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元カノがめんどくさい  作者: よつば猫
事の発端は……
1/18

 深夜1時過ぎ、迷惑も顧みず鳴り出す電話。


 ああ、今日も……

元カノがめんどくさい。



「もしもし蓮斗(れんと)っ?

ごめん、寝てたぁ!?」


「……うん、寝てるよね?普通。

それに、僕はだいたい0時過ぎには寝るって知ってるよね?」


「だったら掛け直してこなきゃいーじゃん!

こっちだって一応、起こさないよーに3コールで切ってるんだし」


 いや、そーゆう問題じゃないよね。

深夜に掛けてくる時点で非常識だし、せめてワン切りにしようよ。


「だいたいさぁ!蓮斗は寝るの早すぎなんだって。

オッサンなの~?体衰えてるんじゃなーい!?」


 わざわざ掛け直したってゆうのに、なんて言われよう……

でも楯つくのは止めとこう。

そんな事したら、反撃が何倍にもなって返ってくるから。


「そーですね……

同じ23歳らしく、本庄さんのピチピチさを見習ってジムにでも通ってみるよ」


「なにその嫌味な言い方……

ちょっとの事で拗ねないでよねー。

相変わらず器ちっちゃ!」


 あぁ、つい不満がにじみ出てしまった。

落ち着け自分。

とにかくこれ以上事を荒立てないようにして、早く本題に進めなきゃ。


「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど……

それよりっ、用はなんだった?」


「あっ、そうそう!

今日ねっ?社会人サッカーのとあるチームと飲み会があってねっ?

フフっ。

ちょっと、運命的な出会いをしちゃったかもっ!」


 ああ、そう……

まぁ、いつもの事だからね。

大した用じゃないとは思ってたんだけど……

これは長くなるパターンかな?

心配して掛け直したりするんじゃなかった。


「ちょっと聞いてる!?」


「聞いてるよ。

むしろ続きを待ってたんだけど」


「そっか。

それでねっ?その人、須藤遥(すどうはるか)ってゆう私らの4コ上の人なんだけどさっ。

蓮斗、聞いた事ある?」


「いや、ないよ。

いくらサッカーやってたからって、サッカーやってる人全員を知ってるワケじゃないからね?」


「そりゃあそーだろーけどさぁ。

でも男で遥って珍しいし、聞いた事くらいあれば覚えてるかなって」


 別に珍しくもないと思うけど、あえて突っ込まないどこう。


「でね、でねっ?

私のほーが、司沙(つかさ)ってゆう男みたいな名前じゃない?

だから2人して、名前が逆だったらよかったのにねーって!

蓮斗もそう思わないっ?」


「ハハ、そーだね」


 てゆうか、どーでもいい。

それどころか、そんなくだらない話を夜中に聞かされる方の身にもなって欲しい。


 まぁ、基本?

女の子の話はオチがないし、男にとってはくだらない内容が多いけど。

輪を掛けてキミは、ペラペラペラペラと……

いつも本当に、楽しそうに話す。


 そんな彼女、本庄司沙は……

大学時代に2年ほど付き合っていた、僕の元カノだ。

そして別れてからは、友人として付き合ってる。


 そんなの別に珍しい事じゃないだろうけど……

ただ僕らの場合、少し違う気がする。

そう、言ってみれば彼女の下僕的な?


 そんなんで、いいのだろうか……

いや、いいワケなくて!

だけど彼女に弱味を握られてる僕は、どーする事も出来ないんだ。





 そんな翌日は……


「どうしたの?蓮斗。

今日はまた、甘えんぼさんモードだねっ」


 1人暮らしの僕の部屋に来ていた今カノに、膝枕をしてもらいながら。

その身体にぎゅっと抱きつく。


「うんちょっと、疲れててさ。

あ〜、なんか癒される……」


「……もしかして、またあの元カノさんの所為?」


 ドキリと、女の勘の恐ろしさに胸がおののく。


「っいや、そーじゃないよ……

単純に、今日の仕事がハードでさっ」


 元カノを庇ってるワケじゃない。

ただ、関わるだけで今カノを不安にさせてしまうから、こーやって嘘をつく。


「そっかぁ。

毎日お疲れさま。

じゃあ土曜日の映画は中止して、家でゆっくり過ごそっか」


 映画!?

ヤバい、すっかり忘れてた……

危ない危ない。


「なんで?行こうよ映画。

えーと、恋愛図書館だっけ?

僕も楽しみにしてたんだ」


 なんて。

その日、悲劇が再来するとは思いもよらずに……


「ほんとっ?嬉しい~!

あぁ~、楽しみだなぁ〜」


 そうほころぶ彼女を見上げて、僕まで気持ちをほころばせてた。





 そして土曜日。

昼頃に始まる映画に合わせて、実家暮らしの今カノを迎えに行こうと。

車に乗ったところで、狙ったかのように鳴り出す電話。


 めんどくさい予感が脳裏をかすめる。


「もしもし蓮斗っ!?

ごめん!今ラブラブ中っ?」


 ラブラブ中って……

それは予感的中なその人、元カノなりの「彼女と一緒?」って意味で。


「いや、まだだけど……

どしたの?

またなんかトラブル?」


「そーなの!大っ変なのっ!!

実はさっ、今から仕事なんだけど車のエンジンがかからなくてさっ!

タクシーに電話したら祝日だからか捕まんなくてっ。

ねぇ蓮斗っ、送れたりするっ?」


 相変わらずこの人は……

いつもドタバタ、なんらかのトラブルを起こしてる。


「わかった、今から行くよ」

そして僕は、キミの要求には逆らえない。



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