表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/218

33:ハロー、アナザーワールド

あいも変わらず、例のパターン。

未完成原稿のまま更新されてしまったので、いったん削除して再投稿しています。


中途半端な原稿を入れたまま、投稿予約をしているとダメだね。

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




……ボシャン、ブクブク……ッ、と視界が急転直下。


なんか俺、夜の大河に落ちたっぽい。

まだ体調不良が全快してなかったっぽい。


バランスを崩しただけで、フラ……ッときてしまった。



(いやーいかんね、健康は大事。

 報酬に釣られず、安静にしておけばよかったわー。

 ワッハッハッハッ)



笑い事ではないが、笑うしかない状況だ。



(しかし、魔物の改良とか、禁断の研究とか……アホかコイツら)



ゲームで出てくると、ベタだなぁ、とか思ってたが。

異世界在住(15年目)となると、ヤバさが際立つな。

ぶっちゃけ、近所にABC兵器の工場があったくらいの衝撃。

だいたいこういうの、ゲームやマンガのパターン的に


・ 魔物改良

  ↓

・ 生体兵器化

  ↓

・ 魔物細胞を人間と融合する実験

  ↓

・ 悲劇のヒロイン(短命)


とかなるんよなぁー。


クソ迷惑な。

他人様に迷惑かけないと死ぬ呪いでもかかってんのか、お前ら悪の研究機関(仮定)。



(だいたいマンガとかゲームだとパターン的に、アレだ。

 改良した魔物が原因で、『国が壊滅!天罰!』とかなるんだから。

 そういうアホ行動、やめときゃいーのに、もー)



そんな事をウダウダ考えながら、川底から水面の方へ平泳ぎ。

すると、周囲に、大型犬くらいのなかなかデカい気配がちらほら。


多分、さっきのアレだ。



(── しかし、さっきのマグロもどき(川魚)のヤツめ……!)



昨日の昼に双頭<六脚轢亀(ヘキサスタンプ)>のご飯にされていた、バカデカ川魚に奇襲されるなんて。


しかも、こっちを伺うように、周囲をスイスイ泳いでいる。


何、コイツ、さっきから俺狙ってんの?

殺意マシマシだな、この川魚(本マグロサイズ)。



そう思っていると、ビュンッと、突っ込んでくる。



(── うおっ あぶねっ

 『(うお)』だけに……ププっ)



緊迫している状況で、下らない事が笑点(ツボ)にハマってしまう事って、あるよね?

まさにそんな感じで、自分の考えたダジャレが大ハマりして、ゴボゴボ……ッ、と息を吐きだしてしまう。



(い、いかん……

 酸素が……脳に……回らん……酸欠……)



必死に犬かきするが、水面ははるか遠い。

つーか、何mあるんだよ、この河の深さ!?


10m!? いや20mくらいか!?


もう河っていうより、ちょっとした湖じゃね!?



(やべぇ、【秘剣・速翼(はやぶさ)】……っ

 ── あぁ……っ やっぱ『風魔法』は水中じゃダメか……!?)



水中!

水中で効果ある、移動の魔法!


思い出せ、俺!!


……ああ、いかん、本当に息がもたんっ

焦れば焦るほど、酸素が消費される。



(ああ、ヤベえ……

 ……意識が、遠のいて……きた……)



最後に、水面を見上げる。

青く淡く月が、水面に揺らいでいる。



── 下から見上げる、水鏡(みずかがみ)の月。



ああ、みたな、前世でこんなの。


なんだっけ、アニメで、流行った、『私は月へと飛ぶ』フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンとか、そういうジャズの曲の……



バッドエンドまみれの、陰鬱(いんうつ)な物語だったような……






▲ ▽ ▲ ▽




気がついたら、なんか暗い中、パイプ椅子に座ってた。


何、コレ?


ナニが始まったんデスカ?



前の方の遠くに、スクリーンらしき物が映っているのが、唯一の光源(あかり)


なんか、中学校くらいで、ひじょ~に教育的な映画 (クソつまんねーヤツ)鑑賞会させられた事を思い出すな。



(つーか、さっき思い出してた、バッドエンドまみれアニメ映画でも、こんなシーンあったな)



── 待望の完結編!

── ようやくハッピーエンドか!

── 少なくとも、謎のいくつかは解決するだろ!?



そういう、ファンの期待を嘲笑う、クソみたいな映画だったな。

さっき言った『教育的な映画 (クソつまんねーヤツ)鑑賞会』に匹敵するレベル。

ワクワクで来てたアニメファンの観客、全員、帰りにはお通夜(つや)みたいな空気だったぞ。



(あれ2000年代になって、また映画やるとか言ってたらしいが、結局どうなったんだ?

 いや、もう期待してないから、どれだけストーリー破綻(はたん)しても構わんが)



そんな事を、ダラダラ思い出していると、遠くのスクリーンが近づいてくる。



「お兄様っ」



(── お?)



「こんな姿、お兄様だけには、見られたくなかった」



(え、何……?

 何が始まったの?)



「お願い、わたしのココロが消えないうちに」


「お兄サマのテで、コロし、て、クダ、さ、い ──」



(なんか、妹弟子が、スクリーンの中で怪物に変身しとる。

 ワロタwwww)



え、何、これ?


夢?


一応、ほっぺた(ひね)っとく?

それもベタだけど。


なに、うちの妹弟子(リアちゃん)、美少女すぎてついに映画女優デビュー?


