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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 9:港町ステージ

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228/236

228:二の打ち要らず

金鉱島(ゴルドアイル)>の魔物の森に、巨大な異物が出現していた。


直径1km(キロ)ほどの四方と天井を、厚さ30cm程ある氷壁がぐるりと囲む。

氷の強度は鉄に匹敵するのだから、その氷壁は鉄壁に等しい。


そういう閉鎖空間『真・氷の結界(アイス・ドーム)』。

あるいは、デスマッチのリングか。


そこには、俺ロックと例の異国の男(くそヤロー)

死闘に挑む、両名だけ。



魔導師(・・・)ごとき(・・・)低能メ!

 この俺に、1対1で勝てると思ったカ!?」



怒りに震える、金髪とワシ鼻と白い肌という異国容貌の隻腕(せきわん)の男。

まるで弓を引く様な動作で、左の手刀(てがたな)を引き絞る。



「ジャァ!!」



再三の、絶技。

怒りにより放たれる今回は、あるいは過去最高の破壊力だろう。


しかし、だからこそ ――



(―― その激怒だからこそ、技が(・・)荒い(・・)!)



『チリン!』と自力詠唱音。

運動エネルギーすら操る、オリジナル魔法【序の三段目:(なが)し】を起動。


同時に、身体に染みこんだ動きを、反復する。

片方は義足、もう片方は固定処置(ギブス)という厳しい状況ながら、技が成立した。



「ハァッ ――」「―― なんッ……~~!?」



ギリギリまで敵を引きつけ、自分自身を開閉する(とびら)のような動きで、攻撃をスカす。

同時に、敵の突き出した腕を抱きかかえる様に捕まえて、回転運動に引き込む。

くるりと一回転半。



―― ドォ……ン!と、まるで岩の砕けるような衝突(・・)音が、20mは上空(うえ)氷の天井(・・・・)から。

続いて『ゴヒャ……ッ』と苦悶の声か肺から漏れる音も、頭上から聞こえた。



「三度も同じ技を見せられれば、対処法くらい考えるさっ」



―― 剣帝(ジジイ)の使う制圧術の一つ、無名の投げ技。


説明のために即席に名前をつけるなら、『螺旋(らせん)(しょう)』だろうか。

この回転に巻き込まれた敵は、突進の勢いを上昇の螺旋(らせん)に転換され、気がつけば真上に飛ばされている。


この()(せま)土壇場(どたんば)の集中力が技量を底上げし、達人(ルドルフ)のする『神技』をなんとか成立させていた。





▲ ▽ ▲ ▽



―― 前世ニッポンでは、こんな言葉があった。


一撃(いちげき)決着(けっちゃく)

初太刀(しょたち)必殺(ひっさつ)

二度(にど)()()らず』

武術における究極であり、戦闘における理想だろう。


異国の男(くそヤロー)がする絶技『長距離狙撃の手突(つき)』は、まさにそれ(・・)

乱雑(ブッパ)の一撃で、あらゆる敵を虫ケラのように殺してきたんだろう。



(それも当然。

 あれだけの超・広範囲(ハイパー・レンジ)の、亜音速突撃(ジェット・アタック)で、致命的威力(フェイタリティ)だ。

 いくら超人戦士の魔剣士だって、その数段上をいかれれば、まずもって勝負にもならんよなぁ……)



例えるなら『未開の部族を銃兵で皆殺しにする』くらいの無敵(チート)さ加減だ。

圧倒的な戦闘力の差で、笑えるくらい楽勝だろう。


だからこそ(・・・・・)、反撃を受けた事も、対処された事もないのだろう。



(それこそ『二度(にど)()()らず』に慣れすぎて、(わき)が甘すぎんだよ……っ!)



