163:種族争い
俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)
他の魔物の退治は、生徒さん3人とA級冒険者たちに40~50人に任せた。
俺たち、残り7人を乗せた荷車だけは、ひたすら進む。
── 徐々に近づいてくる、<瘴竜圏>とかいう腐肉の山。
そして、その周辺には、さっき道中で見た木造見張り塔と、同じくらい高い菌糸塊が10本くらい立っている。
念のため、荷車の屋根上で見張りしているシカ角兜に、『目標の魔物』を再確認。
「『門番』とかいう攻略の邪魔になっている魔物。
たしか、『農耕種』とかいう種類だったよな?」
「ああ、極めて大きな虫型魔物だな。
他の虫型魔物の親玉でもある」
「親玉?」
── 不意に、ガウガウッと魔物の声。
見れば、小柄な<跳岳大狗>が木々の合間を跳びはねている。
『負け犬』にしては肉付きがいいので、おそらく幼獣なんだろう。
口うるさい成獣たちが居なくなったせいで、悪戯心がムクムク起き上がったのか。
人間達には見向きもせずに、見張り塔なみの巨大キノコへとハッハッ!と猛ダッシュ。
『ゴォ-ン!』と大鐘のような魔物の魔法起動音。
タケノコ型の土砂魔法の槍を5本くらい生やすと、それを足場代わりに大ジャンプ。
── すると、ブヴヴヴヴゥゥ……!と虫型魔物が20~30匹で、迎え撃つ。
高層キノコから飛び出し、透けた羽根を震わせ、空中で密集隊形を取る。
さらに『キィィィィイイイイ……ッ、……──』と早くも自爆攻撃の構え。
自分たちよりはるかに巨体の襲撃者に対して、最大級の攻撃である『集団自爆戦法』を躊躇なく選択したワケだ。
── だが、一蹴だった。
体格差を前世ニッポン風に例えるなら、『2階建てバスが小型2輪集団に追突』という感じ。
ドガン!と一発で壊滅打撃。
虫型魔物の群れは、7割が『轢かれ』て弾け飛ばされ、自爆を中断。
2割は、敵を見失ったまま無意味に空中自爆。
残り1割強 ── 3~4匹が顔の周囲を飛び回り攻撃しているが、2度3度ガウ!ガウ!と噛みつきをすると、半身潰れて体液をまき散らしながら呑み込まれる。
「うわぁ……」
「フム、幼獣とはいえ、やはり大型魔物だな」
まさに弱肉強食。
自然の摂理。
(そりゃあそうだよな。
『小型魔物』の虫型とか、体重10~20kgがせいぜい。
『大型魔物』なんて、数tは軽くあるからな。
その体重差だけ考えても、100匹200匹集まっても、相手になるかどうか……)
なんか『ガンバっても童話魚群にはなれませんでしたッ!』みたいな虚しさMAXな光景に、ちょっとため息。
虫型魔物を無双で蹴散らし、ルンルン♪な<跳岳大狗>。
体高3~4mの巨体で、高さ20m超の巨塔キノコを壊しにかかる。
見た目は、飼い犬がご主人によくやる『構ってぇ~』という二足立ちの、前脚ベシベシ攻撃だ。
「さすがに全長10mくらいの巨体だと、迫力と威力が桁違いだな……」
思わず感心の声が出ちゃう。
体高3~4mでも、二足立ちになると、2.5倍くらいの高さに前脚が届く。
前世ニッポンでいえば、大型重機での工事作業みたいな光景。
やがて、巨大キノコは半分折れて、上部のカサが落下。
ズドォォ……ン!と砂煙を巻き上げる。
菌糸の構造物は、大型魔物の爪と牙の威力で、まるで軟樹皮の塊みたいにボロボロ崩壊していく。
飼い犬が、木の棒かじるみたいに。
あるいは、飼い猫が、柱で爪とぎするみたいに。
夢中になって、巨塔キノコをバリバリ崩していた、幼獣の<跳岳大狗>に ──
── ヒュゥゥン……ドガァァンッ!!と、ミサイル直撃みたいな超・轟音。
『ギャィィンッ!?』と一撃必殺!
