152:五行剣
俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)
今日も、いつもの平日勤務。
昼休みの間に、魔導三院の書庫へ。
いつものように、お偉いさんの娘さんらしい司書さんに書籍(魔導術式の研究資料)の貸し借り手続きをお願いして、スミス研究室に戻ろうとすると ──
「あまり調子にのるなよ、チビ!」
書庫の外で、三白眼の少年が待ち構えていた。
仁王立ちの上、ビシッと指を突きつけられる。
「はぁ……?」
なんとなく、礼儀知らずな『指』をベッ!とハタき落とす。
「── あ゛あ゛あ゛っ!?
このチビィ~~、調子に乗りやがってぇ~~~っ」
三白眼少年は、指を押さえて半泣きで、何か言ってくる。
当たり所が悪くて、突き指したらしい。
まあ、厚表紙の魔導書でハタいたからな。
「ガビノったら……、もうやめようよ?」
隣のそばかす少年・マーティンも呆れ顔。
『いくら止めても聞かない』という感じらしい。
「うるさいっ
みんな騙されてるんだ!
こんな貧素なチビが、そんな有名流派のはずがない!
俺が嘘を見抜き、真実を暴いてやるっ」
突き指の痛みでジタバタしてる子が、探偵ゴッコみたいな事を言っとる。
呆れて失笑。
取りあえず、事情を知ってそうな隣の子に訊いてみる。
「……いったい、どういう事?」
「あ~……、うん、実はね。
先週、キミが『爆弾持ち』の魔物をやっつけたよね?」
「── あ……っ、ああぁ~!?
なるほど、『昼飯おごってくれる』って事かぁ!
あ~あ、今日はもうメシ食っちゃったよぉ~っ
食べに行くの、明日の昼でもいい?」
もう、なんだよぉ~、早く言えよぉ~。
タダ飯はいつでもウェルカム!
どこ奢ってもらおうかなぁ~、高級店がいいなぁ~♪
「いやいやいや、違う違うっ」
俺が『お肉♪ お肉♪ 明日はお肉♪』とルンルンな気分でいると、途端にストップが入る。
『命の恩人な俺に、御馳走でお礼』と思ったが、早合点だったらしい。
(── ぬか喜びかよ!
死ねばいいのに、この恩知らずクサレ男子学生どもめ……っ)
心の中で悪態ついて、ツバも吐いておく。
ペペッ!と(心の中の動作)。
「何というか、その。
あの後ちょっと色々あって、ガビノが『アレは絶対ズルしている!』とか言い出して……」
「はあ……?」
ズルって、何が?
「── あ、怒らないでね?
ガビノがさぁ、あの後に『絶対、スゴい流派の門弟なんかじゃない』とか、『アイツが魔剣士のハズがない』とか。
変な事を色々と言い出して……」
「あ~……、うん、そだね。
俺、別に『スゴい流派』でも『魔剣士』でもないし?」
はい、まさにご指摘の通りでございます。
ってか、それに何の問題が?
「うん、だよね…… ── って、はぁ!?
えぇ! キミって、魔剣士じゃないの!?」
「むしろ魔剣士なワケないだろう……
こんな魔力量が極少の魔剣士とか、居るワケねーよ。
俺とかが、うっかり特級の【身体強化】を使ったら、即行で卒倒じゃん?」
「え、本当に魔剣士じゃないの……?
え、ええ、えぇ~~?」
「………………」
(いや、見た目の通りだろ。
魔剣士の身分証明の腕輪型<魔導具>も付けてないんだし。
なんでそんなに驚くんだろう……?)
すると、金的くらったみたいにピョンピョン跳びはねてた子が、話に混じってくる。
「やっぱりそうか!
