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異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 9:港町ステージ

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223/236

223:姉な後継者になりたくて!

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




ここしばらく<帝都>を離れて<金鉱島(ゴルドアイル)>とかいう島へ。

半分観光な感じの俺と、妹弟子・アゼリアと、あと飼育魔物(ペット)のブチ。



―― で、なんか色々あって、島で出会ったガキんちょ獣人な熱愛十代(バカップル)(プラス魔物1匹)の面倒をみてやっているワケだ。



例えば、身分証を作るために冒険者ギルドで登録してやったり。

寝床として、冒険者ギルドや行商人ギルドの御用達(ごようたし)・長期滞在の格安宿屋やら、巨鳥魔物(おトモダチ)のデカイ身体でも寝れる場所として馬小屋の貸しスペース(ブチの隣!)を紹介してやったり。


後は、当面の生活費を援助する的に、この金貨1枚も持ち合わせがない『カネ無し十代獣人(ローティン)2人』にちょっと仕事(バイト)させて報酬あげようかな、とか思ったんだが。


例えば、地元(このマチ)を案内させて『ガイド料金』くらいは払ってやろう、とか思ってたんだが……。



(でも、なんかコイツら、地元民じゃないっぽい……)



そんなワケで、『地元案内』の依頼の話をしても、

―― 「いや、そう言われても、俺たち……」

―― 「街の中とか、初めて入ったもんね……?」

―― 「地名とか、色々言われても、解んねーし……」

とか、ゴニョゴニョ言いにくそうに目線をそらす感じ。



つまり、この熱愛十代(バカップル)2人は、ここ<金鉱島(ゴルドアイル)>の事なんて、まるで知らないらしい。

昼飯(メシ)とか食いながら当たりさわりの無い雑談をしてると、その会話の端々で、誤魔化しきれないワケあり話がポロポロ聞こえてくる。



(どうやら色々あって故郷から飛び出した、というか。

 熱愛十代(バカップル)だけに『()()ち』か何かで、逃亡生活みたいな感じ?)



この獣人2人そろって、家出中という非行未成年の疑惑が持ち上がる。



(まあまあ国際色豊かな<帝都>でも、獣人種族(ケモ耳・ケモ角)なんてまるで見なかったから、遠方の特殊な人種なのかもなぁ~……。

 ―― そう言えば、『なんとかの末裔(まつえい)』とか言ってたし……)



そんなホームレス十代前半(チュウガクセイ)みたいな連中を、飯食わせて宿に泊まらせて風呂入らせて、と面倒みる事、二日(ふつか)三日(みっか)



―― 徐々に、俺と妹弟子(アゼリア)に心を開いてきたらしい。


まあ公衆浴場の入浴マナーも知らなかったんで、身体洗ってやったり、髪洗ってやったり、色々と世話を焼いてやってるからな。


初日というか、初対面の時の、ビクビクした警戒した感じが抜けてきた。



(あの2人、当流派(ウチ)飼育魔物(ブチ)よりは、なつくの早いな……。

 <羊頭狗(アイツ)>が『腹見せゴロン(ヘソ天)』し始めたのは、肉体言語(スモー)を始めて2週間目くらいじゃなかったけ……?)



当流派(ウチ)飼育魔物(ブチ)の野性味を()めるべきか。

この獣人2人の、柔軟性というかコミュ(りょく)()めるべきか。



でも、いまだに2人で何かと、コソコソ話はしているが。

だが、警戒が解けた分だけ距離が近くて、なんか色々と内輪話が聞こえてくる。



「毎日ご飯がおいしい! 大陸の反対に居た時には考えられないねっ」とか。

「あの真っ黒な砂漠じゃあ、虫とかトカゲとか泣きながら食べたよな……っ」とか

鳥型魔物(ルゥキ)が頑張って<金鉱島(このシマ)>まで飛んでくれたお陰ね」とか。

「帝国領とか初めてだったから、どうなるか不安だったけど……」とか。

「帝国語も藩王国の港町で教えてもらった通りで、そんなに難しくないね」とか。

「助けてくれた密航ブローカーのオバさん、元気してるかな……」とか。



不法入国か?