圧倒的な戦闘力にあぐらをかいている。

そんな心の(すき)をつけば、制圧する事もできる。


敵と俺の戦闘能力に『100』と『1』くらいの差が有ったとしても、必ず『戦闘力100』の方が勝つワケではないのだ。



―― 例えば、前世ニッポンの拳銃だってそうだ。


人間の拳打(パンチ)とは比べ物にならない、射程と、速度と、威力。

そんな圧倒的性能の『拳銃』を使う者が、『素手(すで)の制圧術』に完封させられる事も珍しくなかった。


野生生物と比べれば、(つめ)()さえもか弱い(・・・)人間が、はるか強者に勝つための知恵と技術。


知識と経験を積み重ねて、工夫(くふう)()()げれば、どんな強敵をも打ち倒せる。

その人間の工夫(くふう)の集大成が、武術である。



「あまり人間をナメるなって事だよ、性能表オタク(スペックちゅう)のクソ化け物が」



俺がツバを吐く様に言う。





▲ ▽ ▲ ▽



俺の後方にドサン……! ドスン……!と落下音。

落下して地面をボールのように2度3度と()ねると、さらに、ゴロゴロと10mほどは転がったらしい。



―― そもそもが、推定で時速300km超という「お前空でも飛ぶ気か?」と呆れる様な、異国の男がする超速・突進攻撃。

その運動方向(ベクトル)を90度ずらされ、高さ20mの氷の天蓋(ドーム)に激突。


常人ならば、もちろん即死。

それも、3~4度は即死して、まだお()りがくるような、大ダメージ。


頭蓋骨(ずがいこつ)が粉砕。

頸椎(けいつい)の複雑骨折。

背骨(せぼね)だって折れているだろう。

心肺なんかの内臓も破裂しているかもしれない。


もはや『事故』だ。

列車衝突事故に、高所墜落事故。


人体の原型が残るハズも無い。


前世ニッポンのニュースなら、その凄惨(せいさん)さから『全身を強く打って』という婉曲(えんきょく)(てき)な表現がされるような、無残極まりない肉片(・・)になる(・・・)ハズだ。



―― 普通(・・)なら(・・)そう(・・)なる(・・)ハズなのに、何事もなかった様にヒョッコリ起き上がってくる。



「なんだぁ……!? 今の技は……っ!」



しかし、金髪ワシ鼻の男は、奥歯を食いしばり痛みに耐える様な表情。

ちょっと(・・・・)スッ(・・)転んだ(・・・)』くらいの無事っぷりだ。


鼻血が出ている事が、ワザとらしいと思うほどに、無傷。



(なんで、この程度で済んでるんですかねぇ、コイツは……っ)



意味不明すぎてウンザリする。


そういう理不尽な存在 ――

 ―― つまりは『化け物』と、殺し合いをしなければならないらしい。



(ホントにこのクソ異世界、ロクな事ねーな……っ!!)



―― まあ、とっくに(わか)っていた事だ。


俺の重傷を見てブチ切れたアゼリアが、禁断の音速刺突(マッハづき)四電(しでん)』を使った。



(つまり、その時点でコイツは『即死』してなきゃおかしいワケだ)



しかし、見ての通り、まるで元気でピンピンしてやがる。

人体の限界とか、生理学とか、そういう常識から外れた存在だと思った方が良さそうだ。



(コイツに冷静に動かれたら、身体性能(スペック)(おとる)る俺には、どうにもならない……っ。

 このまま怒りと焦りでペースを崩し、暴風の様なガムシャラ攻撃を続けさせる!)



―― だから、俺は挑発を重ねる。

観察と読心術で推察した敵の心の古傷を、あえて(えぐ)るように。


圧倒的に不利で絶望的な『敗戦』を、少しでもマシな展開にするために。



「フハハッ、魔剣士の成り(・・)損ない(・・・)分際(ぶんざい)が!

 だから、俺のような魔導師(・・・)ごとき(・・・)に遅れを取るのだ」


「―― ~~~~……ッ!!?

 キィ~~、サァ~~、マァ~~!!

