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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 2:山岳ステージ

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30/236

30:怒り頂点

!作者注釈!

今朝の予約更新が未完了のまま掲載してしまったので、一度消去してから、再度掲載しなおしています。

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




さて、話が込みいってきたので、ちょっと経緯をおさらい。



・ リアちゃんの幼なじみ野郎の、厄介な依頼に同行

  ↓

・ ヤベえ魔物が出てきたので、男子・女子でチーム分けして1匹ずつ担当

  ↓

・ ヒョロい金髪貴公子(イケメン)を囮にして、後ろから必殺のぉ ──

  ↓

・ ── その最高のタイミングで、横殴りの『吐息攻撃(ブレス)』でぶっ飛ぶ俺

  ↓

・ 紙装甲を悔いながら<治癒薬>(キュア・ポーション)で回復中 ←[今ここ]



という状況だ。

回想おわり。


なにはともあれ、今は体調回復が最優先。

呼吸を深く、痛みを鎮め、乱れた魔力を整える。



狂戦士状態(バーサーカーモード)のリアちゃんが倒しきる前に、必ず一太刀は入れてやる!

 俺のカタキは、俺自身で取る!

 妹弟子に頼るのは、俺が殺された後だけだ!)



だが、あの魔物の(すき)をつくには、新しい手が必要だ。

新しい必殺技 ── つまり、新しい魔法の術理。


痛みが大分ひいてきて、余裕が出てきたので、周囲をよく見渡す。



(お、これは……?)



メガネ女子な魔法技工士のそばに、2本の<中導杖(ロッド)>。

見た目、前世ニッポンの修験者やら山伏がもってる杖の、輪っかをデカくしたような感じ。


1mちょいのシャフトの先に、『地球儀の枠』くらいの術式の輪が付いている。

そこには、さっき<六脚轢亀(ヘキサスタンプ)>の激硬の甲羅をカチ割った、水の攻撃魔法【滑翔(シュート)破響蛙(クラッシュ)(オルト)】の術式が刻まれている。



(あの青カエルを空中移動させた魔法……使えるかもしれんっ)



俺は、小指の指輪に擬態した待機状態(スタンバイ)の<法輪(リング)>を解放(リリース)

腕輪の大きさに広がった<法輪(それ)>と、<中導杖(ロッド)>に刻まれた魔法文字を見比べ、再編集していく。



すると、俺の両脇の魔法使い従姉妹2人(いとこコンビ)が、何か騒ぎ出す。



「すごいです……こんな精緻(せいち)な……

 複雑で緻密(ちみつ)で美しい……こんなオリジナル魔法、見るの初めてです……っ」

「── へ? サリー姉、まさかコイツ、自力詠唱でこんな複雑な魔法を!

 え、あ、ウソぉ、<法輪(リング)>の術式がどんどん変わっていってる……っ!?」

「あ、ありえません! こんなのありえない……っ

 すでに一度構築した術式を、書き換えるなんて、聞いた事もありませんっ」

「っていうか、コイツの指にはまっているの全部、魔法の<法輪(リング)>!?

 ウソでしょっ、両手の指、全部そうなの!?」



君ら、人の真横で、グチャグチャうるさいな(半ギレ)?



(今、割と真剣に術式構成を考え直しているんだって。

 だから、ちょっと静かにしてくれねえかな?)



そんな俺の思いが伝わったのだろう。

女子2人は、ちょっと離れて話をしだしたので、作業に集中できて大変ありがたい。



「10個の魔法を、同時に……

 『三重(トリプル)』や『四重(クワッド)』どころか……『十重(デキュプル)』?」

「── デ、『十重詠唱者デキュプル・キャスター』って……!?

 サリー姉、そんな事、本当に人間に可能なの……?」

「わ、わかりません……

 だけど半分の『五重詠唱者クインタプル・キャスター』ですら、世界中で5人しかいないはずです……」

「もしかしてコイツも、<四彩(しさい)(かばね)>の直系だったりするワケ……?」



そんな感じの周囲の雑音と、魔法ダメージか溺れかけたのかの後遺症的な頭痛と、苛立ちに精神を乱されながらも、なんとか必殺技シリーズ1種の改良を終える。



(── あとは、だ……)



腰の<小剣(ショート)>、を抜き、近くに落ちていた木の枝に向ける。


魔力を、ギザギザに、ささくれ立った精神の形そのままに。

鋭く(とが)らせ、棘の群を並べていく。

有刺(ゆうし)鉄線(てっせん)か、あるいは、イバラの(むち)か。


そんな風に、魔力の形状を変化させ、変質させ、愛剣ラセツ丸の剣身を『俺の腕の延長』と錯覚させて魔力を巡らせていく。


そして、それを『走らせる』。



── ギャリギャリギャリ……ッ、と木の枝が切断。

より正確には、『(けず)り切れ』た。



(よし、新作のチェーンソー風の魔法付与(エンチャント)完了!)



