデート)してやるよ」


 卒なく、しかし激しく。

 二つの世界の理を束ねたショータの反撃が、今、始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