表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『飽き性な俺の器用貧乏、異世界で「神の模倣者」へと至る 〜3ヶ月で極めて捨てる生活を卒業し、天狐様と終わらないクエストへ〜』  作者: A古町


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/65

第十話:異世界夏祭りと、天狐様の「神輿(みこし)」デビュー

第十話:異世界夏祭りと、天狐様の「神輿みこし」デビュー


 神社の修繕も大詰めを迎え、ショータはブランド定着の総仕上げとして「夏祭り」の開催を決定した。


 現世の軽音部でのステージ設営、美術部での看板制作、そして営業でのスポンサー回りの経験が、この異世界の地で一つに結実する。


「いいか、コン。祭りの本質は『非日常の提供』と『導線の確保』だ。屋台の配置一つで客の滞留時間は変わる。このT字路に、あの調理済み狼肉の串焼き屋を置け。匂いで客を釣る、いわば『シズル感』の演出だ」


「し、しずる……? よくわからぬが、ショータが楽しそうで何よりだ! これも我が授けた『やるやるきぃ』の加護……あだッ! なぜまたデコピンをする!」


「噛んだからだ。あと『やる気』って言うな。俺はただ、ディレクターとして卒なく現場を回してるだけだ。……さあ、お前の出番だぞ。祭りのメインイベント、『神輿渡御みこしとぎょ』だ」


 ショータは、美術部の知識をフル活用して「映える」神輿を突貫で組み上げた。


 夕闇が迫る頃、村中から集まった若衆が神輿を担ぎ上げる。その頂点には、ショータの指示で「一番高い場所」に座らされたコンがいた。


「わ、わわっ! 高い! 揺れる! ショータ、これ落ちるぞ! 怖い!」


「落ちないように足場を設計してある。お前はただ、オーラを出して、手を振ってればいいんだよ。ほら、スポットライト代わりの魔法ライトを出せ!」


 ショータの合図で、コンは必死に光の魔法を周囲に散らした。

 夕闇の中、黄金の光を纏った天狐が、豪華な神輿に乗って村を練り歩く。その光景は、村人たちにとって一生忘れられない「神話の再現」に見えた。


「おおお! 天狐様万歳! 稲荷神社万歳!」


 地響きのような歓声。ショータは群衆の最後方で、腕を組んで頷いた。


(……集客率、目標の120%達成。滞留時間も良好。これでこの神社の『地域一番店』としての地位は不動だな)


 祭りが最高潮に達した時、アリア姫や役人のバドまでもが、お忍び(のつもりの豪華な格好)でやってきて、ショータの作った「現世風の焼きそば」に舌鼓を打っていた。


「ショータ……貴様、本当に凄いな。皆が笑っておる。我が独りきりでおったあのボロ社が、こんなに温かい場所になるとは……」


 神輿から降りたコンが、少しだけしんみりと、しかし嬉しそうに囁いた。


「……ま、お前が最後、神輿の上で『ありがたきしぇ幸せ(しあわしぇ)』って噛まなきゃ、100点満点だったんだけどな」


「うう、最後の一言で台無しにするのが我のクオリティなのだ……!」


 ショータは、夜空に打ち上がった魔法の花火を見上げた。

 卒なく、しかし着実に。

 飽き性の彼が初めて「完成」させた景色は、現世のどの表彰状よりも、ほんの少しだけ心を熱くさせていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