第11話 料理当番
放課後、俺は誰もいない教室で一人寂しく小説を読んでいた。帰ろうとした時に男子たちに氷翠と帰れと言われたからだ。ちなみに氷翠は男子たちに呼び出されて体育館の裏にいる。
待つのはめんどくさいので黙って帰ろうかとも思ったが、今日は暇だからちょっとぐらい良いかと思ったのだ。
「ごめん、遅くなった!」
「うわっ!」
小説に夢中になっていた俺は、教室に戻ってきた声を掛けられて、見てて分かるほど驚いてしまった。
「ちょっと、驚きすぎじゃない?」
「ちょっとビクッてしただけじゃんか」
「そんなに驚く事なかなか無くない?」
「……まぁ、そうだけどさ。それより何を言われてたの?」
「言われたっていうか、作戦会議してたの」
氷翠は俺の事をじっと見つめながら言った。それからニコッと少しだけ笑った。
「作戦会議……? 何の?」
「秘密~」
「なんでだよ。待ってあげてたんだぞ? それぐらい教えろ」
「やだね。とにかく早く帰ろうよ」
「今日も来るのか。知ってたけど」
氷翠は家に着いて手を洗うと、カバンから着替えを取り出して腕で抱えながら俺の部屋へ向かって走っていった。
着替えるつもりなのだろう。着替えるなら別の部屋でして欲しいな……なんて思いながら、俺も着替えをたんすから引っ張り出してきた。
私服に着替えると、すぐに時計を確認した。もうすぐ5時半になるところだった。
「晩ごはん作らないとな……」
そんなことを呟きながらキッチンへ向かった。
キッチンではエプロン姿の氷翠が、サラサラの長い髪の毛をゴムで束ねていた。
俺がやって来たのを見つけた氷翠は、笑顔をこちらに向けて話始めた。
「怜、今日は約束通り私が晩ごはん作るから期待しててね!」
「そういえばそんな事言ったな」
「うん。だからこの私に任せたまえ」
「料理出来るのか?」
「ん? 料理は今日が初めてかな」
「嫌な予感しかしないので帰ってもらってもよろしいでしょうか?」
そう言ったのを無視して、氷翠は料理の準備に取りかかった。




