僕が大好きな雑音
あかと申します!短いですが、この作品をぜひお楽しみください!
最近、ずうっと家が騒がしい。家が、というか…家の外が、といった方がふさわしいかもしれない。とにかく、騒がしいんだ。その音は明るい音だったり、暗い音だったり、時には神秘的な音も聞こえる。そのレパートリーは今のところ5つくらい。僕が好きなのはその中で一番優しい音…僕はそれを“おひさま”って呼んでる。いくら騒がしい存在だとしても、おひさまだけは嫌いというより、むしろ大好きだった。
僕の日課に、そのおひさまを聞くことと、外からする話し声を聞くことがある。「それじゃあ、次はもっと優しくそこの音出してみろ」この、乱暴な優しい声がすると、前に流れた音が、もっともっと綺麗になってまた流れる。僕はこんな風に音が綺麗になっていくのが好きだった。だから、いつもこの声がすると外の音がよく聞こえるように窓から少し顔を出す。ばれないように。そっと。そ~っと。だから、今までその人たちと顔を合わせたことは無い。いつか、先生と話してみたい。先生とは、先の声の主のこと。他の声が、先生と呼んでいるのをよく聞くんだ。
僕がみてる限り、おひさまの音を出しているのは先生らしかった。おひさまの音がするとき、先生が僕の家に向かって優しい表情をし、手を動かしている。そして、今も先生はおひさまが流れるその行程を繰り返している。僕は我慢できなくなって先生に声をかけてしまった。「先生…!今の音、どうやったら出せるんですか?なんで先生はその音を出すのですか?」でも、先生は全然気づいてないみたいだ。さっきの表情をちっとも崩していない。もちろんおひさまも鳴り続けてる。「…先生?聞こえませんか?」そう言っても先生に気づいてもらえないので、先生の手にのってみた。…それでも気づかない。(あ、あれ…?)僕は先生に気づいてもらえないのがそれだけ悲しいのか、目から大粒の涙が、ポロポロと流れ落ちてきて、止まらなかった。僕は逃げるように家に帰ってしまった。
それから、僕は先生に話しかけることは二度としなかった。でも、おひさまも、先生の声も、毎日毎日聞き続けた。それだけで、幸せだった。
最近、俺がピアノを弾いているとピアノの中から何かを感じる。その何かは幽霊とか、そんな不気味なものじゃなく、純粋で、暖かい…俺には妖精のように感じた。妖精は俺が作った、ある曲を弾くと嬉しそうに耳を澄ませているように感じる。その曲は、妖精が小さい陽の光のように暖かいことから“おひさま”と名付けた。
…俺は、いつか、暖かいこの妖精と話してみたいと強く思う。
ここまで呼んでいただき、ありがとうございました!今まで「~の天使」のような作品を書いているので、そちらもぜひ…!(ぜひお読みください
!)