表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界カクゲーSPIRIT'sサイキョー伝説[↓↘→+s] ~知ってる?異世界って格ゲー無いんだぜ(絶望)……ハッ!無いなら作ればいいんじゃね(閃き)~  作者: 宮間
Round 9:港町ステージ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/236

220:ケモ男子ツノ女子

俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)




さて、ただいま<金鉱島(ゴルドアイル)>観光の3日目。

ヒマを持て余した妹弟子・アゼリアが、なんか地元の女子?(全身隠すようにフード付きコートを被ってる)とトラブル起こしているみたいなんだが……。



「―― だぁ・かぁ・らぁ! その子、わたしの友達ぃ!

 勝手に食べないでぇ~~!」


「……何を言ってますの、貴方。

 コレ、魔物ですわよ?

 人間でもムシャムシャ食べる、危ないヤツですわよ?」



変な事言うな、という口ぶりの銀髪美少女な超天才魔剣士さん。


珍しく美爪料(ネイル)なんかのオシャレして(ゆび)さす先には、大人でもパックンチョと一口で呑み込みそうな、巨大な猛禽類(もうきんるい)

気絶してロープぐるぐる巻きの現状でも、どこからどう見ても魔物。


なので、言ってる事自体は『魔物から人を守る魔剣士』として、至極真っ当なのだが ――

 ―― 当のアゼリア本人なんか、飼い(・・)慣ら(・・)した(・・)魔物に(・・・)騎乗(・・)しているワケで……。



(『お前がソレを言うのか?』という説得力ゼロな状況!

 まさに、『自爆的な発言(ブーメラン)』! ――)



―― プラス実戦空手道イコール風●拳! うおおおおおおおおお!!

(注意:1年ぶりのログイン、おかえりなさい! カムバック・キャンペーン実施中!! 7日ログイン継続で、SSRアイテムがGET!?)



「―― ひぃ! うわ、なに!? 今の、山の魔物の声ぇ!?」



兄弟子(にいちゃん)が、雄叫(おたけ)びを山に反響(こだま)させていると、なんか珍しく驚かれた。

地元民の女子(?)よ、気にすんな。

ただの狂気ゲージ(キチゲ)発散だ。


異世界転生したせいで格闘ゲームできないイライラを、定期的に吐き出しているだけだ。



ほら、慣れてる妹弟子と愛玩魔物・ブチなんて、振り返りもしない。

いつもの事すぎて目もくれない。



「そんな魔物が人と友達だなんて、ねえ? ウフフッ」


『メェ? フンスッ、メェ……、メェ、フゥ……』



アゼリアが手癖(てぐせ)で、ブチの首回りをナデナデしてやると、気持ちよさそうに目を細める。

自分では上手くかけない、首元や耳元みたいな外骨格の付け根あたりを、人間の手でかいてもらうのが嬉しいらしい。



「じ、自分は<羊頭狗(ガク)>とか乗ってるくせにぃ~~!!」


「あら、何言ってますの?

 ブチは人間(ヒト)とか襲いませんし、大人しい子ですし。

 実際には、大きなヤギさんみたいなモノですわよ?」



話題のブチは、運搬の使役(シゴト)が中止になって、さらに飼い主にナデナデされて、完全に休憩モード。

ゴロゴロ岩だらけの山道で『伏せ』をして、あくびまでし始める。



「だったら! うちのルゥキだって人間(ヒト)とか襲わないし!

 寝ている間だって、わたしと弟を守ってくれるし!」



フード少女のキンキン声の叫び。


ブチは、うるさいな~、という半開きの目で見ながら、またあくび。

放っておいたら昼寝を始めそうな様子だ。


多分、妹弟子といっしょに運動(狩り?)をしてお腹すいたけど、昼ご飯がまだのようなので、居眠りで時間を潰そうという感じなんだろう。



(何この、ニート引きこもりばりの、スローライフ生物……?

 お前、食っちゃ寝ばかりのペット生活で、完全に野性味なくなってきたな、最近)



元々、ブチは気性が大人しいようだ。

ヤギのユキ(こっちは本物のヤギ!)と一緒に家畜小屋に入れていても、危害を加えない。

それどころか、寝ている時にユキに頭突きされても、ヨイショヨイショと背中に登られても、子ヤギの(ひづめ)で蹴られても、大して気にしていないみたい。


そもそも、子猫に悪戯される大型犬くらいの体格差なんで、痛くもかゆくもないんだろうが。



「あらまあ、魔物に守ってもらってますの?