 絶対に殺してやるゾ、貴様ぁ!!!」


「奇遇だな……っ」



俺は、フッと笑ってから、一呼吸。



「俺も、お前を殺したくて仕方ねえんだよぉ!!」



同時に『ギャリィン!!』と、金属かガラスが強く(こす)られたような、異様な自力詠唱音。


殺意を青い魔力光に変えて、敵に斬りかかる。





▲ ▽ ▲ ▽



―― 『試作奥義:(あらし)』。


それは、魔法のジェット噴射に押されて『剣が勝手に動く』必殺技だ。

そのジェット推進力を疾駆(ダッシュ)の補佐として使い、義足と固定処置(ギプス)の両足でなんとか(・・・・)走って間合いを詰める。


立ってバランスを取っているのがギリギリな俺には、こんな方法しか思いつかなかったのだ。



「くらえっ、このぉっ」



上段(ウエから)左切上(ミギシタから)横一文字(ドウをミギに)、回転して足切払(シタを)……。

手首の回転でなんとか剣撃をつなぐが、不器用な攻めになるのは否めない。


ガン!ガン!ガン!ガン!……と、全て頑強な右手の竜鱗手甲(ガントレット)で防がれる。



「カッ、ヒ・ヒ!

 大言を吐いて、これカ!?」



異国の男(くそヤロー)が、ワシ鼻を(ふく)らませて笑う。

と、急に地面すれすれを横回転するような、両足を(そろ)えた回し蹴り。

ほとんど前世ニッポンのブレイクダンスのような、曲芸じみた動きだ。



「ガ……ッ、くそっ」



ほとんど両足が氷の義足状態で、自由の利かない俺は、回避より防御を選ぶ。

なんとか体勢を低くして、模造剣(なまくら)で足技を防いだ。

しかし、全身の体重を乗せた両脚(りょうきゃく)()りの勢いで地面を転がされる。



(歩く事よりも、立ち上がったり、踏みしめて耐える事の方が課題だな……)



「この俺サマが相手でも、今の片腕という負傷状態なら何とかなるカ!?

 ―― そう(・・)思ったんだろ、低能兄貴、お前ぇ!!」



異国の男(くそヤロー)は、ニヤニヤしながら、肩から先がない右腕を掲げた。


そして力を込めると、ブッシャ……!と血が噴き出す。

そして次に、ミチミチ……ッと、肉の軋む音。

やがてそれは、ゴキ……ゴキ……ゴキ……と、関節の軟骨を鳴らす様な音にとって代わる。


―― そして、右腕が『()えた』!?



「……ぉ、おいっ。 なんだ、そりゃ!?」



この魔法のある異世界にウヨウヨ居る常識外の魔物でも見ない、デタラメな再生能力。



「カカカカッ、ヒィ~~……ッ。

 驚いたろ、低能兄貴メ!

 例え俺の腕を何度も切り落とすガ、それは生爪(なまづめ)(はが)がれた程の不利も無しダ!」



自慢げに見せびらかす、超速で再生した右腕。

それには、例の頑強な竜鱗装甲が、ビッシリと覆い尽くしている。



(まさか、アレ……。

 防具の手甲じゃない、って事か!?

 自前の鱗か何かで、身体を覆っているって事か!?)



剣帝流の新弟子となったばかりの、獣人の熱愛2人(バカップル)

彼らと同じように、コイツも特殊な能力を生まれ持つ『獣人』である可能性が出てきたワケだ。



(まるで『トカゲの尻尾(しっぽ)()り』のような能力!

 つまり、自切(じせつ)と再生!?

 コイツもしや、トカゲ()の獣人って事か!?)