さて、名前はどうするかな?


元が【序の一段目:()ち】で、その変化系なんで……──

──……まあ、【序の一段目:()き】くらいでいいかな?


変に()っても、覚えにくいし。



「ふぅぅ……」



そして、俺は息を深く吸い込みながら、立ち上がる。

まだまだ腹の内側は痛むが、痛み止め薬の効能でガマンできるレベルになってきた。


今こそアレを叫ぶ、絶好の機会(チャンス)



「── 『怒り頂点なりぃ』!」



俺は、烈火と闘志を(たぎ)らせながら、天を仰ぐ。



── なお、魔法使い従姉妹2人(いとこコンビ)は、俺の背後で、



「サリー姉、今の一体、何……? アイツ、一体なんなの!?」

「わかりません、もう、何がなんだか、わたしにも全くわかりません……っ」



とかなんとか、まだ何か騒いでいた。

ホンット、おしゃべり好きの従姉妹(いとこ)2人(コンビ)だな。





▲ ▽ ▲ ▽



「リアちゃん、俺が行く!」



俺の叫び声は、同士討ちを避けるための注意喚起。

すぐに『チ・チリン!』と魔法の起動音を2重に鳴らしながら、魔法の加速で飛び出す。


文字通り、水面すれすれを飛翔して。

強化魔法の魔法陣を背負い、疾風の如く。

一直線に異常個体<六脚轢亀(ヘキサスタンプ)>へ!



── バクゥン!!



巨大カメの長首が、蛇のように待ち構え、一撃必殺!!


まさに、飛んで火に入るナマクラ剣士!

そんな感じで、俺が(・・)、一撃で必殺される!



「── なにやってんのよ、アンタぁ!?」


「ろ、ロック君……っ!? 今、助けるっ」



あにでしは しんでしまった!(デデレ~ン♪)



「── 違いますわ! そっちは魔法で作った幻影(ニセモノ)ですの!

 お兄様の背に強化魔法の(・・・・・)魔法陣は(・・・・)ありえません(・・・・・・)のよ!」



さすがは5年の付き合いの、妹弟子。

一発で幻像(げんぞう)(魔法で作った幻影)の違和感を見抜いてくる。


幻像(これ)を覚えた時、お互いにドッキリ仕掛け合ったり、いろいろ遊んだ仲だしね?



「── ふ……っ

 そっちは幻像(げんぞう)だ……っ」



巨大カメの鎌首に()み付かれた『幻像の俺(ニセモノ)』が、桜の花びらに成って散っていく。

これぞ第4の必殺技、【秘剣・散華(ちりばな)】。

(※ 格闘ゲームなら ↓↓+ [K] )


その(すき)に『実体の俺(ホンモノ)』は魔物の甲羅の上に着地している。

こっちの移動は【秘剣・速翼(はやぶさ)四ノ太刀(しのたち)夜鳥(ぬえ)】だ。

(※ 格闘ゲームなら ↙→ + [K] )


── 道場破りで使った移動のみの【速翼(はやぶさ)】を、大幅特化(ブラッシュアップ)

スピード特化の、隠密機動に作り直した新技だ。



いきなり噛み付いた獲物が消えて戸惑う巨大カメ。

その長首へ向かって、離れた位置で<小剣(ショート)>を振り下ろした。



「くらえ、【秘剣・三日月(みかづき)】!」



不意をついた飛び道具系必殺技も、ガス……ッ、と鈍い音で魔物の硬い表皮を傷つけるのが精々。

大したダメージにもならない。


むしろ、幻像魔法(ニセモノ)だと気づいた魔物を、おびき寄せるだけ。

挑発行為。



── グオオオォ~~ッ!



鎌首が振り返り、巨大カメの大口が迫る。


作 戦 ど お り !



「── あぶないっ」



遠くで叫んだのは、誰だったのだろう。



「ふん……っ」



俺は、心配するなと不敵に笑って親指を下に向ける。


左親指の指輪に偽装した待機状態(スタンバイ)の魔法を解放(リリース)

魔法の術式<法輪(リング)>が、腕輪の大きさに広がって高速回転、『チリン!』と鳴る。



── ガッ!? グガァ~~ッ!