 随分と情けない方ですわね。

 そもそも守ってもらうだけの関係を『友達』なんていいますの?」


「きぃいい! 自分はぁ! <羊頭狗(ガク)>なんて! 凶悪な魔物に! 守ってもらってるくせにぃいい!!」



多分、気にしていた事をズバッと言い当てられたんだろう。

フードを深くかぶり顔半分を隠した地元女子(?)が、地団駄(じだんだ)()んで(さけ)びまくる。


すると、アゼリアはブチの上からヒラリと飛び降りた。

そして、眠そうな白黒毛魔物の太い首に抱きつく。



「何を言ってますの、貴方?

 むしろリアが、この子を守ってあげてますのよ?

 エサもお散歩も、毛繕いだってして上げてましてよ。

 ええ、飼う時にした、お兄様との約束ですもの!」



約束守ってます、エッヘン!と胸を張る妹弟子。





▲ ▽ ▲ ▽



―― つまり、最初にブチという野良(ノラ)魔物の存在(・・)に気付いたのは、アゼリアだった。


1年半前くらいの『山岳ガイド』の仕事の後に、何かチョロチョロついてきていた白いチビ魔物(人間の成人男性くらいの体格)を、いつの間にか家(山小屋!)の近くで餌付(えづ)けしていたワケだ。



(兄ちゃん、あれだけ『追っ払いなさい』と言ったのに……っ)



野良(ノラ)ネコにエサやるノリで、魔物の幼体(チビ)を飼い慣らすなや!


オメー、ジ■リ姫(ナ■シカ)気取(きど)りか、このポンコツ妹め!?



(おかげで、このボケ魔物に『人間を襲ったらどうなるか!?』を骨の髄まで叩き込む、超ハードな肉体言語(シツケ)をするハメになったワケで……

 月1回くらい家(山小屋!)の近くまでくる配達業者さんとか、ウッカリ襲ったら大問題だからね!)



そんなワケで、飼い始めの頃 ―― つまり、まだブチが幼体(チビ)だった時分(じぶん)(といっても成人男性並みの体格!) ―― に素手で取っ組み合いして何度も(ツチ)をつけ、群れの『序列』という物を叩き込んだのは、この兄弟子(オレ)である。



奥ゆかしい日本男児として『キンタローさん(ストロング)方式(スタイル)、アイエー!


クマとスモーを取るくらいヤマト魂には造作もないことでゴッツァン=デス。

古事記にもそう書いてあるのでドスコイ!


つまり、ハッケヨイノコター・フロムアニメイシヨン!!

(不明なリキシ=ソウルが接続されました、しめやかに爆裂四散してください、サヨナラ!)



「―― 誰だよ!? シャルロッテ団長の事を本田(ホンダ)って最初に呼んだヤツゥ!!」



これも、ただの狂気ゲージ(キチゲ)発散だ。

意味のない叫びなので、内容には気にすんな。



―― さらには、使役動物(カチク)の仕事として、『サメ狩り後の素材運搬』も覚えさせた。


陸鮫(サメ)魔物の素材の残り(解体の(ざん)さ)をエサとしてたらふく(・・・・)食わせていたら、体格が当初の倍くらいになってきた。

その頃には、<(こま)>の代用(あ、アレね、魔法で動く機巧(カラクリ)みたいなヤツね。荷物引っ張る役)の使役動物(カチク)としては、そこそこ使える様になった。


そうすると今度は、別に困った事が発生。

肉付き良くなったので美味そうに見えるのか、他の魔物に積極的に襲われる様になった、貧弱・労働馬代わりの愛玩魔物(ペット)さん。


仕方ないので、当流派(ウチ)で唯一『魔法得意(ぜい)』な兄弟子(にいちゃん)が、『カンタン!脳筋魔物(サル)でも出来る3重魔法(トリプル・キャスト)』とか作って覚えさせたワケである。


あ、あくまでコレ、自衛(・・)手段ね?



(まあ、『魔物(バカ)強魔法(ハモノ)』という、案の定な結果になったけど ――)



今までガジガジされて涙目で逃げてた相手を ―― 主にサメ魔物やトカゲ魔物を ―― 見かける度に、氷散弾の3重魔法(トリプル・キャスト)をブッパして即ミンチ!

キャッキャッ! キャッキャッ! ワタシTUEEEE!