「── ……はぁっ!?」
── ででっでっでっでっ・でぇ~ん!
── ちょうせんしゃ あらわるっ!?
体高3~4mの大型魔物の胴体に、ズドン!と大穴が空く。
さらに、千切れた上半身(?)と下半身(?)が別々に飛んでいく。
その向こうで、ボキボキボキィ~~!と森の樹木を薙ぎ倒して砂煙を上げている、謎の巨影があった。
▲ ▽ ▲ ▽
「── ……い、今のは?」
「勇士様にご成敗いただく難敵ぃ、『瘴竜圏の門番』ですわぁ~」
お胸ステキ系のホンワカ美人さんが、キラキラ目で言ってくる。
だが、俺から出るのは、冷や汗だけ。
呆然と見ていると、ミサイルみたいな強襲かました巨影が、ブォオオ……ンッ!と戦闘ヘリみたいな爆音を立てて飛んでくる。
さっき、俺が自爆を誘導して退治した虫型魔物とは、10倍くらい体格が違う。
中型魔物なみの虫型魔物。
前世ニッポンで例えるなら、路線バスくらいのデカさ。
── 黄金色のつややかボディに赤いラインが走る、3本角のカブトムシ。
さらに、胴体の側面には、水晶柱みたいな突起が生えている。
(つまり、コイツも『爆弾魔』の虫型魔物なのかよ……っ)
そんな黄金色の巨大甲虫が3本角を動かせば、<跳岳大狗>の半分になった死骸が、ポーンッと跳ねた。
そして、ゴロゴロ転がっていく。
紫色の腐肉の山へと。
「………………」
なんか前世ニッポンで読んだ、
『もしも昆虫が人間なみの大きさだったら、地上最強の生物なんじゃゾイ!』
とかいう、昆虫図鑑の豆知識コーナーを思い出す。
それが『大型トラックか路線バスか』って巨体なんだから ── お察しください。
絶句している俺に、シカ角兜が説明してくる。
「ああやって、近づいてくる中型・大型魔物を粉砕し、その死骸を<瘴竜圏>へ集めている。
腐肉の山が尽きないように、補給している様だな」
「何のために?」
「おそらく、菌糸が栄養素を吸い上げて、あの巨大キノコを生育させるため。
それから滴る甘露が、虫型魔物たちの食糧となっている様だな」
「昼飯の時に言ってた『本来は半年で朽ちるハズが、長期間保っている理由』ってのは?」
「あの虫型魔物の『補給作業』が、原因のようだな」
長身細身の中年男が、重い声で応えた。
そこに、隣で聞いていたホンワカ美人が口を挟んでくる。
「ところで、勇士様ぁ~。
お師匠様 ── いえ、『#3』が焦っているのにはぁ、別の要因もあるのですよぉ~」
「焦ってる?」
「ええ、つい先週ぅ、見張り台の方々が『メス』の飛来を確認しましたぁ~。
つまりは、このまま放っておくと、産卵して繁殖しますぅ~」
「ゲェッ!?」
あんなミサイル攻撃みたいな魔物がワンサカ増えるとか、さすがは異世界。
マジ地獄すぎんだろ!