密入国者か?


そんなヤバそうな情報が、色々ポロポロ聞こえるワケなんだが……。



「…………」



(俺って、国立研究所のバイト君という半分お役人(コームイン)みたいなモンなんだけど……。

 これ、大丈夫なのかな……。

 あとで魔導三院(おヤクショ)に、犯罪幇助(ほうじょ)とかで怒られない……?)



兄弟子(にいちゃん)、ちょっと後悔中。



―― 『うぉぉ! 獣人だ! イヌ(みみ)男子だ! (ひつじ)ツノ女子だ! ファンタジー種族だ! すげえええ! これこれ、コレよ! ニッポン男児はこういうのを求めているワケですよ! この世界に六道輪廻転生(リーンカーネーション)して初めて “良かった” と思えたぜ! 南無三(サンキュー)釈尊(ブッダ)、愛してる! チュッ(前世ニッポンの方角へ投げキッス)』



見るからに異世界(ファンタジー)っぽい要素にウキウキしすぎて、事情も知らん赤の他人に深入りし過ぎた。


兄弟子(にいちゃん)、今さら後悔中。





▲ ▽ ▲ ▽



夕食&お風呂を終えて、そんな微妙な気持ちで宿屋に引き上げる。


おやすみ前に明日の予定を話そうと、4人で男子部屋に集まったワケだが。



「―― リアがお姉さんなんですわよ!

 貴女(あなた)貴男(あなた)は、妹と弟ポジションですので!

 そこんとこヨロシクですわ、お~ほっほっほっ!」



なんか、妹弟子が覚えのあるセリフを口走ってた。



「……どした(・・・)リアちゃん、いきなり?」



兄弟子(にいちゃん)、大困惑。

ちょっと声がドモっちゃう。

そして、ちょっと(のど)()め上げる手にも、ムダに力がこもっちゃう。



『ぐ……ぁっ、クソ゛ォ゛、ひともおもいに、殺゛せ゛ぇ……』


「うっせえ! 今取り込み中なんだ、ちょっと黙ってろ!」



バコン!と愛剣の模造剣(ラセツ丸)で黒覆面の頭をブン殴ったら、勢い余って床から2m(・・)くらい跳ね上がった。



(うん? ……え、『2m(ソレ)は流石に死ぬ』って?)



あ、ごめん……。

今、俺ウソついたかも。


だから本当は、違うから。

多分、床から約1.8m(・・・・)だと思う。

だから四捨五入したら1m半(・・・)くらい(・・・)黒覆面(バカ)()ねたのは。



(だから、ほら、大丈夫ぅ!

 安全・安心・セーフティ!

 あぶねーあぶねー、うっかり『人助けの剣帝流(カツジンケン)』が殺人流派(サツジンケン)になっちゃうところだったZE(ゼッ)☆)



床でヤモリみたいな体勢している黒いヤツが、何かビクビクしているのも、きっと気のせい。


ヨシッ、と無事を確認したら、すぐに目を背ける。

あくまで、オッサンがビクンビクンと見苦しい姿なので。



―― そんなワケで、仕切り直し。



「どうした、リアちゃん。

 いきなり?」



兄弟子としては、そろそろ『手切れ(バイバイ)』でもいいかな、と思ってたんだが。

なんでこんな『旅先で出会ったばかりの()()ちバカップル(笑)』な獣人少年少女2人に、急に入れ込んでんの、キミは。



「お兄様、わたくし<帝都>で過ごしたこの1年で大きく成長しましてよ!

 このアゼリア、お胸も靴も、サイズがひとつ大きくなりました!

