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『飽き性な俺の器用貧乏、異世界で「神の模倣者」へと至る 〜3ヶ月で極めて捨てる生活を卒業し、天狐様と終わらないクエストへ〜』  作者: A古町


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第十五話:農村の守護者と、残念すぎる「最終奥義」

第十五話:農村の守護者と、残念すぎる「最終奥義」


「……よし、今回のクライアントは農家の皆さんだ。課題は『農作物の食害』。解決手段は、物理的な排除と再発防止策の提案。これで行くぞ」


 ショータがギルド事業の第一弾として選んだのは、近隣の農村部を荒らす魔物『暴走猪ワイルドボア』の討伐だった。現世でいえば、地方自治体が頭を悩ませる「鳥獣被害対策」のコンサルティングに近い。


「ショータ! 我の出番だな! 霊力が少し戻った今こそ、我が一族に伝わる最終奥義を見せてやる(みせてやるぅ)!」


「噛むな。……最終奥義? お前、そんな物騒なもん持ってたのか」


 村の畑に到着すると、そこには十数頭の巨大な猪が、丹精込めて育てられたカブラを食い荒らしていた。


 コンは自信満々に前に出ると、ふさふさの尻尾を逆立て、神々しい(ように見える)ポーズをとった。


「刮目せよ! これぞ邪悪を払う女神の光! 『天つ狐の輝き(あまつぎつねのかがやき)』ッ!」


 コンの全身から、凄まじい黄金の光が放たれた。……が、それだけだった。


 爆発も、衝撃波も、浄化の炎も起きない。ただ、周囲が「写真のフラッシュの百倍」くらいの明るさでピカピカと明滅しているだけだ。コンもそれっぽい顔を作っているのが余計に腹立たしい。


「……ま、眩しい! 目が、目がぁぁ!」


 猪たちは驚いて一瞬足を止めたが、実害がないと悟るなり、再びムシャムシャとカブラを食べ始めた。


「……おい、コン。今の、何だ?」


「ふふん、驚いたか! 視界を奪い、心を洗う聖なる光なのだ(ひかりにゃのだ)!」


「……ただのストボロライトじゃねーか。これ、現世の宴会芸にすらならないぞ。むしろ『近所迷惑な照明』だ。お前の必殺技、殺傷能力ゼロかよ」


「ひ、酷い! 我はこれでも必死に(ひっしゅに)……!」


「噛みすぎだ。……どけ、あとは俺が『卒なく』片付ける」


 ショータは現世での「害獣対策の知識」を起動した。

 殴る蹴るなど、体力の無駄だ。彼は事前に村人から集めていた「ある物」を取り出した。


「いいか、猪の弱点は鼻だ。そして奴らは『未知の刺激』に弱い。現世の山林警備員が使うテクニックを応用する」


 ショータは、コンの光で足を止めた猪たちの鼻先へ、美術部で調合した「超激辛唐辛子粉」を混ぜた煙幕弾(中身は夏祭りの残り火)を、テニスのサーブの要領で正確に打ち込んだ。


「ブモォッ!? ゲホッ、ガフッ!」


 強烈な刺激臭に、猪たちはパニックを起こして一斉に逃げ出す。そこへショータは、営業での「導線の引き方」を応用し、あらかじめ設置しておいた『現世風の防護ネット(漁網の転用)』へと誘導し、一網打尽に絡め取った。


「……よし、確保。あとは村の若い衆に引き渡して、ジビエ料理として市場マーケットに流す。これが『循環型社会』の基本だ」


「な、なんなのだ貴様は……! 我の奥義より、その得体の知れない粉と網の方が強いではないか!」


「知恵を使えよ。……さて、コン。お前のあの光、魔物は倒せないけど、夜道の街灯代わりにはなりそうだな。新事業『天狐街灯サービス』、契約とってくるか」


「女神を電柱扱いすなー!」


 卒なく、しかし実利は確実に。

 ショータの「異世界ソリューション営業」は、農村の胃袋と財布をがっちり掴むことに成功した。


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