「── フゥ……、メスの産卵に、幼虫の育成。
現状の成虫のオス1匹の時とは、比べ物にならない食糧が必要になるだろうな」
「被害地域がどこまで拡大するかぁ、冒険者ギルドの専門家もぉ、見当もつかないみたいですよぉ~」
魔法使いの師弟らしい、シカ角兜とホンワカ美人さんが、交互に説明してくる。
「幸い、当初は『爆弾魔』の獣型魔物が、<瘴竜圏>を縄張りとして、陣取っていた。
そのせいで、『門番』の営巣と『農耕』が上手くいってなかった様だ」
「竜種の死肉というぅ、極上の食糧を独占したい肉食の獣型魔物ぉ~。
そして、竜種の腐肉を肥料としてぇ、作物を育てたい草食性の虫型魔物ぉ~。
つまりぃ~、魔物同士でぇ、『土地と資源』の奪い合いを演じていた訳ですねぇ~」
「『門番』が単独の時は、な。
その配下 ── ああ、さっきの見張り番をしている小型の虫型魔物だが ── それが加わった事が趨勢を決した。
今では『虫型魔物が種族を越えて協力し合い、エサ場を独占』という状況だな」
「たしかに<跳岳大狗>はぁ、大型魔物の中でも下位で、脅威力3ですぅ~。
しかしぃ、中型魔物なのに体格差のある大型魔物の群れを駆逐するようなぁ、とっても危険な魔物が住み着いてしまっているぅ~。
そういう危険性をぉ、何度も説明しているんですけどぉ~」
「騎士の連中は『たかだか、虫型魔物なんて ──』と甘く見て、まるで話を聞かない様だからな。
下手を打つと、<副都>周辺が全て『門番』の『キノコ農場』に変えられてしまう危機的状況というのに……っ」
魔法使い2人の説明を聞けば聞くほど、頭痛がしてくる。
「う、うぉ……っ」
(そりゃあ、昼飯の時、みんな<副都>上層部の文句ばっかり言うはずだ……)
そう納得できる、ヤベー状況になっているっぽかった。
▲ ▽ ▲ ▽
それから戦闘開始まで、約30分。
クールタイムだ。
人間が、ひと息入れて落ち着くワケじゃない。
甲虫魔物が、ひと息入れて落ち着くまでの時間。
── つまりは、戦闘直後の興奮状態を避け、時間をおいての不意打ちだ。
ズダダダァ……ァァン!と、設置罠の炸裂音が連続する。
次に、ベキベキベキィ~……!と、爆破魔法に破壊され、砕けて傾く音。
ドオオォォ~~……ォォン!!と、菌糸巨塔の細い1本が倒れて粉砕。
鳥の鳴き声も、獣の呻りも、全て塗りつぶす大爆音。
巨大キノコに張り付き、甘露をすっていた中型の虫型魔物も、慌てて飛び出した。
「来た! 充分に引きつけてからだっ」
ボヴヴヴゥ……!と、前世世界の軍用ヘリみたいなホバリング音。
赤いラインの入った黄金色ボディの飛行魔物が、威嚇するような蛇行飛行(?)で、周囲を見回る。
── きっと、黄金色の三本角カブトムシは、大事な農作物を破壊され、怒り心頭だったのだろう。
注意散漫だ。
ビンッ、ビビビンッと、空中で薄ハネを何かに引っ掛け、飛行を鈍らせる。
まるで空中で、『クモの巣』にからまりかけた、みたいな感じ。
俺が『鋼糸使い』技能でしかけた、鉄弦。
飛行魔物の動きを鈍らせる『設置罠』であり、射撃距離を測るための『集中法撃開始』の目印だ。
「今だ、一斉法撃ぃ~!!」
シカ角兜の掛け声で、横付けした大型荷車の屋根上の連中が、<中導杖>や<長導杖>を両手持ちで構えた。
AA級冒険者『人食いの怪物』が、一斉に杖型<魔導具>を起動。
『カン!』『カン!』『カン!』『カン!』……
ズオォンッ! ズオォンッ! ズオォンッ! ズオォンッ!……
黄金色カブトムシの巨体に向けて、赤いミサイルみたいな攻撃魔法が集中する。
「火炎魔法……じゃなくて、複合属性?