 もはやお子様ではないのですわ、立派なレディとして度量をみせましてよっ」


「………………はい……?」



ヤバイ、マジで言ってる意味がわからん。



「つまりですね ―― トォ!」



ちなみに、最後の『トォ!』ってのは、妹弟子が(さや)()<正剣>(フォーマル)を片手に、宿の部屋の小テーブルから飛び降りた時のかけ声。

つい(・・)さっき(・・・)、天井に張り付くというゴキブリみたいなマネした黒覆面の1人を叩き落とした時に、そのまま小テーブルの上に乗ってたワケだ。


ちょうど、ベッド(・・・)の上(・・)()固まっ(・・・)てた(・・)熱愛十代(バカップル)な獣人2人を、黒覆面たちの攻撃から(かば)うのに丁度いい位置だった事もあったワケで。



「どうやら()しがた(・・・)退治(・・)した(・・)悪党集団(これども)は、シゥイとファブックを狙っている様ですの!」


「―― え……?

 あ、そうなの?」


「ええ、夜の寝る前にシゥイから色々お話を聞きましたら、そういう事らしいですわ!」



どうやら、女子部屋の2~3日の生活で、色々とガールズトークがあったらしい。



「き、きっと……わたしが、魔物と話せるから……

 そういう、この人達が『狗笛(いぬぶえ)』とか呼んでる、そういう能力を持ってるから……」



獣人少女(シゥイ)は、アゼリアと目を合わせて(うなず)()ってから、自身の秘密を口にする。

お互いに、結構踏み込んだプライベートの話もしたみたい。

なんか、順調に乙女同士の友情を(はぐく)んでる。



―― こっちの男子部屋とか、修学旅行の男子中学生みたいな話しかしてないのに!


武器の話とか。

必殺技の話とか。

空飛ぶ魔導兵器の話とか。

超合金合体ヤマト魂DXの心得とか。

明日は何食いたいとか。


つまり『木刀の土産』やら『ドラゴンの金属アクセサリー』やらに、キャッキャッ言う知能程度(レベル)の話題。


そう! 我ら男子2人はバカである!



―― 閉話休題(それはさておき)、話を続ける。



「あ~……、そういえば。

 いつも巨鳥(トリ)のお友達に言う事聞かせてたの、それだったのか……」



俺は、獣人少女の隠し能力に感心。



(あぁ~……、たまに頭を押しつけてたのは、そういう特殊能力発動だったのか。

 んじゃ時々、俺の鉄弦(イト)が『ビィィン』って鳴ったのも、その『狗笛(いぬぶえ)』ってヤツか?)



獣人少年の方が呆れた声で口を挟む。



「……いや、あのさ。

 ロックさん達は、シゥイが<雷鷹交梟(ルゥキ)>を ―― 魔物を操ってたの、何だと思ってたんだよ?」


「ん~……。

 別に、普通に、リアちゃんみたいな感じ?」


「ええ、リアもブチになら、言う事聞かせられますわよ!」



妹弟子が、エヘン!と胸を張る。


口笛吹いたら走ってくるレベルには飼い慣らしているからな、当流派(ウチ)魔物使い(リアちゃん)



(それに最近は、巨鳥魔物(ルゥキ)に餌付けしながら、やりとり始めたし)



―― あ、巨鳥(トリ)魔物とやりとり(・・)か!?(ひとり笑い(ププッ!)



俺はダジャレに内心爆笑。


そのニヤニヤ顔を見て、獣人男女(バカップル)は何か疲れたような、ため息のような声。



「改めて思うけど、この人達おかしいよ……?」


「うん、帝国の魔剣士って、みんなこんな感じ……?」





▲ ▽ ▲ ▽



さて、部屋中に転がっている不法侵入者どもを、壁際に並べ直す。

こんな狭い安宿の2人部屋に、5人も隠れてやがった。



「―― で、コイツらが? この2人を狙って?