そうだと思ったんだ、魔剣士じゃなかったんだ、お前ぇ!」
「え~と、そしたら、あの有名流派の門弟とか、そういう話は?」
「有名流派? 俺が? 無い無いって!」
「じゃあ、あの時、<御三家>の人と何か話してたのは……?」
あぁ~、ね。
<御三家>の筆頭<天剣流>本家の人と、親しげに話してたから、身内みたいに思われたのか。
(ああ、納得ナットク。
それじゃあ、ちょっと誤解を解いておかないとなぁ……)
しかし、俺が何か言うより先に、三白眼が大声を上げる。
「ウソだ!
やっぱりウソついてたんだ!
ウソつきの最低チビ野郎だったんだ!」
何か『鬼の首でも獲った』かのような、ビス!ビス!と荒い鼻息。
俺は『落ち着け落ち着け』と両手で手振りしながら、軽く説明する。
「ウソも何も……。
当流派の『剣帝流』とか、落ちこぼれ弟子の俺を入れて、3人しか居ないマイナー流派だし……。
あ、2人とも魔導師の学生さんだから、聞いた事ないよな?
当流派の『剣帝流』ってのは、ちょっと昔『剣帝』って称号をもらった魔剣士のジイさんが創った流派で。
最近は、帝国東北部の<翡翠領>で魔物退治ばかりしている ──」
「── 知ってるよ、そのくらい誰でも!」
「── ウソつけぇぇぇぇ!! 聞きかじった事並べて、適当に言うなっ」
魔導師学生2人だから、せっかくやさしく説明してあげてたのに。
『そんな事ワザワザ訊いてない!』みたいなダメ出しされた。
── 解せぬ。
▲ ▽ ▲ ▽
『俺、剣帝流です!』
V.S.
『そんなワケがねえ!』
男子3人の、そんなどうでもいい話が、いつまでも片付かない。
── そもそも俺的には、赤の他人が信じようが信じまいが、どうでも良い。
どうせ俺って、(世間で言う所の)『妹弟子に後継者の座を取られた、落ちこぼれ一番弟子』だし。
流派一門の名誉や看板を、背負うような立場でもないし。
(まあ、今は『剣帝流』がマイナー流派だろうが、あんまり関係ねーし。
超天才児の美少女魔剣士さんが、将来的に『世界を救う』的な大活躍して、伝説的スーパー流派になってしまうのは、確定的に明らか!)
むしろ、『剣帝流』のマイナー流派っぷりを小馬鹿にしてくる、無知蒙昧な愚民の皆さんを、鼻で笑っちゃえるくらい。
兄弟子、サバンナのライオン面して、腕組んでるくらい。
── お前、伝説になった100年後でも同じこと言えんの?
そんな事を考えながら、うるさい男子生徒2人を適当にあしらう。
「はいはい、伝説の100年後をお楽しみに~。ではでは~」
「おい、待てって!
逃げるな、変な事言って誤魔化すな!」
しかし、三白眼の方が、いつまでも食いついてくる。
「うるせ~な、お前。
んじゃ、何か証拠でも見せればいいのか?」
「へへ! 言ったな、ウソつきチビが!
お前がもし、本当に『剣帝』の弟子なら、特殊な身体強化魔法『五行剣』の事だって知ってるはずだよな!」
「そりゃ、まあ……」
俺はちょっと、返事に困る。
「じゃあ、それを見せてもらおうか!」
「ええ~、それはちょっと……」
何といっても、当流派のジジイが編み出した秘術的魔法。
流派の秘伝、みたいな物。
赤の他人(しかも研究者の卵)に勝手に見せていいのか、判断がつかん。
そんな俺の困り顔を何と思ったのか、三白眼少年は勝ち誇った顔。
「ハハン!
今さら逃げようって、そうはいかないぜ!」
ガシッと手首をつかまれ、どこかに引っ張られていく。
(ってか、そろそろ昼休み終わるんだけど?
コイツらってたしか『学校の単位稼ぎのためお手伝いに来ている学生さん』のハズ。
なのに、所属の研究室に戻らず、こんな風に遊んでて大丈夫なのか……)
俺はそんな事を思いながら、コッソリため息ついた。
▲ ▽ ▲ ▽
魔導師学園の男子生徒2人に連れて行かれたのは、魔導三院の敷地の中央あたり。
広いグラウンドみたいな場所に、計測器みたいな<魔導具>があちこち置いてある。
「ハーディンさん、連れて来ましたよ!