火と土の上級魔法かな……?」
今世ではちょっと魔法術式マニアになりつつある俺は、術式の構文を読み解いてみる。
「ちょっとぉっ、【赤熔擲槍】がまるで効いてないわよっ」
「中型サイズの虫型魔物がここまで頑強とはっ!」
「上級攻撃魔法がまるで効かないなんてぇ、<終末の竜騎兵>みたいですわねぇ~!」
「チッキショ~~! A級の戦団が2組まとめてミンチって、こういう事かよぉ~~っ」
魔法の集中砲火をしているPT『人食いの怪物』の皆さん、涙目。
「そろそろだ! 頼むぞ、少年!」
「あいあいっ」
── ちょっと離れた大型荷車の屋根上から、そんな声が飛んできたので、片手を挙げて『了解』の合図。
すると、すぐさま黄金色の巨大カブトムシが、『ゴォーン!』と魔物特有の魔法起動音。
ヒィィィィ……ン!と、ジェットエンジンみたいな爆音が、昼の青空に響き始めた。
魔力センサー【序の四段目:風鈴眼】で、始動の瞬間を見極める ──
── 急加速突撃の瞬間を!
「── 今っ!」
瞬間的に、手の中の巻き軸に仕掛けた改造魔法を、自力詠唱。
鋼糸を高速で巻き取れば、『カツオの一本釣り』みたいに人間2人が飛んできたので、腰を抱くようにキャッチ。
それとほぼ同時に、ヒュゥゥン……ドガァァンッ!!と、大型荷車が木っ端微塵。
「勇士様ぁ、わたくし怖かったですぅ~っ」
「アンタ、本当にギリギリまで粘りすぎだよっ!
オイラの鎧、ちょっとかすりかけたぞ!」
なんか、やたらくっついてくる女性と、やたら噛みついてくる少年。
「うるせぇな……っ!
仕事前にジャマすんなっ」
俺は、後方支援の2人を放り出して、すぐに移動を開始。
既に張り巡らせていた鋼糸に金具をかけて、シャァー……ッと空中移動だ。
ジップライン?っていうの、こういう鋼糸を使った移動方法。
今回みたいに移動先があからじめ決まっているなら、最適手段だ。
戦闘直前に、【身体強化】の疾走で200~300mも移動してたら、ムダに魔力と体力を使うだけ。
この鋼糸移動なら、落ちないようにバランスを気をつけるだけなので、接近する敵の様子をじっくり観察する余裕すらある。
(── マジで『鋼糸使い』が万能支援役な件について!)
反対側を見れば、同じく鋼糸に金具をかけて、終着点に直行する超重装甲の怪人。
その向こうに、AA級冒険者PT『人食いの怪物』の残り3人の無事な姿。
魔剣士でもないのに怪力超人な理不尽ヤローは、こっちと同じように鋼糸を命綱にしたPT仲間を、綱引きの要領で回収できたらしい。
(アイツ、やっぱり人間じゃねーな……っ)
── 今のところ、ほぼ作戦通りの展開。
後方支援5人の命がけの誘導で、『門番』が罠にかかった。
後は、俺と『骸骨被り』。
前衛2人組の仕事である。
「コォー……、フォー……!」
「おう、やるかっ」
グッと親指立ててくる即席の相棒に、親指立ての左拳を向けた。
▲ ▽ ▲ ▽
『── チィッ、早くも動き始めたかっ』
うなる風の合間に、そんな焦った声が聞こえた。
『同輩と少年の到着まで、時間をかせぐ!』
チラリと後方を確認。
【身体強化】の魔法陣を背負い、木々の合間を跳びはねる、シカみたいな細長い体格が見えた。
長身細身のシカ角兜は、大破した大型貨物の残骸に駆け寄り、<長導杖>を突き立てる。
もう片手には、いくつもの魔法術式の木製リング ── <刻印廻環>だ。
熟練の職人みたいな、とんでもない早業で<刻印廻環>を交換し、すぐに魔法を起動。
『カン!』という魔法の機巧起動音。
バリバリバリィ……!と、稲妻が地面を走った。
樹木を薙ぎ倒して森の奥に埋まり込んだ体勢の、巨大カブトムシへと。
200~300mとか、本来は魔法攻撃が届かない距離だ。
だが、鋼糸に通電する事で、遠くの敵にも中級魔法の電撃が炸裂する!