俺が混乱しながらも、敵の能力を分析していると、一瞬で間合いを詰めてくる。



「さあ、()(とき)ゾ!」



竜鱗の手甲(ガントレット)のような、右腕と左腕。


手刀(てがたな)にすれば鋼鉄を貫く。

防御に転じれば、魔法の刃【()ち】をも防ぐ。


それが、暴風のような連撃で襲いかかってきた。





▲ ▽ ▲ ▽



ヒュゥ……ッ、と異国の男がする吸気音が、不吉に響く。



「低能魔導師の剣術ごっこ! いつまで保つカ!?」



左右の鱗手(スケイル)が、交互に振られる。


ブ・オ・オ・オ・オンッ!と激しく風を鳴らす、手刀(てがたな)の5連手突(ツキ)

当然だが、万全の状況となった事で手数が2倍になり、攻撃の間隔も半分になった。


もはや俺は、防戦一方。

キン!キ・キ・キ・キン!と、耳障りな連撃音。



「チィ……ッ、『腕が生える』超回復とか予定外すぎる!」



特級魔剣士を越える、速力と剛力。

防戦一方といえ、その超速の連撃ついてけるのは、ひとえに俺が剣帝流だから。



(俺はダテに、剣帝流で『魔剣士の成り損ない(ナマクラ剣士)』やってねーんだよ……!)



そう、【五行剣】の『剣帝流』は、ダテではない。

この程度(・・・・)の超人身体能力なら、まだ知覚が追いつく。


少なくとも、【五行剣:(いかづち)】を使った時の剣帝(ジジイ)ほど理不尽ではない。

技巧だって、後継者としてまだ未熟なアゼリアにさえ、全然およば(・・・)ない(・・)



(なら! この程度! 全てさばき切れる!!)



カカカカカカカ……ン!と、休むヒマ無く続く攻防の音。

竜鱗に覆われた両手の貫手(ツキ)の連撃を、そして時折意表をつく肘撃(ひじ)を、すべて<小剣(ショート)>で打ち払う。


そして、その超級の【身体強化】魔法に対応するべく、磨き上げた小剣術。

防御特化の<小剣(ショート)>を駆使(くし)する剣技は、一撃必殺を目指した『必殺技』の補完(フォロー)でもあるのだ。



「この低能メぇ! クソ粘りするカ!?」



手刀(てがたな)でする連続突きは、この異国の男(くそヤロー)の得意技だったのだろう。

単調なそれ(・・)だけでは俺を殺しきれないと判断したのか、数歩下がって動きを止める。



「ヒュゥ~……ッ」



深い呼気(こき)の音。

肺の中の空気を一度に全て()ききり、新鮮な空気を補充。


そして、動きが変わる。

先程までの()(せま)りながらの直線連撃から、今度は左右に回り込む曲線連撃へ。


虎爪(クロー)が、手刀(チョップ)が、裏拳(うらけん)が、回転肘(エルボー)が、上腕撃(ラリアット)が、上段中段下段をランダムに攻めてくる。


ブ・ボ・ボ・ボ・ボ・ボ……ン!と、空気を粉砕する回転音は、まるで人間プロペラだ。



―― そしてさらに、連撃の途中に挟み込まれる、『指がらみ』とでも呼ぶべき特殊な動き。


それはおそらく『剣刃殺し』(ソード・ブレイカー)

竜鱗(スケイル)の指で剣を(から)()る、剣士(けんし)(ごろ)しの接近戦闘技術。


俺は、慌てて回避動作を大きくして、小剣の『防御』から『迎撃』に方針を切り替える。



(やはり! コイツはアイツと同門!? あの『なんとか騎士』とかいう、『金ぴか爪』(オリハルコン・クロー)の!?)



なんだっけ、あれ、名前!?

ほら、アイツ!

えっと、その、あれよ、アレ!


リアちゃんの文通友達(ペンパル)が、『アルカナのうんちゃらかんちゃら』言ってた、野郎(アレ)



(うっせぇ~! これだからコミュ症は……、とか言うな!! 1回しか顔合わせてない他人なんて、名前覚えるワケないでしょ、フツーさぁ!)