そんな感じに調子に乗って、逆に弱い者(・・・)イジメ(・・・)するようになりやがったワケだが……



魔物とか、根本的に野蛮生物だから、仕方ないね!(開き直り)





▲ ▽ ▲ ▽



そんな回想というか、現実逃避というか。

しばらく青空を見ながら、思い出に浸っていたら、まだケンカしている女子2人。



「いいから離して! 返してぇ~~!」


「わたくしのですわ! エモノの横取り許しませんわよ!」



うわぁ……、仲裁するのメンド(くせ)ぇ~。



「だから友達って言ってるでしょ! なんで食べようとするの!」


「リア、小さい頃から『オレのナワバリ!』とか『ワケマエよこせ!』とか言ってくる子、容赦してませんのよぉ!

 みんなボコボコですわ、お~ほっほっほ!」



あかん……。

当流派(ウチ)のお嬢様のトラウマ(幼少期お腹ペコペコで他の孤児と残飯の奪い合い)が刺激されて、無闇にムキになっとる。


これは最悪、手が出るパターン!?

やべえ! 超人戦士である魔剣士の中でも格別エリートな超天才児のリアちゃんなんだ。

本気で暴れたら、『未強化(なまみ)』の素手でも血の海になっちゃう!



「よし、リアちゃん! ちょっと落ち着こうか?」


「何ですのお兄様ぁっ」



フンス!フンス!鼻息荒い子を、ガッチリ羽交(はが)()め。


その間に、地元民らしきフードの少女はぐるぐる巻きのロープをほどき、巨大な猛禽類(もうきんるい)を解放する。


そして、何か不思議な行動をする。

鳥型魔物の人間の倍はある頭部に、自分の額を押しつける。


なんか知らんが、俺の右手の手首に巻いていた鉄弦がちょっと震えた。



「うぅ~、ルゥキ、大丈夫ぅ?」


『―― ホ……、ホ?』



気絶していた鳥型魔物は、ピョンと飛び起き、自分の両方の羽根をチェック。

なんか、マントを広げているような、妙に人間くさい動作だ。


さらにお腹にすがりついた少女を、ひな鳥を(かば)う様に片翼で包む。

人間の親が、子どもを片手でヨシヨシしているみたいな感じだ。



「……なんか、本当にこの子のペットっぽいな」


「ブゥ~……! リアが仕留めた獲物でしたのにぃ~……っ

 鳥の串焼きぃ~~、今晩のブチのご飯~~!」


『……ゥ? メ、メ?』



居眠り一歩手前だった白黒毛魔物が、なんか呼んだ?という顔で、アゼリアの手に鼻先をすりつける。



「―― シゥイ、ルゥキ! ここか!?」



ガサガサ!と木の(こずえ)から飛び出してくる、新手の人影。

地元民の少女より、さらに頭半分くらい背が低いが(多分140cmくらい、小中学生か?)、声の感じは男子っぽい。


()』(仮?)もまた、先に来た『彼女(・・)』(仮?)と同じく、全身も顔も隠す様なフード付きコートを身につけている。



「お兄様、この子達……」


「うん、何か『変』だな……」



そう、この新手の少年も、さっきから居る少女の方も、『木の(こずえ)』から飛び出してきた ――

 ―― つまり、3~(・・)4mの(・・・)高さに(・・・)ある(・・)木の枝の上を飛び回って移動しているようなのだ。


背中に(・・・)魔法陣(・・・)()ついて(・・・)いない(・・・)のに。

つまり、超人能力の魔剣士ではないのに。

あきらかに『未強化』のハズなのに。



「―― な!? <羊頭狗(ガク)>を連れてる!

 コイツらも『アイツら』の仲間で、シゥイを(さら)つもり(・・・)か!?」



アゼリアに顎の下をサスサスしてもらって、目を細めている、ウチのボケ魔物。

それを見た男子(?)は、緊迫の表情で後退り。



「いやいや、違う違う」



何か変な勘違いで、鋭い目を向けられるので、俺は慌てて手を振って否定。


すると、余計な口出ししてくる子が隣に一人。



「失礼ですわね、別にリア、人攫い(・・・)ではないですわ!

 そっちの鳥さんが丸々してて美味しそうだったので、狩りしただけですもの!」


「……ルゥキを捕まえて、シゥイをどこかに連れて行くつもりだった?

 やっぱり、アイツらの仲間じゃないか!?」


「だから違うと言ってますよね!?

