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第二階層 前半

 彼はどうにか迷路を突破し先に進むことに成功した。


進んだ先にはまた部屋があった。壁には本棚が並んでいるが、本棚には1冊しか本が入っておらず、部屋の真ん中の机には謎の機械と箱、そして謎の書置きのようなものがあった。


書置きには "左右の通路から4つの試練に向かい、カギを入手せよ。ダンジョン内の物に関しては好きに使ってよい"と書かれていた


 棚にあった唯一の本『ポーション生成器の使い方』には、机の上にある機械[ポーション生成器]の使い方と、治癒から毒まで様々なポーション生成のレシピ、ポーションの材料まで丁寧に書かれていた。


そして最後のページには "ポーションの材料については、箱の中に入れておくので好きに使うこと" と書かれていた。


箱の中には様々な材料と、食料になりそうなもの入っており、すべて本の内容と一致した。

品質はかなり良く、腐っている様子もない。これだけいい状態に保てるのも、ロストテクノロジーによるものなのだろうか。


その機械に興味を持った彼は、とりあえず"筋力増強ポーション"を作ることにした。


生成器の終点に水を入れた瓶をセットし、燃料入れに"炎の粉"という火の魔石を砕いたものを入れる。あとは材料を始点に入れるだけで生成が始まる。まずは魔法のキノコを入れ、30秒ほど待ってから今度は砕いてない方の火の魔石を始点に入れる。このまま反応が終わるまで放置して完成らしい。


生成器の中はブラックボックスになっていて、どうしてポーションができているかは全くわからない。


そもそもポーションは、売っているものは高価で貴族や凄腕冒険者以外は手にすることができず、作るにも魔力や適性、さらにはすさまじい努力と知識量が必要なものである。


そんなポーションを初心者でも安定して作れるならこの機械はこの世に普及すべきなはずだが、失われてしまったのには理由があるのだろう。


そう考えているうちに、ポーションが完成した。


彼は瓶の中にできた液体を一気に飲み干す....が、効果があるような感じはしなかった。

少し期待をしていた彼は静かに落ちこみ、この部屋を後にしようとした。


しかし、彼は机の上に置いていた剣を持ち上げたとき、確かに違いを感じた。

なんと、先ほどまでは持ち歩くことはできても、有効な斬撃は繰り出せそうになかったのだが、斬る動作まで問題なくできそうに感じる。

これが筋力増強ポーションの効果なのだろう。


彼は、そのままで最初の試練に挑むのであった。


◇◇◇


 最初に挑戦することにした試練の部屋にはいくつかの柱があり、真ん中には押してくださいと言わんばかりのボタン、奥の壁には鉄でできた扉が置いてあった。


扉は人間が開けられる重さをしておらず、鍵がかかっている扉よりも頑丈な気がする。


とりあえず、ボタンを押さないと始まらないだろう。そう考えた彼はためらいもなくボタンを押した。


すると、どこからか『挑戦者を認識しました。これより試練を開始します。』

と、剣を抜いた時と同じ声が聞こえた。


それと同時に、部屋の4つの隅から"スケルトン"と呼ばれるモンスターが現れた。


スケルトンは人の骨の形をしているアンデットモンスターで、普通の刃物ではその硬い骨は断ち切ることができず逃げるしかない。


彼も、森で迷い夜になった時に追い掛け回されたことがある。


他にどうしようもない彼はその剣を構え、スケルトンへ振り下ろす。


「....は?」


なんと、あの硬いスケルトンが一発で斬れてしまった。


彼はこの剣の鋭さにびっくりし目を丸くした。しかし、長い間そうする暇はないようで、次から次へとスケルトンが襲い掛かる。


襲ってくるスケルトンを片っ端から斬っていき、湧いた4体は全て斬ってしまった。


「意外とあっけな....」


そう油断した次の瞬間、今度は洞窟蜘蛛が湧き出てきた....が、一掃するまで時間はかからなかった。


その次はゾンビ、またスケルトン、最後にはスケルトンの中でも弓矢を持った弓兵スケルトンまで湧いてきたが、一撃で仕留められる剣の鋭さには叶わなかった。


やがてすべての魔物を一掃すると

『攻撃終了。箱の中からカギを手に入れ、次の試練へ進んでください。』

と例の声が聞こえ、奥の鉄の扉が開いた。


「初心者でもあのスケルトンを斬れるとかどうなってんだこの剣は....そもそも弓兵スケルトンとか殺意が....」


などとブツクサ言いながら鉄の扉の中に入ると、そこには大きな箱と正面の壁に埋め込まれた光る石があった。


箱の中には鍵と布が入っていた。鍵は四つ集めろと言われていた鍵で間違いないだろう。


そして布は、刀身に付いた魔物の残滓を拭うためだろう。布を二つ折りにし、刀身を包み下から上へ拭おう布を擦ったそのとき。


「アッツ!?」


いきなり布が燃え上がった。


「火魔法!?なんでこんな鋭いものにつけてんだ!!」


剣に火魔法を付与することで戦いを優位にすることは現在でも行われていることだが、一撃でスケルトンを斬れるほど鋭いものにつける意味は全くない。


「なんでつけたんだよ....」


彼はブツクサと文句をたれながらも、次の試練へ向かうべく一旦中央の部屋へ帰るのであった。

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