※ただし、毎日アイツの幻像魔法(イメージ)とトレーニングしているのはノーカンとする。





▲ ▽ ▲ ▽



そんな気持ちの乱れが、剣筋に出たのだろう。



「ヒュゥ……ッ」「―― はっ」



異国の男は、一瞬の(つく)をつく足払い。

それも、ほとんどスライディングに近い、地面に寝そ(・・)べる(・・)様な蹴り技だ。

先程からの回転攻撃の勢いのままに、地面を滑って間合いを侵略してくる。


俺は、氷の義足と固定処置(ギプス)の足で、なんとかジャンプ回避を成功。


しかし、そこに2回転目の回し蹴りが襲いかかる。

地面に横寝そ(・・)べった(・・・)まま(・・)で回転して、さらに勢いを増し、胸の高さまで振り上げられる『()()り』。

ほとんど、前世ニッポンのブレイクダンスみたいな動きだ。



「ジャァ……ッ ――」「―― クソっ」



俺の氷の(・・)両足(・・)が、砕け散った。

氷の義足の左足と、氷で固定処置(ギプス)したまだ(・・)生身の右足も、だ。


氷塊なんて石や鉄に近い硬さなのに、蹴りの一発で()()微塵(みじん)

この異国の男(くそヤロー)め、お得意の手刀(てがたな)だけではなく、四肢(しし)の全てが鋼鉄の様に鍛え上げられているらしい。


緊迫が、視界をスローにする。

空中に氷の破片が散り、それに鮮血の赤色と、生肉のピンク色と、骨か筋らしき白色が混じる。


そして、その向こうでニヤリと勝ち誇る、金髪ワシ鼻で上背(うわぜい)異国の男(くそヤロー)



()った! (とど)めゾ!!」



敵がする怒号は、全力を振り絞る気迫だろう。

地上3回転スピンしながらの連続攻撃なんて、超人の身体能力でも難しい絶技だ。


ブレイクダンスの転倒回転から起き上がり、大きく一歩踏み込んでくる。

ボォ……ン!と空気を破裂させる、右の竜鱗腕(スケイル)手刀(てがたな)



「ハッ、まだ()ってねー()!?」



俺は鼻で笑い、揶揄(やゆ)するように言う。


中指の指輪に偽装した待機状態(スタンバイ)の魔法を解放(リリース)

魔法の術式<法輪(リング)>が、腕輪の大きさに広がって高速回転、『チリン!』と鳴る。


魔法の効果で、空中の姿勢を修正。

<小剣>(ラセツ丸)を構えた迎撃態勢で、必殺技を放つ。



「【秘剣・木枯(こがらし)】っ! ――」「―― なん、ダぁっ!!?」



ガガガガガ……ッ!と、1秒間に20発という高速の刺突(ツキ)

鉄をブチ抜く竜鱗腕(スケイル)手突(ツキ)を弾き飛ばし、さらに敵の上半身にも傷跡を残す。



―― 俺の繰り出した、空中(・・)カウンター。


予想外の迎撃(ソレ)に驚いた異国の男(くそヤロー)は、ワシ鼻の顔をしかめて後退。



「格闘戦の最中に、自力詠唱(キャスト)ぉ……ダァ!?」



わずか(ひと)()びで後方20~30mに逃れて、警戒の構え。



「武術と魔導の技を、同時に……。

 <四彩の(かばね)>とて不可能な異常ゾ?

 あるいはキサマ、『月下凄麗』ルナティック・ティアー以上の化け物カ!?」


「……フッ」



俺は敵の言葉には応えず、ただニヤリと不敵に笑う。



(痛みがマヒして傷の状態が解らないのは、思った以上に困るな……。

 自身(オレ)があとどれだけ()つか、まったく解らないんだから)



内心の焦りと冷や汗を、必死に隠しながら。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 まぁ自分で「私の心臓はドラゴンです(要約」ってほざいてましたからなぁ、このクソ野郎。 ドラゴンのパワーを宿してるなら、ドラゴンより格下のリザードマン(もし居るなら竜人)みたく鱗ア…
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