 悪い魔物やっつける! お兄様にホメられる! お肉もいっぱい! ブチ喜ぶ! そういう事ですのよ!!」



やめろ妹弟子。

ややこしい状況で、余計な事しゃべるな!

色々と勘違いされて、コミュ症な兄弟子(にいちゃん)の手に負えなくなるだろうが!!





▲ ▽ ▲ ▽



「ふざけるな、バカにしやがって!」



完全に勘違いしたらしい男子(?)は、バサァ!と長丈コートを脱ぎ捨てる。

しかも、目の前に広げて、煙幕代わり。



「大人ならともかく、こんな子ども2人くらい!」



こちらの視界をふさぎつつ、超人戦士・魔剣士に匹敵する超スピードで、一瞬で間合いを詰めてくる。



「フッ、甘いっ」



しかし、すまんな。


俺の方が何枚も上手なんだ。

『チリン!』と自力詠唱音を鳴らして、特殊効果の魔法【序の三段目:流し】を発動。


相手の、目隠し&突進からの低空ジャンプで強襲し、逆手のナイフで一撃! ――

 ―― その高速攻撃の運動エネルギーの方向性(ベクトル)を、『真上』へと強制変更。


ポン!と胴体を片手ですくうようにタッチしただけで、天高く跳ね上がる。



「ファ、ファブック!?」



フード付きコートの地元女子(?)が、悲鳴をあげた。

それを聞いてようやく自分の状況を理解したらしい、男子も悲鳴をあげる。



「うわぁぁああ~~~!」



という声が、ドップラー効果で遠ざかり、



「ぁぁあああ~~~~~!?」



と、また近づいてくる。

つまり、10mくらい高く跳ね上げた相手が、落下してきた。



「ほい!」



さすがにそのまま落下したら、地元男子(?)は致命傷。

なので、『鋼糸(イト)使い』技能(スキル)でキャッチ。

鉄弦(ワイヤー)でクモの巣みたいな形状の網目(ネット)を用意して、無傷で捕縛。



「くそぉ! 離せよ! なんだよコイツ! むちゃくちゃだろ!!」



地元男子(?)さんは、ネット(わな)にかかったイノシシみたいに、ジタバタジタバタ。

むち打ち症状もなさそう、無傷で元気いっぱい。



「―― ん? なんでコイツ、犬耳なんて生えてんだ? アクセサリーか何か?」


「うわ! やめろ! さわるな! 気持ち悪い!!」



紫髪からコンニチワした獣耳を無造作につまむと、ビクンと動いて、指から逃げれる。

耳を伏せて、ピクピクしている辺り、どうやら飾り物ではなさそうだ。



「………………」


「―― お兄様、この子! なんか角とか生えてますわ!」


「や、やめてぇ! さわらないでぇ!」



妹弟子の声と、地元女子(?)の悲鳴に振り返る。


アゼリアが、長丈コートの子を何故か踏みつけて、頭部の左右に生えた角を両手で引っ張ってる。

ヒツジみたいな、立派な曲角(まがりづの)だ。



「こらこら……。

 痛がっているみたいだから、止めてあげなさい」



俺も驚きはしたが、それ以上に妹弟子の無体っぷりの方が目に付き、注意する。



「リア、角が生えた女の子、初めて見ましたわ!

 ビックリですわ!」


「そだね。

 兄ちゃんも、イヌミミ付いた男の子、初めて見たよ」



いつものように『ワーイ!』の両手挙げポーズで駆け寄るアゼリアを、頭ポンポンして落ち着かせる。





▲ ▽ ▲ ▽



その間に、角の生えた地元女子(?)さんが、犬耳の生えた地元男子(?)さんの元へと駆け寄る。



「ファ、ファブック! 今助けるからぁ」



なんとか鉄弦(ワイヤー)捕縛網(ネット)を外そうと、四苦八苦している。



「俺の事はもういいから!