魔物の大口が、俺の2m先で見えない『何か』にぶつかり、(くちびる)歯肉(しにく)を傷つけて血をしぶかせる。



「【秘剣・陰牢(かげろう)】っ」



これが最新の、第五の必殺技。

さっきの【三日月】が飛ぶ斬撃なら、この【陰牢(かげろう)】は見えない()()きの斬撃。

(※ 格闘ゲームなら  ↓タメ後↑+ [P]

 跳び込み・突進対策の設置攻撃。ノックバック長め)


見えない『刃』である【陰牢(かげろう)】で、縦3×横3の6本組みの『(やいば)防御柵(ぼうぎょさく)』を作り、盾代わりにしたワケだ。



── グオッ? グオッ!? グオォォ!



魔物は思いがけない痛みに驚きながらも、再度、見えない『(やいば)防御柵(ぼうぎょさく)』の方へ首を伸ばす。

だが、困惑やためらいのせいで、先ほどのような強烈な勢いがない。


俺は、中途半端な噛み付き攻撃をしてくる魔物へ、一歩踏み出す。

次の必殺技のため、右手の中指の<法輪(リング)>を起動(『チリン!』)



「【秘剣・木枯(こがらし)】!」



ザクザクザク……ッ、と、秒間20連の超速突き。

陰牢(かげろう)】の見えない『(やいば)防御柵(ぼうぎょさく)()しに、目の周り・鼻先・腔内(こうない)と、比較的やわらかい肉を、メッタ刺しだ。



── ガ! ガァ!? グオォォォ~~ッ!!



魔物は痛みにのたうち、すぐさま激怒して、鎌首を叩き付けてくる。

魔物の捨て身の攻撃が2回ぶつかると、『(やいば)防御柵(ぼうぎょさく)』はガラスのように砕け散った。



「── おっと……っ」



軽自動車の突撃じみた、巨大頭の噛み付き攻撃を、ギリギリで左回転して(かわ)す。

技の()が早く、終わりの隙が短いのも、【木枯(こがらし)】の特徴だ。


俺は、再度、中指の<法輪(リング)>を起動(『チリン!』)

今度は、左手。



「【秘剣・木枯(こがらし)参ノ太刀(さんのたち)星風(ほしかぜ)】!」



ギリギリで回避した魔物の大木のような鎌首に、連続斬りを3発。

さっきの開発したばかりの【序の一段目:()き】でチェーンソー刃にして振り回し、ズギャンッズギャンッズギュゥゥン!、と『*字(ほしがた)』にブッた斬る。



── 【木枯(こがらし)】の突きは、デカい魔物には効果が薄い。

人間で例えれば、毛針くらいでチクチクされているような物なんだから、そりゃそうだろう。


その欠点を補うための新バリエーションがこれ、【参ノ太刀(さんのたち)星風(ほしかぜ)】だ。

(※ 格闘ゲームなら  →↘↓↙←+ [P]

 コマンド投げ。技終了後、自分がバックジャンプ)


斜めに切り上げつつ回転し、さらに斜めに切り下げ、締めの1撃(フィニッシュ)はジャンプアッパーの要領の斬り上げ。


さらに細かく言うなら、最後の一撃(フィニッシュ)は体勢低く敵の下に潜り込んで、大きく斬り裂きながら飛び上がり、後方ジャンプの回転宙返りで離脱。

連撃と後退(ヒット&アウェイ)が1セットの動きだ。



── ギャワァァ! グギョウオオォォォ!



巨大カメ<六脚轢亀(ヘキサスタンプ)>は、激しく首を震わせて、流血をブシャブシャと噴水みたいに飛び散らせる。


どうやら、頸動脈でもブチ斬ったぽい。



(しかし、この【序の一段目:()き】すごいぜ、さすがはチェーンソー!

 イヒヒヒィ~~ッ、コイツの斬れ味はァ、最高だァ~~~!)



……でも、魔力の制御が、クソ面倒で発狂しそう。

ほら、裁縫用の針の穴に糸を通すみたいな細かい事をしていると、指がツリそうになるじゃん?

魔力を操作する感覚が、そんな感じで、脳ミソがコムラ返り(?)な気分。


出来れば、あんまり使いたくない。



(うん、いざという時限定の奥の手だな、これ……)



「── なんかスゴい事したわよ、アイツっ!!」



うるさい子の叫び声が聞こえる。


俺は、河岸に着地するとすぐに撤退しながら、叫びを上げる。



「── リアちゃん、貴公子(ヒョロ)(とど)めだ! 首落とせ!」



「はい、ですのっ!」「任せてっ」



一応は突破口を開いたので、俺はもうベンチ入りでいいだろう。

怪我人(けがにん)は大人しく観戦にまわり、後始末は<御三家>天才児2人に任せることにした。


!作者注釈!


2022/05/07 新技のコマンド抜け落ちに気付いたので修正(陰牢と星風)

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