このチビが、噂のアレです!」
「おおっ、待ってた待ってた!
キミが噂の『剣帝』の弟子 ── でも魔剣士とは思えないほど小柄ダナ~~っ
体格は十代前半の女子生徒くらいカナ~~?」
ヒョロッとしたメガネの青年研究員が、猫背でジロジロ観察してくる。
さらにその後ろの方で、メガネ連中が目をギラギラさせて変な声を上げた。
『── え、十代前半!?』『じょ、女子生徒だって!?』『うひゃひゃ、予想の10倍ロリ!』『マジ! まだ毛生えてない!?』『ゴツい魔剣士なんてノーセンキュー……そう思ってた時代が俺にもありました』『ツルペタだ、いやっほ~~!』
── オイ、マジやめろ!
(今の発言、どれもガチでアウトだろ!
お役所な研究機関のど真ん中で、犯罪っぽい事を口走るな!!)
フン!フン!鼻息の荒い、短身やら肥満やら痩身やら、やたらと不健康そうな男性研究員連中から目をそらす。
すると、猫背の主任っぽい人が、まだ周囲でジロジロ見ていたた。
「アレアレ?
キミって、性別オトコなんダナ~~。
あ、これが世間で流行の『男の娘』って属性カナ~~?」
「性別はオスで~す! 野郎で~す!
決して『乙女』ではありまっせ~~ん!」
青年研究員の、その後ろの目ギラギラ連中に聞こえるように、大声で告げる。
だが、聞こえてきたのはおぞましい絶叫!
(── ヤメロぉっ!
『うっ、ロリ男児たまらんっ』とか『むしろアリです!』とか親指立てて、前かがみになるのは!!)
ってか、異世界でも『男の娘』とか、女装男子愛が流行ってのかよ!?
(終わってんな、このクソ世界!
一刻も早く魔王か何かに蹂躙されて滅べ!)
そんな内心で毒吐いていると、さらにイラッとくる声がかけられる。
「おい、チビ!
撤回するなら、今の内だぜぇ? ヘッヘッヘ~」
「……何が?」
「お前が! 『剣帝』の弟子っていう! ウソを! だよっ」
「いや、だからウソじゃねーし……」
やたら絡んでくるな、この三白眼。
(お前、『神童コンビ』の細目の同類か?
『辺境の英雄』の信者が<帝都>にも居たのか?
アレか、前世ニッポンの『著名な素人歌手を10年追っかけてるコアな音楽ファン』みたいヤツなのか?)
言動は、ほぼほぼ『厄介信者』だが。
ホント、超・迷惑!
「白状するなら、今の内だからなぁ?
ここハーディン研究室みたいな、魔導三院のトップ研究員の研究を邪魔したとかなったら、お前もうこの魔導三院に居られないからなぁ!」
「……うん、面倒い」
ウザ絡みしてくんなよ。
しかも、魔導師のクソガキちゃんがよぉ。
相手見て、ケンカしてくれないかな。
チビながらパワフル脳筋の現世の俺とか、魔法を使わなくても黒帯格闘家レベルには強いワケで。
(ねえ、俺そろそろ三白眼叩きのめしていい……?)