 獣人少女(シゥイ)の特殊能力が目当て、ねぇ~。

 へぇ~~、そうなんだ?」



俺は、独り言で情報をまとめながら、黒ずくめ連中を1人ずつ鉄弦(ワイヤー)で縛り上げていく。

もちろん、魔力操作技術で鉄弦を操る『鋼糸(イト)使い』技能の練習ついで、だ


すると、ツノの生えた獣人少女(シゥイ)から呆れ顔を向けられた。



「……あの、ロックさん。

 逆に()きますけど、さっき襲ってきた時、この人達を何と思ったんですか?」


「え、時々暗い所に出てくる、ゴキブリかフナムシみたいな連中?

 いつも建物の(かげ)とか、天井裏とか、地下とかで、何かゴソゴソしているし……」


「……ど、どういう感性してるの、この人……?」



羊獣人っぽい少女は、目眩(めまい)みたいにツノ生えた頭を手でおさえる。



「そう、言われてもなぁ……」



兄弟子(にいちゃん)、ため息ついちゃう。


何せ俺、この手の連中を、<帝都>滞在の1年だけで2~300人はブチ(・・)のめ(・・)した(・・)ワケで。

最近なんて、こういう黒覆面で黒ずくめな連中を見慣れすぎて、今さら珍しいとも思ってないワケで。



「まあ、骨格からして、どうせいつもの連中 ――

 ―― 『神王国』の暗部(スパイ)なんだろうし……」



そんな独り言で、倒れている奴の顔とか首とかをゴシゴシすると、案の定。

浅黒い肌に浮かび上がる、『炎のマーク』。



「………………っ」

「………………っ」



すると視界の端に、うつむいて身体を硬くしているネコ耳少年と(ひつじ)ツノ少女。



「なんだっけ……?

 ドッヂ■ンペイか……、じゃなかった、『炎罪(ゲヘナ)の紋章』だったっけ?」


「―― ……っ」

「―― ……っ」



俺がぼやくと、獣人の少年少女は、そろってビクッと身体を震わせる。



「という事は、何、お前ら2人って、本当に大陸の反対側から逃げてきたワケ?」


「―― ……っ」

「―― ……っ」



俺が話す度に、熱愛十代(バカップル)2人はビクビクと身体を震わせる。



―― まるで捨て犬だ。

この、()()ちカップルだか義理姉弟(きょうだい)だかの、紫色髪の2人。

『人間は怖いが、エサは欲しい』と、(おび)えながらこっちを(うかが)っている雰囲気。



(―― なるほど。

 つまり『あの頃の妹弟子(アゼリア)』に()ているワケか)



帝国の魔剣士名門<封剣流>総本山・ミラー家の直系として生まれながらも、捨て子同然で育った妹弟子・アゼリア。

彼女にとって『過去の自分』を見るかの様な、孤独と空腹に震える少女と少年の様子は、とても見過ごせなかったのだろう。



だから(・・・)、『妹と弟ポジション』ね……。

 つまり、本格的に(・・・・)2人の面倒みてやる気って事ね?」



兄弟子(にいちゃん)、今日の昼とか冒険者ギルドに連れて行きながら、

『だいぶん自活の準備を手伝ってやったし、コイツらそろそろ放り出してもいいかな?』

とか思ってた頃なんだけど。


まあ、『神王国の暗部(ロクデナシ)』どもに生命を狙われている、少年少女を放り出すのも寝覚めが悪い。


まさに『人類守護の剣(かつじんけん)・剣帝流』としての、面子(メンツ)にもかかわる。



(しかし、不幸な少年少女を(みずか)らすすんで助けようとするなんて……!

 やっぱり妹ちゃんは、心が天使さんだな……っ)



―― 【超報】妹弟子がハイパー清い心な聖乙女(エンジェル)さま過ぎる件について!!!!!



このスーパー妹弟子(テンシ)は、この俺が育てた!!!

後方(こうほう)兄貴(アニキ)(づら)得意顔(ドヤァッ!)


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 まぁ最初から胡散臭い(?)空気がプンプンするぜェーッ!な二人でしたが……思ってたよりクソめんどい背景持ちみたいッスねぇ。 ロック達とエンカウント出来るだけの悪運はあったみたいです…
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