第二十二話:エストレアの女騎士と、九尾の影
第二十二話:エストレアの女騎士と、九尾の影
「私はエストレア騎士団長アーシェ...頼む……この『社』の主よ。我らが国を、そしてアリア様を救ってくれ!」
神社の再建も一段落し、ショータたちが次なる事業の構想を練っていたある日のこと。社の鳥居をくぐり、満身創痍で駆け込んできた一団があった。先頭に立つのは、銀の甲冑に身を包んだ隣国エストレア王国の騎士団長、アーシェ。彼女は社の前で膝をつき両手を合わせて祈り出した。
本殿でその願いを聞いていたショータは社の前で跪くアーシェの前に出た。
震える手でアリア第一王女からの緊急援軍要請を差し出した。
「魔王軍四天王が一人……九尾。奴の呪いにより我が国は壊滅の危機にある。どうか、『天狐の加護』を貸してほしい!」
緊急援軍要請を受け取ったショータは本殿の方を振り向いてコンを呼んだ。
「コン!九尾って知ってるか?確か妖狐の...お前の親戚か?」
「な、何を不吉なことを! 奴は我ら天狐の一族にとって数千年前から続く最大の禁忌……! 憎悪の化身なのだ(にょだ)!」
コンが真剣に(噛みながら)叫ぶと、社の奥から黄金の光が溢れ出した。
ランクアップした霊力を全開にしたコンが、神々しい姿でアーシェの前に現れる。
「エストレアの騎士よ、しかと聞き届けた。九尾の横暴、この天狐が見過ごすわけにはいかぬ(いかぬぅ)!」
「おお……感謝いたします、天狐様!」
感極まるアーシェを横目に、ショータは冷静に「事務手続き」を開始した。
「コン、リリィ。討伐案件、正式受注だ。だが、勝手に出兵して帝都の不興を買うのは得策じゃない。……リリィ、白玉(ビデオ通話)でバドさんの役所にアポ入れろ。緊急事態だ、今すぐな」
「はいぃ! リリィ、光速で連絡するですぅ!」
リリィが白玉を操作し、投影された役人のバドに事情を説明する。ショータは画面越しのバドに対し、営業マン時代の「根回し」を駆使した。
『――なるほど。九尾が動いたか。……よろしい、特別保護指定の社に対する防衛活動として出張を認可しよう。あと、我が国の騎士団も同行させよう。団長のガイ君に申し伝えておこう。リリィ君、今すぐ窓口まで来なさい。許可証を発行する』
「承知しました。リリィ、使いに行ってこい。羽をフル活用して往復20分だ」
「アリア様のために頑張るですぅ!」
リリィが帝都へ飛び立ち、20分後にはバドの判が押された公式の「国外出張許可証」を携えて戻ってきた。
その後、バドから要請を受けた騎士団も合流。
「天狐様、我が騎士団も同行致します。魔王軍の幹部相手に後れを取るわけにはいかん」
「助かる。……さて、アーシェ。案内を頼む。道中で九尾の戦術を『卒なく』共有してもらうぞ」
ショータ、コン、リリィ、そしてガイ率いる騎士団。
最強の布陣を整えた一行は、アリア王女が待つエストレア王国へと向かって進軍を開始した。




