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第二階層 後半

 一度中央にある部屋に戻ってきた彼は、ポーション生成器で次の試練に必要なポーションを作っていた。


水中呼吸のポーションと筋力増強ポーション、それから先ほどの戦闘で負った傷を癒すための治癒のポーションを作る。


彼は先ほど行った手順でポーションを作り、出来上がったものをすべて飲み干した。

「苦い。」


彼が次に挑戦する試練は、通路からすべてが水で満たされていた。その為、水中呼吸のポーションが必須となる。


彼は水の中へもぐり、ポーションの効果を実感した。目を開いても痛くなく、苦しい感じもない。


通路の終点へと付いた。奥には部屋があり、部屋と通路の間には格子とレバーがある。

おそらくレバーを引いたら試練が始まるのだろう。


彼は意を決し、レバーを引く。


『挑戦者を認識しました。これより挑戦を開始します。』


その声と同時に、格子がカラカラと音をたてながら上がった。


部屋はかなり広く、壁と天井には見たこともない機械が埋まっている。

おそらくこれもロストテクノロジーだろう。


部屋の最奥からにはぼんやりと光る石が見える。彼の目的地はそこだ。


そして、奥側から彼に接近するいくつかの影。姿までははっきり見えないが、魔物で間違いないだろう。


しかし、魔物に対抗するにも水中で剣は使い物にならない。どうにか魔物の攻撃をよけて先に進むしかない。


彼は泳ぎ始めた。幸い、魔物はそこまで泳ぐのが速くなく、少し泳いだだけで簡単に引き離すことができた。


そして魔物の攻撃をよけつつ、彼は部屋の最奥までたどり着いた。


彼は光る石の近くに設置されている箱をに手をかけ、開けようとした。


しかし、箱の蓋はびくともしない。


まるで大きな石が上に乗っているかのように、押さえつけられて開かないのだ。


あれほど引き離した魔物も、どんどん彼に近付いてくる。


彼はこじ開けようと様々な手段を試みるが、どれも失敗に終わった。


もたもたしている間に、魔物は彼の真後ろまで来ている。


もう後がない彼は、イチかバチか剣を箱に向かって突き刺した。


その瞬間『挑戦終了。箱の中からカギを手に入れ、次の試練へ進んでください。』と聞こえ、部屋が一気に明るくなった。


魔物は低いうなり声をあげて消え、先ほどまで開かなかった箱も簡単に開いた。


彼は確かに鍵を手に入れ、速やかに次の試練へ向かった。


◇◇◇


 彼は次の試練に来ていた。壁に置いてある青い炎のランタンのみが部屋を照らしており、その灯りは月よりも暗い。


そして今、彼は鉄骨の上にいる。


三本の鉄骨が、鍵の入った箱のある地面から伸びている。


鉄骨の下は暗闇で、どの程度の深さなのか見当もつかない。


さらに、三本の鉄骨のうち二本を通行止めにするように障害物が天井から伸びている。


下をくぐることも、上を通ることもできない。障害物がある鉄骨からほかの鉄骨へ渡ることでのみ避けられる。


部屋は静寂が支配し、彼の足音と心臓の音のみが鳴り響く。


コツ.....コツ.....


壁をよけ、バランスを取り、ゆっくり、慎重に....


一歩、また一歩。


終点に近付くたびにうるさくなる心音。緊張と焦りが彼を支配し、足元を狂わせる。


先ほどまで何ともなかった剣が重く感じる。


あと5歩....4歩......3歩......


彼は試練を越え、ついに足場にたどり着いた。極度の集中と焦りでもう足が動かない。そのとき、

『挑戦終了。箱の中からカギを手に入れ、次の試練へ進んでください。』


.......終わり。

別に床が現れたり、転移魔法で入り口に飛ばされたりするわけでもなかった。

「もっかい通るの....?ふざけてるの....?」


◇◇◇


 なんとか帰りもクリアした彼は、少し休憩したのちに次の試練へと進む。


この部屋も薄暗く、左から茶、赤、青の扉があり、手前には看板が設置されている。


看板には「嘘つきは一つだけ。嘘つきの扉へ進め。」と書かれていた。今までの試練とは違い、挑戦前にルール説明があるようだ。なんて親切なのだろう。


そして扉をよく見ると、それぞれの扉に文字が刻まれていた。


茶「赤は正直」

赤「青は嘘つき」

青「茶は嘘つき」


おそらくこれがこの扉の主張だろう。


これは簡単だ。茶、赤が嘘つきの場合は嘘つきが二人いることになるので青が嘘つきだ。


そして、彼は青の扉を開き奥へ進む。扉の先には、先ほどの部屋と同じ光景が広がっている。


同じように論理パズルを解き、二部屋目、三部屋目と順調に進んだ。


四部屋目は、先ほどの部屋と少し違うようだ。


看板の文字が変わっており

「ここが最後。嘘つきは一つだけ。嘘つきの扉に進め。」

とだけ書かれていた。


扉の文字を確認してみると


茶「茶は正直」

赤「赤は正直」

青「青は正直」


と刻まれていた。これでは論理も何もない。


しかし、この試練で運試しが行われるとは思えない。どこかにヒントがあるはずだ。


やはりヒントらしいものは「ここが最後」の一文だろう。


わざわざ書く意味があるとしたら、それはどういうことだろう。


悩んでいるとき、彼は気づいた。青の扉から、この部屋のランタンよりも明るい光がわずかに漏れている。


今までの挑戦のゴールには光る石が置かれていた。


ここが最後の部屋なら、扉を開けた先に光る石と箱が置いてあるはずだ。


彼は深呼吸をし、青の扉の前に立った。


そして一気に扉を開く!


その扉の奥には、光る石と箱があった。


『挑戦終了。箱の中からカギを手に入れ、下の層にある鍵付きチェストを開けてください。』

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