かぁー、つれーわー。

かぁー、妹弟子が才色兼備の有能すぎて、つれーわー。

かぁー、こりゃもう兄弟子(兄ちゃん)付き人(マネージャー)で頑張るしかないわー。



途端、ガタン……ッ、と隣の席で何人か立ち上がった。

みたら、昨日の冒険者パーティの人達。



なんか知らんが、光の勇者みたいな貴公子(ヒョロ)が言う。



「ロック君、気持ちは分かる!

 だが、『コレ』はもう、アゼリア君じゃない!」



なんか知らんが、教会の聖女みたいなメガネ女子(サリーさん)が言う。



「ロックさん、アゼリアさんの涙を思い出して!

 彼女、苦しんでるんです、もう解放してあげてください!」



なんか知らんが、凄腕の魔導師みたいな年下少女メグが言う。



「アンタ、この子の兄貴なんでしょ!

 最後くらい、ちゃんと看取ってあげなさいよ!!」



なんか知らんが、悪の幹部みたいなトゲトゲ黒鎧が言う。



「クックックッ……。

 目障りな剣帝の弟子どもめ、お互いに殺し合うがよいわぁ!」



なんか知らんが、スクリーンから出てきて目の前に立っている『妹弟子(アゼリア)inクリチャー』みたいな顔だけ人間の怪物が、苦しそうに(うめ)く。



「……おに……い、さま……お願い……

 ……わたくしの……意識が、残っている内に……」




俺は。


俺は。


俺は。



おれは



オレは



オレハアァァァァ





いつの間にか。


倒れているリアちゃんを抱きかかえていた。


意味が、わからない。


何だか、わからない。


ただ、ジワジワと、心が底から冷えてくる。






「あたたかい」


「最後は、お兄様の腕の中で」


「うれしい」


「アゼリアは、幸せでした……」


「だから、泣かないで」





まるで、眠っているかのように、穏やかな顔で。


アゼリア=ミラーが、呼吸を止めた。


永遠に。


永久に。





「── リア、ちゃん……?」





「こんなのって、ない! こんなのってないわよっ」

「ひどい、せっかくアゼリアさんと、友だちになれたのにっ」

「さ、ロック君、アゼリア君を(とむら)ってあげよう?」





どうして、だか、まるで解らない。


だが。


俺の、手には、血まみれの剣、が握られている ── ?





「あ、アゼ……リ……ア……?

 な、なんだよ、これ、なんだこれ、血、血?

 おい、なんなんだよ、これ!?

 ふざけんな、一体、これなんなんだよぉ!!?」





俺が?


俺が?


俺が?



おれが?



オレが?



オレガアァァァァ!!?





(ああぁ、ああぁぁ、あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛!)



(アゼ*リ#ア=み¥ラσーを!?)



(俺GAA、()のテDEE、(コロ)§h♀・てしま〆ッ丁α、だとぉ!?)




それ(・・)を認識した瞬間。




ヒドい頭痛 ──



ナニかがコワれたような衝撃 ──



── ブッッ……………チィンッッ!!!




(……コ……ロ……ス……)




…………コロス…………




……………………コロス!




コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! コロス! 






▲ ▽ ▲ ▽




── 脳を灼くほどの大激怒。



脳の灼熱で、ガンッと殴られたように、意識がハッキリする。



(悪夢だ……)



悪夢だと解っている。


だが、腹の虫がおさまらない。


目の前が真っ赤に染まったままだ。


頭が殺意で埋め尽くされた、悪夢のままの、精神状態。



(……全てが、目障りだ)



陸で、はしゃいでいるバカ共も。


空で、何か叫んでいる、どこかの誰かも。


水中で、こちらを狙っている、うっとうしい肉食魚共も。



(── 俺は、なんのために、異世界(ここ)にいる?)



── 期待された、師匠(ジジイ)の後継者に、なれもせず。

── 夢に描いた、魔剣士に成る事も、かなわないまま。



(それなのに、何故?

 いまだに未練がましく、毎日剣なんて振っている?

 『ゲームの必殺技』を再現なんてお遊び(・・・)に、一体なんの存在価値がある?)



── そんなの決まっている!!



あの不憫な女の子(アゼリア)を ──


健気で純真な乙女(アゼリア)を ──


こんな無能(ナマクラ)を『お兄様』と慕う妹弟子(アゼリア)を ──



(── この異世界にはびこる、ふざけた不条理どもから守るため!

 そうだろう、ロック!?

 もしも、この異世界が、あの子の敵だというならば!?

 俺は、この異世界の一切合切を()(つぶ)し、粉砕(ふんさい)してやる!!)



噛み付いてきた川魚を、間一髪かわし。

逆に、ガブリ…ッと、のどのぶ(・・・・)に食らいつく。



── 風魔法をメインとする【秘剣・速翼(はやぶさ)】は、水中では役に立たない。



(なら、どうする?)



答えは、簡単だ。


使えない術式を全て廃棄。

両手に残る9個の指輪を全て、【滑翔(シュート)】の魔法に書き換え、発動。



昨日、魔法の水風船カエル爆弾(?)を移動させていた『この魔法(シュート)』は、移動に特化した魔法だ。

なにせ、魔法の術式である<法輪(リング)>や、俺の姿をした魔法の幻(・・・・)すら移動させられるのだから。


── 水中移動なんて、お手の物。



大河の水底15mで、水圧で死にかけてた、俺。

マリンジェットの勢いで水面をブチ破り、河岸に着陸。



ペッ……と、咥えていたマグロもどきを吐き出し。


ヤケっぱちに笑う。



── ハロー、異世界!


── クソったれな陰謀の皆さん、こんばんわ!


── はるばる遠くニッポンから、蹂躙(じゅうりん)しに来てヤったぜ!

2021/11/24 バグ台詞追加

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