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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 3:遺跡ステージ

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40:最短距離直行

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




そういう訳で、そのまま人探しの依頼を実行。

すぐに<ラピス山地>(ふもと)の村を出発した。


今は、<(こま)> ── 魔法で動く馬の代わりの機巧(メカ)っぽいヤツ ── が引く荷車に揺られて、古代の遺跡へ向かっているワケだ。


なお、人探しのメンバーは4人。

俺、リアちゃん、行商のオッサン、カタコト少女だ。


行商のオッサンは、商会の資金を回収のため ──

カタコト少女は、お姉ちゃんを連れ戻すため ──


── 2人とも、どうしても同行すると言って、ゆずらない。



「マジで魔物とか多くて危ないから、来ない方がいいと思いますよ?」



という、俺の再三再四の忠告をはねのけて、2人とも着いてきてしまった。



俺は、こっそり舌打ち。



(── チィッ 足手まといが2人とか、もう……っ

 もし遺跡で『隠しダンジョン』とか見付けても、これじゃあ探索なんてできねーじゃん)



そう言えば、前世のサラリーマン時代にも、こんな事あった。



『やったー、1泊2日の出張だ!

 ソッコーで仕事の用事終わらせて、観光地とか地元グルメとかマンキツするぞ!』


とか旅行サイト調べて気合い入れてたら、


『当日、年配の上司が着いてきて、なんも楽しい事なかった……』

(しかも宿泊先は、経費節減で相部屋! 最悪だ!!)


みたいな感じになって、失意の底に沈んだ事があった。



── 油っこい物ダメとか、ラーメンはちょっととか、ワガママばっかり言うな!


── なんで出張先まで来て、バーさん運営のさびれたスナックでカラオケ!?


── おなじカネ出して酒を呑むなら、せめて若いネーちゃんが居る店にしようぜ!



大変苦い経験でした。



お偉いオッサンさんの同行、ダメ、絶対!





▲ ▽ ▲ ▽



「── というワケで、吹っ飛べオラァ!!」



そんな苛立(いらだ)ちを模造剣(ナマクラ)に乗せて、全力スイング。



── ギャイィィィ~~……ン!!



ドップラー効果を効かせた悲鳴が、彼方に飛んでいく。


久しぶりに出番な、オリジナル魔法【序の三段目:(はら)い】だ。

(※ 格闘ゲームなら →+[K]、特殊技:壁際まで吹っ飛ばし)



魔物をうっかり斬っちゃうと、血の匂いでドンドン魔物が集まってしまう。

非・戦闘員2人連れた状態でそれはマズい。


やむを得ず、ラセツ丸を非・斬撃モードで振りかぶり、小型魔物ホームラン大会をやっているワケだ。



「ホームラン……(ほうむ)らん、魔物だけに……ププッ」


「ど、どうかしましたか……?」



行商のオッサンがおっかなビックリ、こっちの様子を(うかが)ってくる。

魔物の襲撃の最中だったので、念のため荷車の陰に隠れてもらってたワケだ。



「いや、何でも無いですよ?」



自分のダジャレでウケただけ。


それなのに、行商のオッサンは、ヤケに心配する。



「── ほ、本当に……?

 本当に、このまま行って、大丈夫なんですか?

 今からでも、街道に戻った方がよくないですかね!」


「え、なんで?

 ここまで来て、今さら……?

 ってか、こうやって最短距離直行(ショートカット)して急がないと、逃げてる2人が捕まらないんじゃね?」


「……あ、え……いや、でも……その……」



行商のオッサン、結局は口ごもるだけ。

いや、反対意見があるなら、ちゃんと言って欲しいんだけど。


依頼だし、仕事だし、カネもらうんだし。

俺だって無理強いしたりするつもりないし。



(う~ん、これはひょっとして。

 行商のオッサンは、魔物の群れに囲まれてビビったのかな……?)



