飛び起きて
掲載日:2025/12/08
やらかした。
飛び起きて、窓の外を見る。
街はすでに、海の底に沈んでいる。
空には真っ二つに割れた太陽と粉々の月。
全身から汗が噴き出した。
「間に合ってくれ」
僕は赤いボタンを押した。
両手を合わせて祈る。
世界が、暗転した。
──どう、なった。
胸の鼓動が耳の奥に響く。
恐る恐る起きて、窓の外を見る。
街は海に沈んでいない。
太陽も月もまんまるだ。
安堵する僕の頬を、異様に生温かい風が扇ぐ。
カサカサ……カサッ。
僕は目を閉じ、黄色いボタンを押した。
世界が、明滅した。
──ドクンッ。
僕は窓から顔を出して、世界を眺めた。
風が心地いい。
賑やかな街並み。
山と海は生き生きと脈動している。
少しずつ、少しずつ、世界に変化を与えることで、景色はまったく違うものになる。
しかし、この美しい地球を発展させすぎると、奴らがすぐにやってくる。
遥か遠く、黒い影がまた街を食い始めていた。
僕は決めた。
「もう、これ以上試すのは終わり。今日が最後の日だ」
僕は青いボタンを押した。
世界が、巻き戻っていく。
「もう少しだけ、この世界を眺めていたかったな」
静かに、僕自身も、消えていった。