今までも、この生意気少年の言動も『年頃だから』と大人として聞き流してきたが、いい加減キレそう。
── そんなイライラをため込んでいると、背後から声がかかる。
「やあ、キミが例の『爆弾持ち』魔物をひとりで倒したっていう?」
「こんな子どもが? 本当に?」
20歳そこそこの、男女の魔剣士。
見た感じ、まあまあな腕前。
多分、どっちも<四環許し>か<五環許し> ── いわゆる『エリート魔剣士』だ。
プライドが高そうなので、ちゃんと礼節に則った方がいいだろう。
「あ、はい。
── 『剣帝流』の落ちこぼれ一番弟子のロックです、どうも初めまして」
胸に利き手の握り拳を当てて、腰を折るお辞儀 ──
── 武門の立礼だ。
すると、魔剣士の男女2人は顔を見合わせ、同じく『武門の立礼』を返してくる。
「これは、失礼しましたっ
帝室親衛隊に所属しています、<狼剣流>ミリーです」
「同じく帝室親衛隊の所属。
帝国第9の流派、<パインヴァリィ流>カーターです」
リラックスした感じが一瞬で抜けて、ピリッとした空気になる。
魔剣士として気合いが入ったという感じ。
「へぇ~。
帝室の親衛隊って、確か相当なエリートだったな……」
って、ジジイがいつか言ったな、確か。
あと、何か、赤毛少年が、
「── たしか、ブルースって先輩がいるとか……?」
「おや、ブルースのお知り合いですか?」
俺の独り言に、親衛隊男子さんの方が反応した。
「いや『知り合いの知り合い』くらいの感じです。
<翡翠領>の<轟剣ユニチェリー流>と交流があったので」
「なるほど。確かにアイツ、<帝国八流派>の分派でしたね」
「そういえば<翡翠領>って、『魔物の大侵攻』があったとか……」
帝室親衛隊の男女2人と、そんな軽い世間話をしていると、さっきの研究員の人が口を挟んできた。
「あ、せっかくの機会なんダナ~~。
ミリー君とカーター君の、『五行剣』試作品も見てもらおうカナ~~?」
その猫背の研究員が主任なのか、言われるとおり親衛隊の男女2人が用意を始める。
(うん……?
『五行剣』、の『試作品』ってどういう事?)
何の話か解らず、ひとり首を傾げる俺。
周囲を見渡すと、ニヤニヤしているガビノと目があう。
すると、小走りですぐ隣りに来て、耳打ちしてくる三白眼。
「おい! 逃げるなら今の内だぞ、大ウソつきぃ……っ!」
「………………」
コイツ、ホントにそろそろ殴っていい?
▲ ▽ ▲ ▽
事の発端は、10年ほど前。
当流派のジジイが『剣帝』とかヤバめな称号をもらった時。
帝国の研究機関・魔導三院に『五行剣』の術式を提供するよう、偉い人から頼まれたらしい。
── 『五行剣』を参考にして、現在の身体強化魔法をパワーアップさせたいから、引き換え条件ね?
そんなワケで、魔導三院の研究室で『五行剣』の改良試験が行われているらしい。
(……なるほど。
ジジイが『剣帝』みたいなラスボスっぽい称号をもらった理由は、『五行剣』が評価されたからなのか)
たしかに『魔物退治ガンバったで賞』の割には、『剣の帝王』とかヤバい称号もらったなー、と思ってたんだよ。
そもそも帝国内で『剣号』とかいう称号が名乗れるのは、『武闘大会の優勝者』の特権。
一種の名誉職みたいな感じ。
しかし、『当流派の剣帝は、唯一の例外』なんて話も聞いた気がする。
(ジジイ、『武闘大会』に興味なさそうだもんなぁ~……)
流派の秘伝とか、前世ニッポンの企業秘密みたいな物だ。
そういう『企業秘密の無料開示』という普通ないような大盤振る舞いに対する『政治的配慮』から、特別に名誉称号を与える ──
── そう考えたら『剣の帝王』とか、<帝国4剣号>の『剣王』とか『剣聖』より強そうな称号ってのも納得できる。
── しかし、肝心の『新型・身体強化魔法の開発』が上手くいってない。
剣帝にヒントをもらおうと手紙を送っているが、まるで返事がない。
そんな困り切った状況に現れたのが、弟子の俺。
で、魔導三院で改良中の『五行剣』について、『本家・剣帝流』側の人間として、色々と意見が聞きたいらしい。
── 今の状況を整理すると、だいたいそんな感じ。
「── で、おかしい所を気付いたら教えてくれ、と?」
「そう、そうそう!