 シゥイは、ルゥキと一緒に逃げて!」



女の子だけでも逃がそうとする、犬耳の生えた地元男子(?)さん。

悲壮な決意という顔をして、女の子の前で『男気』をアピール中。



「そんな! 貴男だけ置いていけないっ」

「行け、行ってくれ! 俺はシゥイ ―― いや、義姉(ねえ)さんさえ無事なら、どんな目にあってもっ」

「そんな! そんな、ファブックぅ~~」

「ルゥキ頼む!』

『ホ、ホゥ……?』

義姉(ねえ)さんを、シゥイだけでも連れて行ってくれ!」

「あぁ、いや! いやよ、ファブックぅ~~、ひとりはイヤァ」

「一人じゃない……」

「え?」

「離れていても、心はずっと一緒さ……」

「ファ、ブックぅ~~」



「………………」



なんか、熱愛恋人(バカップル)のラブラブ盛り上げに利用されている感じがして、ちょっとイラッ☆とした。


なので、音速(マッハ)鉄弦(ワイヤー)を操作。

鋼糸(イト)使い』技能(スキル)で作った捕縛網(ネット)を解除して、バカップルの片割れを放り出す。



「―― うわっ、(イテ)ぇ……!」


「ファブック、大丈夫ぅ!?」



頭打ったよアピール(笑)の男子に、そそくさ手当とか始める気遣い出来る系(呆)女子。


イチャイチャイチャイチャする、辺り構わずな(呆)バカップルども(失笑)。



(なんかね、もう人前で膝枕(ひざまくら)とか、さ。

 『いた~いケガした~』『大丈夫ぅ?』とか、いちいち仰々(ぎょうぎょう)しいんだよ、オメーら……っ)



『ホ……、ホゥ?』



ほら、ペットの鳥型魔物さんも、バカップルのイチャイチャに呆れてんだろうが、よぉ!



―― そんなワケで、もう関わりたくない気持ちでいっぱい。


思いっきり空気を吸い、肺いっぱいのそれを、一息で吐き出す。



「すまん!」



兄弟子(にいちゃん)、強制決着を開始する!



「どうやら当流派(ウチ)の(銀河お嬢様伝説な超天才魔剣士さんな)妹弟子が、キミ達のペットに無体な事をしたようだ!」



右手の握力全開で、銀髪頭を掌握(ホールド)

「痛い! 痛いですの、お兄様! 何ですの!?」とか文句言ってる子は、完全に無視。



「このとおり! 本人も反省している事だから、許して欲しい!!」



俺の右側で、ジタバタジタバタしながら、

「なんでリアが頭下げさせられますの! 納得いきませんわ! ブチコロ! ブチ(コロ)がしますわよぉ~~! ブチコロですのよぉ!!」

なんかやたら不満爆発させてる子がいるが、今は完全に無視。


あと、何か自分を呼ばれたと勘違いした、白黒毛の愛玩魔物(ペット)が『メ? メェ? メェ~?』とか、下向いたままジタバタしているアゼリアに鼻先をすりつけてる。



「は、はぁ……?」


「え、何? どういう事……?」



俺と妹弟子の、(こし)()り90度直角の、低頭謝罪が通じたのだろう。



「え、義姉(ねえ)さ ―― じゃなかった、シゥイ。

 これ、結局どういう事?」


「ねえファブック……?

 なんで今、言い直したのぉ?

 というか、最近なんで『義姉(ねえ)さん』って呼ばなくなったのぉ~?」


「いや、それは……その……

 ―― っていうか、今はそういう場合じゃ……」


「ねえ、なんで?

 ねえ、な・ん・でぇ~~?」



地元男子と地元女子の2人からは、和解の雰囲気。(一方的に断定)



(―― というかクソ!

 この(イロ)ガキどもめ! 人前で(サカ)ってんじゃねーよ!!)



はい、和解しました!

和解したって言ったら、和解したの!

無事にトラブル解決!



「―― そんじゃあ! きちんと謝罪はしたんで!

 俺たちはこれで!」



もう関わりたくないので、全力ダッシュで立ち去る。



「お兄様! わたくし、何も納得してなくってよぉ、お兄様ぁ~~~!!」



ワイヤーぐるぐる巻きで、俺に(かつ)がれた妹弟子の不服の声が、ドップラー効果で山に響き渡る。



「クソがぁ~~! バカップルは死ねぇ~~~!

 あと真の仲間のフェリちゃんを、ダルシムって呼んでるヤツも死ねぇ~~~~!!」



俺の声も、ドップラー効果で響き渡る。


あ、これも、狂気ゲージ(キチゲ)発散だ。

異世界で格ゲーできないイライラを叫んでるだけ、内容は気にすんな。



『メ! メェ!!』



お散歩のつもりらしいブチだけは、最後まで楽しそうだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 ……まぁ色々有りましたが、一言で纏めるとアレですな。ロック、また面倒事に巻き込まれる!ww なんかバカップルの片割れが「拐いに来た」とかどうのこうの言ってた→歩けば悪人に当たるロ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