『お師匠さまぁ、お手伝いしますぅ~』
『よし、では交互に! 3・2・1、今!』
バリバリバリィ……! バリバリバリィ……!と、連続して雷撃が地面の鋼糸を伝う。
そう、AA級冒険者PT『人食いの怪物』が乗っていた大型貨物の積み荷は、鋼糸捕縛罠。
あの甲虫魔物が、上級魔法でもへっちゃらな頑強な装甲にモノ言わして、大型貨物を突進・破壊するならば、その荷台の中に『廃材と鋼糸を詰め込んでおいて絡みつかよう』って作戦。
それが見事成功して、超高速突進した巨大カブトムシは、今やガンジ搦め。
200~300m先で、倒木の山に半分埋まった体勢のまま、巻き付いた鋼糸にのせいで羽根も脚もロクに動かせず、無意味にジタバタしているだけ。
『ギギ……ッ、ギギ、ギィ……ッ』
それは、ムシの苦痛の声だったのか。
あるいは、苦し紛れに動く事で、捕縛している鋼糸が軋む音だったのか。
どちらにせよ、高圧電流攻撃に苦しんでいるのは間違いない。
「コォー……、フォー……!」
重量差が速度に影響したのか、『骸骨被り』が数秒早く到着。
すぐさま背中の超大剣(推定重量15~16kg! 普通の剣の8倍!?)を肩に担ぎ、高速ダッシュで切迫。
その渾身の撃剣は、ブワァンッ!と空気が破裂するような音すら響かせる。
巨大カブトムシの無防備な背後を目がけ、振り下ろされる超大剣が ──
── 逆に、ズドォン!とはね飛ばされた!?
ヒュ~ン、ゴロゴロゴロォ……ッと、超重量装甲を着込んだ怪人が、まるで前世ニッポンの『クルマの衝突実験のダミー人形』みたいな吹っ飛び方をする。
体重120kg以上 + 装備重量100kg以上 ──
── 合計で0.2t超 とか、前世ニッポンのスモーの横綱くらい超重量級な怪人が!?
「お、おい……おいおい……おいおいおいっ」
遠目で一瞬見えたのは、青白い炎の放出。
おそらく、黄金色の巨大カブトムシが突進用に使っている、あのジェット噴射。
それを、背後から強襲する人間相手に、迎撃に使ったのだろう。
(そんなモンを食らったら、人間とか跡形もねーだろっ!?
俺が先に突撃しなくてよかったぁ~~~!
── つーか、アイツ、直撃くらってたけど大丈夫か……?)
冷や汗ダラダラで、大の字にノビてる即席の相棒に駆け寄る。
「お、おい……
その、い、生きてるか? 『骸骨被り』……」
途方に暮れる気分で、一応、声をかける。
「コォー……、フォー……!」
いつもの呼吸音で、何事もなかったように飛び起きてくる!?
「おい、ピンピンしてんのかよ!?
さっきのアレくらって!
お前、ムチャクチャだなぁ!!」
「コォー……、フォ~~……ッ」
首をコキコキ。
肩をグルグル。
イヤー……、ちょっと肩と首とか痛めたかな~? イテテ……ッ
みたいな身振りしてくる、無敵怪人。
「………………なんか。
お前を盾にできるなら、俺どんな魔物相手でも平気な気がしてきた……」
── 妹弟子へ。
士官学校の女子寮で、ちゃんと風邪の静養してますか?
お熱が出てるからって、お布団蹴散らしてお腹冷やしてないですか?
いま兄弟子な、気晴らしくらいの軽い気持ちで、<副都>まで魔物退治に来てるんだが。
思った以上にトンデモない場所で、なんかトンデモない魔物の相手を押しつけられ、トンデモないヤツと2人組くまされてるんだ……。
なんかもう、はやく平和で退屈な<帝都>に帰りたい気分です。
たすけて ──