少しでも研究がすすむアドバイスが欲しいんダナ~~」
猫背の研究員の隣で、『試作版・五行剣(魔導三院の改良バージョン)』のテストを見守る事に。
── 『カン!』『カン!』と言う音と共に、2種類の身体強化魔法が機巧詠唱で発動する。
「まずは俺から。
── 行くぞ!」
親衛隊男子さんが宣告し、グラウンドをジグザグに駆け抜ける。
木の杭みたいな障害物を避けながらの100m走って感じか。
ゴール位置で走行記録を聞いて、苦い表情。
── 『くっ、全然記録が伸びていないな……』みたいな事を言っている感じ。
「つぎは私ねっ
── 行くわよ!」
今度は、親衛隊女子さんが駆け出す。
その先には、桟橋と人工池。
最初は10m程の桟橋を駆け抜けた勢いで、バシャバシャ水面を走るが、徐々に失速して水中に沈んでいく。
「……何やってんの、コレって?」
そんな俺の疑問に答えたのは、研究員ではなく、そこに混じって偉そうに腕組んでた三白眼。
「バーカ、見て解んねえのかよ!
『五行剣』の性能テストだろっ」
「いや、だからって、水の上を全力疾走する必要ある?」
「ハハッ、ついにボロがでたな!
あれは『五行剣:水』って特殊な身体強化魔法!
なんと!? 水面を走る事ができるんだよっ!!」
「はぁ……」
なんか、ドヤ顔で解説してくる三白眼に、ちょっとため息。
「いや……、でも途中で沈んでない?」
俺がそう指摘すると、ちょっと怒った女声が割って入る。
「全力で走らないと、すぐ沈むのよ、この魔法!
── 『剣帝』は、この魔法で『水面に立った』とかいうけどっ
どうやったら、そんな事ができるのよっ」
腰の深さの人工池を、ジャブジャブ歩く親衛隊女子さん。
何回やっても上手く行かないので、グチってる感じ。
「ハァ……、いやいや……」
俺は、ため息つきながら、テレテレ走って人工池に近づく。
そして、水面に飛び込みながら、オリジナル魔法を自力詠唱。
「いや、何て言うか……。
魔力が足の裏から染み出して、インクがブワーと水面に広がるイメージっていうの……?
それで、『地面みたいに硬い』というか『固まれ!』みたいなイメージしたら、普通に立てない?
こんな感じで、さ……」
と、実演してみせる。
まだ人工池の中をバシャバシャ歩いている、親衛隊女子さんの目の前で。
「………………え?」
親衛隊女子さんが頭痛みたいに額を抑えて、変な声を出す。
「……いや、待って……?
え……?
ええ……?
え、何……?
いま、何が起こってるの……?」
「いや、だから……──
── フンッ!」
そろそろ5~6秒経つので、俺は水面を踏みつける。
【五行剣:水】の術式コア部分だけ流用した、特殊技の試作【序の三段目:流し】の効果で、水面が凹んで波を起こし、それが戻ってきて水面が上がるタイミングに合わせ、大ジャンプ。
イメージとしては、トランポリンで跳びはねるみたいな感じ。
そうやって効果時間10秒のギリギリで、人工池から陸地に戻る。
── 途端に、全員こっちを見て大騒ぎ。
「──は、はぁ!?」
「うわあああ!」
「ええ! えええ!」
「なんじゃそりゃぁ!!」
「え、今どうやったの! ねえ、今、どうやったの!?」
「── えぇ……、そんなにビックリする?」
たしかに、剣帝の【五行剣】(特に、特殊効果の『水』)は世間的には珍しい魔法のはずだ。
しかし、思った以上に、研究関係者にビックリされてしまった。
まるで『初めて効果を見た』かのように、盛大に驚かれてしまった ──
── それはつまり、全く研究がすすんでない事が、明らかになったワケだ。