無理に着いてきたクセに、迷惑な。


だいたい、陸サメの中型大型が群れで出てくるなら、まだしも。

オオカミもどきみたいな小型魔物の群れとか、ただのザコなのに。



(いくら魔物の森の中(・・・・・・)を突っ切って(・・・・・・)いるから(・・・・)って、そんなに過剰反応しなくても、いいんじゃね?)



そんな風に、俺がオッサンの話し相手をしている間に、リアちゃんがひとりで大活躍。



「ドーン!ですのっ ドーン!ですのっ ドドーン!ですのっ」



── ギャイィィィ~~……ン!!

 ── ギャイィィィ~~……ン!!

  ── ギャイ、ギャイィィィ~~……ン!!



嬉々として、体当たりでオオカミ型の小型魔物(大型犬サイズ)を吹っ飛ばしていく。

10匹近い群れを壊滅させると、銀髪美少女が笑顔で駆け寄ってきた。



「終わりましたの!

 たまにはドーン!するのも楽しいですわっ」



斬撃(ブンブン)禁止』って言ったので、最初はムクれていたリアちゃんだったが、暴れている内に機嫌が直ったようだ。



「そうかそうか」



俺が頭をナデナデしてやると、完全にご機嫌になった。

うむ、ウチの妹弟子、相変わらずチョロいな。



「う、(うわさ)には聞いていましたが、まさかこれ程(・・・)とは……」



行商のオッサンが、ちょっと強ばった顔でブツブツ言ってる。



(……まあ、本当に魔物多いしな、この辺り。

 この地方で一番都会の<翡翠領(グリンストン)>と比べたら3倍? 5倍?

 そのくらい魔物がゾロゾロ居るし、慣れない人間は、ビビるよなぁ……)



とか思いながら、何気なく<ラピス山地>の方を見上げる。

── と、枝の上からジッとみている、鶴くらいデカい鳥型魔物と目が合った。



「あ」



人差(ひとさ)し指の指輪に偽装した待機状態(スタンバイ)の魔法を解放(リリース)

魔法の術式<法輪(リング)>が、腕輪の大きさに広がって高速回転、『チリン!』と鳴る。



「【秘剣・三日月(みかづき)】非・殺傷(さっしょう)バージョン!」



── ビ、ビィィ……ッ!



取りあえず、斬れない(・・・・)『三日月』で吹っ飛ばしておく。

体格の割に、すばしっこくて厄介なヤツなんで、アレ。


すると、今度はメガネのカタコト少女が声を上げた。



「な、なんデースかぁ、今のはぁっ!?」


「ん、アレだアレ。

 ほら、毒もってる鳥、赤いの ──」



あの魔物の名前、ド忘れした。

すると、リアちゃんがフォローしてくれた。



「<毒赤鴫(ハムスナイプ)>ですわ、お兄様」


「そうそう、それそれ。

 あと、毒抜きして焼いて食ったら、柔らかくて美味いんだ、あの鳥」


「……し、信じられないデース。

 トンでもない人達デース……」



カタコト少女が『何だコイツら』みたいな目で見てくる。



(いやいや、そう言うなって。

 毒のある生き物って、意外と美味いヤツ多いんだぜ?)



前世ニッポンでも、毒フグとか、高級料理だったし。

たしか、ウナギとかも毒があって、火を通さないと危ないって話だったし。



(依頼で忙しいんじゃないなら、あの鳥肉だって回収したいくらいだしな……)



忙しいといえば、アレだ。


最近なぜか、山岳ガイドの依頼が多くて、妙に忙しい。

ジジイが腰痛になる前とか『月に1回あるかどうか』くらいの頻度だったのに。


今じゃ、月に2~3回くらい依頼が入ってくる。

あんまりに忙しくて、剣術の修行がおろそかになるので、3回に1回は依頼を断ってくるくらいだ。



「── 一体、なんだろうね、これって……?」


「お兄様、どうかなさいましたの?」


「いや、なんでもない」



この忙しいのが、何か厄介事の前兆じゃなければ良いけど ──

── そういう、不吉な言葉は呑み込んで。


俺はリアちゃんと一緒に、<(こま)>の引く荷車まで戻るのだった。


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