第8話 一緒に寝る!?
さすがに朝のように同じベッドで寝る……なんて事が無いように、寝室に連れて行って布団を掛けると、しっかりとドアを閉めてリビングへ戻ってきた。
「俺もそろそろ寝ようかな……」
そんなことを呟きながら時計を見た。短い針はギリギリ9の近くを指している。
「いつもより早いけど、まぁいいか」
俺は歯磨きとトイレを済ませると、ベッドのある自分の部屋へ向かった。
「……そうだった。散らかされたんだった……」
ため息を付きながら、地面に積まれた漫画を手に取った。
「……手伝おうか?」
急にそんな声が後ろから聞こえてきた。
振り返ると、眠たそうに目を細めてボーっと立っている氷翠がいた。
「あれ、寝たんじゃなかったのか」
「目が覚めちゃったの」
「あぁ、ごめん。起こしちゃったか」
「良いよ、大丈夫。それより早く片付けようよ」
「……ありがとう。それと、間違っても散らかすなよ?」
「うん」
「…………」
眠たそうな氷翠からは、いつものうるさいヤツとは違った雰囲気が感じられた。
「えぇーっと、じゃあ、漫画は元々あったところに直してくれる?」
「……うん」
小さく頷くと、すぐに散らばった漫画を拾い始めた。
「素直……。いつもこんな感じならかわいいのにな……」
俺は氷翠に聞こえないぐらいの小さい声で呟いて、片付けを始めた。
片付けは氷翠が真面目に手伝ってくれたというのもあるのか、意外とすぐに終わった。
「ふぅー……。終わった……」
「うん……」
「ありがとう。じゃあ、おやすみ」
そう言って俺はベッドに寝転んで布団を被った。そして目を閉じてしばらくした時、布団の中に暖かい何か入ってくるような感覚がした。
チラッと隣を見ると、なんと氷翠が寝転んでいたのだ。
「……マジかよ。氷翠さん、寝室戻ってくれませんかね?」
「ヤダ」
「ヤダ、じゃねぇよ。一緒に寝るの、その……恥ずかしいってか……」
目を合わせないように天井向きながら言うと、何故か氷翠が抱き付いてきた。
顔を真っ赤にして、ニヤニヤしながら恥ずかしそうにこちらを見つめている。
「ちょっ……氷翠! は……離れろよ!」
いつもとは様子が違うからか、抱き付き方が優しかったからかは分からないが、顔が熱くなっていく感じがする。
「恥ずかしんだ……」
「違うから、とにかくどっか行け!」
「ヤダね。私は絶対に一緒に寝るから!」